教育制度の特徴
パラグアイの初等教育と中等教育は、12年間の義務教育として位置づけられています。まず1〜6年の「初等教育(Educación Escolar Básica)」、続いて7〜9年の「前期中等教育(Educación Media Básica)」、そして10〜12年の「後期中等教育(Educación Media)」という3段階構造です。国家試験を経て、卒業証書が発行される仕組み。公立校と私立校の両方があり、公立校は基本的に無料で通えますが、教科書や制服代などの負担が家庭にかかります。加えて、スペイン語とグアラニー語のバイリンガル教育を義務化しているのも大きな特色です。
教育方法
パラグアイの学校では、教室での黒板授業が中心ですが、近年は子供たちの主体性を引き出すアクティブラーニングも導入されています。特に、グアラニー語の導入授業では、昔話や歌、民話を通じて文化を学ぶ活動が盛ん。都会の学校ではコンピュータ教室やインターネットを使った調べ学習が増えていますが、農村部では教員が黒板と教科書、そして地域の素材(作物や動植物)を使って、実物に触れさせる実践的な学びが特徴です。
教育への取り組みや支援
政府は「教育改革法」を通じて、学校施設の整備や教員研修を進めています。特に遠隔地へ赴任する教員の住宅補助、教材費の支給、昼食支援プログラムなどが用意されています。また、ユネスコや国際NGOも協力し、識字率向上プロジェクトや女子教育支援、障がい児教育の専門研修を実施。民間企業も奨学金制度を設け、成績優秀者や経済的支援を必要とする子供たちをサポートしています。
子供達の1日の過ごし方
- 7:00 登校・朝の会 国歌斉唱と先生のお話。
- 7:30~10:00 教科授業 スペイン語、算数、グアラニー語を交互に学習。
- 10:00~10:30 休み時間 校庭でサッカーや縄跳び。
- 10:30~12:00 実技科目 美術や体操、音楽授業。グアラニーの歌を歌うことも。
- 12:00~13:00 昼食・昼休み 家から持参した軽食や学校の昼食。
- 13:00~15:00 午後学習 科学実験や歴史学習。村や町の資料を使った発表も。
- 15:00 下校後 家事を手伝ったり、宿題をしたり、放課後教室で学習サポート。
教育と社会の関係
パラグアイでは教育が「言語・文化の継承」と深く結びついています。公用語のグアラニー語は社会の至る所で話され、子供たちが自分のルーツを学ぶ手段でもあります。また、教育は経済格差の是正や社会的移動の鍵とみなされ、農村部から都市部への進学によって、就職や職業訓練のチャンスが広がります。一方で、家族企業や農業に従事する子どもは、学業と家事・仕事を両立するためのサポートが社会的課題ともなっています。
国が抱える教育の課題と未来
課題
- 教員の質と研修不足 専門的な訓練を受けた教員が都市部に偏在。
- インフラの格差 農村部や先住民地域で教室や教材、ICT環境が未整備。
- ドロップアウト率 家庭の経済事情や長距離通学が退学の一因。
未来への取り組み
政府・NGO・企業が協力し、遠隔授業システムの整備や教員交流プログラムを強化中。ICTを活用したオンライン教材やモバイル学習アプリの開発、さらにはコミュニティ学校の設立による地域密着型教育など、新しい形の学びが芽吹いています。
教育と文化や価値観の関係
グアラニ語バイリンガル教育と民族アイデンティティ
初等段階からグアラニ語で読み書きや口承文化を学ぶことで、子どもたちは自国固有の言語・神話・歌謡に誇りをもち、文化継承者としてのアイデンティティを獲得します。
マテ(伝統茶)を囲む「ホスピタリティ精神」
学校での休憩時間にマテをグループで回し飲む習慣は、教育現場でおもてなしと集団の一体感を自然に学ぶ場ともなっています。
シビック教育で育む「共助と参加」
地域の小規模プロジェクト(学校の運営委員会や校庭整備など)に生徒が参加することで、自ら社会課題を発見し、解決に向かって協力しあう民主的な価値観が根づきます。
農村部の「協同農園」実習と協力精神
農村地域の学校では、トウモロコシや大豆の共同栽培実習を通じて、互いに教え合い助け合うマンテニミエント(mantenimiento)=維持管理の精神を体得します。
学校祭での民族舞踊・ハープ演奏
年に一度の“Fiesta Escolar”では、子どもたちが民族衣装を着てグアラニ舞踊やパラグアイ・ハープの演奏を披露。伝統音楽を身をもって学び、国民文化への誇りを育みます。
グローバル視野と地域愛を両立させる英語教育
スペイン語・グアラニ語・英語の三言語教育により、世界とつながる力を養いつつ、ルーツであるグアラニ文化への愛着を失わないバランス感覚が養われます
まとめ
パラグアイの教育は、言語文化の継承と社会的公平性を重視しながら、都市と農村、スペイン語とグアラニー語といった「二つの世界」をつなぎます。異なる背景をもつ子供たちがともに学ぶ環境づくりや、ICTを活用した教育アクセスの向上は、未来のパラグアイを支える大きな力。自由研究で現地の教育事情を深掘りし、世界の多様な学び方を知る第一歩にしましょう。
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