今回のテーマ
「学校の購買(売れ筋)調査+商品改良アイデアを提案してみよう」
皆さんの学校にある購買や売店。お昼休みや放課後には、パンやジュース、文房具を求めて多くの生徒が集まりますよね。この自由研究では、そんな身近な場所を舞台に、「売れ筋商品」の理由をアンケート調査で深掘りし、その結果から新しい商品やサービスを提案するところまで挑戦します。
単に「何が売れているか」を調べるだけでなく、「なぜそれが選ばれているのか?」という理由に迫ることで、マーケティングや商品開発といった社会で役立つ考え方を学ぶことができます。
自由研究の目的
この研究は、皆さんが普段何気なく利用している購買の裏側にある「人々の行動や心理」を理解する絶好の機会です。
- 社会調査の基本が身につく アンケートの作成、実施、集計、分析といった一連の流れは、将来、会社や行政で世論や市場の動向を調査する際の基本スキルです。
- 論理的な提案力が養われる 「売れ筋を調査 → 課題点を発見 → 課題解決のためのアイデアを考える → 提案」というプロセスは、ビジネスの現場で求められる問題解決能力そのものです。
- 消費者目線と開発者目線を体験できる 普段は消費者として商品を選んでいる皆さんが、この研究では一歩踏み込んで開発者や企画者の視点を体験できます。「どうすればもっと生徒に喜んでもらえるか?」を考えることは、創造性を育みます。
この自由研究は、学校生活という身近なテーマを通じて、社会の仕組みを学ぶ実践的な学びなのです。
自由研究のゴール
この自由研究では、目標とするレベルに応じて、達成すべきゴールが異なります。
- レベル1
まずは、購買の売上ランキングトップ5を調べ、その選ばれる理由を簡単なアンケートで調査し、グラフにまとめることを目指します。例えば、「味」「価格」「手軽さ」といった基本的な選択肢から、生徒の購買行動の傾向を掴むことが目標です。 - レベル2
さらに深掘りしたい場合は、売れ筋調査に加え、売れていない商品や購買の「不満点」「改善点」を具体的な意見として集めます。そして、その結果の分析に基づき、具体的な新商品(または改良案)の企画書を作成するところまで挑戦します。 - レベル3
最も高度なレベルは、ハードのゴールに加えて、提案した新商品(または改良案)の試作品を実際に作ってみることです(例:新しい味のおにぎりやパンを自宅で試作)。さらに、購買の担当者や先生にプレゼンテーションを行い、実現可能性まで考察することで、研究をより実践的なものにすることができます。
最終的なゴールは、調査結果の分析に基づいた、説得力のある「商品改良アイデア」を提案することです!
実際に行った改良アイデアの例
- 価格と手軽さの徹底分析
購買で最も売れている「定番の菓子パン」を調査。アンケートを実施したところ、「安いから(価格)」と「すぐ食べられるから(手軽さ)」が圧倒的な理由でした。そこで、結論として「定番商品は価格と手軽さを維持することが重要である」とまとめました。
- 売れていない商品の再提案
あまり売れていない「高価格帯の健康志向ドリンク」に注目。アンケートで「なぜ買わないのか?」と聞くと、「価格が高い」「健康意識が低い」「パッケージが地味」という意見が多く集まりました。 そこで、「高価なドリンクを週替わりの『ご褒美ドリンク』として販売し、パッケージに派手な手書きPOPを付ける」という提案書を作成。購買の雰囲気を変えるアイデアとして評価されました。
- エコと連動させた新サービス提案
購買で出るレジ袋や容器のゴミ問題を調査。アンケートで「マイバッグやマイボトルを使いたいか?」と質問し、意外に賛成者が多いことを発見しました。 そこで、マイボトルを持参した生徒に「ドリンク5円引き」を提案。さらに、購買で売れ残ったパンを、閉店前に「エコセット」として割引販売することを提案し、SDGs(持続可能な開発目標)にも貢献する自由研究として高く評価されました。
研究を進めるうえで、以下のポイントに注目しよう!
この研究の成功は、「どれだけ正確なデータ」と「どれだけユニークなアイデア」を出せるかにかかっています。
- データ収集の工夫
- 購買担当者へのインタビュー 売上データ(許可があれば)、仕入れの工夫など、プロの視点を聞いてみましょう。
- アンケートの工夫 単なる「好き・嫌い」ではなく、「なぜ好き(嫌い)なのか」を深く聞く設問(自由記述欄など)を入れるのがポイントです。
- 分析と考察の視点
- 学年や性別で売れ筋に違いがあるか?(ターゲット分析)
- 売上は曜日や時間帯で変化するか?(時間帯・トレンド分析)
- 購買のレイアウトやPOPは購買行動に影響しているか?(環境分析)
- 提案の実現性
- アイデアは面白いか?(新規性)
- 提案によって売上は上がりそうか?(効果)
- 学校や購買にとって、準備やコストはどうか?(実現可能性)
自由研究の進め方
Step 1 テーマと調査対象の決定(計画)
「パン」か「ジュース」か「文房具」か、調査対象を絞り込みます。購買担当者に売れ筋トップ5の確認を依頼しましょう。
Step 2 アンケートの作成と実施(データ収集)
売れ筋商品とそのライバル商品について、「価格、味、パッケージ、手軽さ」など比較できる項目でアンケートを作成します。できれば100人以上の回答を目指し、学年や性別も記録します。
Step 3 データ集計と分析(考察)
集めたデータを円グラフや棒グラフにまとめます。「なぜこの商品が人気なのか?」をデータから読み解きます。アンケートの自由記述欄を分析し、生徒のニーズや不満点をリストアップしましょう。
Step 4 商品改良アイデアの創出(アイデア出し)
ニーズや不満点(例:「昼ごはんのバリエーションが少ない」「健康的ではない」)を解決できる新商品やサービスを考えます。商品の名前、キャッチコピー、価格なども具体的に設定します。
Step 5 レポート作成と提案(発表)
「現状の調査結果 → 課題点 → 提案内容 → 予想される効果」という流れでレポートを構成します。プレゼン資料を作成し、クラスや先生に発表してみましょう。
自由研究から発見したアイデア
調査と分析の結果、あなたは新しい発見をしたはずです。その発見を基に、購買をさらに魅力的にするためのアイデアを提案しましょう。
- 『地元の味』コラボ企画
「地元の人気パン屋さんとコラボして、月に一度、数量限定のオリジナルパンを販売する」 → 新規性:購買に「特別感」が生まれ、話題性が高まります。 → 効果:限定品目当ての来店が増え、購買全体の売上アップにつながる。 - 『受験生応援コーナー』の設置
「テスト期間中や受験シーズンに、集中力を高める栄養ドリンクや小腹を満たす一口チョコを集めた専用コーナーを設ける」 → ニーズ対応:学生の特定の時期のニーズに寄り添い、精神的な応援にもなる。 → 環境改善:購買のレイアウトに工夫を加えることで、購買意欲を高める。
この自由研究に関連する仕事
- マーケター/商品企画担当 顧客のニーズを調査・分析し、売れる商品やサービスを企画・開発する、まさに今回の研究テーマの中心となる仕事です。
- コンサルタント 企業や組織の抱える課題を発見し、解決策を提案する仕事です。データ分析力と提案力が求められます。
- 営業職 顧客の課題を聞き出し、自社の商品やサービスで解決する能力が必要です。人へのヒアリング(アンケート)の経験が役立ちます。
- 社会調査士/リサーチャー アンケートやインタビューなどの調査を専門に行い、データを収集・分析する仕事です。
まとめ
この自由研究「学校の購買調査+商品改良アイデア提案」は、身近な学校生活をテーマに、社会調査のスキルとビジネス的な思考力を同時に学べる貴重な体験です。
単なる「調べ学習」で終わらせず、自分の分析から生まれた「新しいアイデア」を自信を持って提案し、ぜひ「レジェンド」レベルのゴールを目指してみてください。皆さんの提案が、明日から学校の購買を変えるかもしれません!
関連書籍
身近な仕事について考えてみよう!
- 仕事のことを通じて学んだこと、楽しかったこと、難しかったことを書いてみましょう。
- テーマについての新しい発見や、自分が感じたことをまとめます。
- 今後、さらに調べてみたいことや、他の人に教えたいことがあれば、それも書いてみましょう。