ブランド研究|半導体|Intel Corporation|ブランド比較

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ブランド研究|半導体|Intel Corporation

Intelは、半導体設計と製造を一貫して行う垂直統合型モデルを採用しており、自社の製造施設で最新のプロセス技術を実現しています。これにより、製品の品質管理や最適化が可能で、競合他社(例:設計専門のAMDや製造専門のTSMC)との差別化を図っています。

PC向けCPU市場では圧倒的な市場規模を有しています。圧倒的なシェアを誇り、企業や個人ユーザーの信頼を獲得しています。また、Intel Insideキャンペーンなどを通じて、消費者に認知されたブランド力を活用しています。

また、CPUに加え、データセンター向けのプロセッサ、FPGA、IoT向けソリューションなど幅広い製品ラインナップを持ち、多岐にわたる市場で収益を確保しています。

Intelは多額の投資を行うことで、先端技術(例:AI対応プロセッサ、EUV技術)を開発し、将来の競争優位性を確保しています。

企業情報

会社名 Intel Corporation
創業年 1968年
従業員数 124,800名(2023年)
本社所在地 アメリカ合衆国カリフォルニア州サンタクララ
製造拠点 アメリカ6箇所、ドイツ、アイルランド、ポーランド、中国、イスラエル、マレーシア、ベトナムなど
主力商品 プロセッサー
商品ラインナップ プロセッサー、PC、AIソフト、FPGA、ソフトウェアなど

企業成績2023年

売上高 542億ドルで市場シェアは半導体企業売上高1位(2023年)
営業利益 65.2億ドル
営業利益率 12.0%
原価+販管費 7,515,703,040,000円(2025年1月2日9:00換算レート)
従業員当たり経費 60,221,979円(2025年1月2日9:00換算レート)

マーケティング基本情報

Intelの市場カテゴリは、半導体市場(垂直統合型:IDM)になります。この市場は、国際的なデジタル化に伴い近年需要が急拡大した市場で、各国国家主導の設備投資が行われており、今後もAI、自動車需要を筆頭に持続的な成長が予測されています。垂直統合型企業によって半導体産業は成長しましたが、近年は水平分業型の技術開発スピードに後れを取っているのが現状です。

主要顧客は、OEM、ODM、クラウドサービスプロバイダー、その他の製造業者やサービスプロバイダー (Nvidia、IBM、Microsoft、Boeing、Northrop Grumman)になります。また、主要な競合会社は、AMD、NVIDIA、Apple、TSMC、ARM等です。

代替品として脅威となっているのは、ファブレスや技術力の高いファウンドリ、コスパのいいメーカー品(AMD等)などが挙げられます。

ターゲット顧客

半導体市場カテゴリにおける戦略ターゲットは、「半導体を使用する製品を製造する企業、ファブレス半導体企業」になります。カテゴリの戦略ターゲットの主要インサイトは、「他社より優位な商品を作り売上につなげたい、設計開発に注力したい。」というものです。

ターゲットのニーズは、「QCDSに優れた半導体企業の製品、安定感のある企業との取引」などが挙げられそうです。顧客の課題の主な課題としては、「QCDSのバランスが取れた製品がほしい、アメリカ、アジア以外の地域の顧客は近辺に十分な製造拠点がない、信頼できるブランド力で設計開発に注力したい(安心したい)」というところ。

そのような課題に対して、「QCDSのバランスが取れた製品、業界トップを争う半導体製造技術力、広範に製造拠点があることによる利便性、信頼できるブランド力」を提供しています。

優先ターゲットの一つ目は、「PCメーカー」で、優先ターゲットの2つ目は、「データセンター企業」と定義して、優先ターゲットの詳細について考えてみます。
※Annual Reportより ・data center ・PCs ・edge computing ・AI ・autonomous driving

出典元

https://diamond.jp/articles/-/319082
https://www.jeita.or.jp/japanese/stat/wsts/index.html
https://stockmark.co.jp/coevo/semiconductor-2023
https://semicon.jfe-shoji-ele.co.jp/articles/transition-of-semicon-industry
https://www.soumu.go.jp/johotsusintokei/whitepaper/ja/r06/html/nd215400.html
https://www.semiconductor-industry.com/semiconductor_market2024spring/
https://mobyinfo.com/intelligence/us-tightens-semiconductor-export-to-china/
https://news.yahoo.co.jp/articles/445f26d178d6a1126a1e71fb07808a90966ad0a8
https://gazlog.jp/entry/samsung-gen2-3nm-low-yield/
https://xenospectrum.com/intel-18a-process-yield-less-than-10-faces-difficulty-in-mass-production/

半導体の「顧客」とは?

Intelのターゲットの詳細を定義してみます。

データセンター企業購買担当者

このターゲットを「20~50代男女、アメリカorヨーロッパ人、大中企業勤務、ワークライフバランスが取れている、几帳面」という

特徴で定義してみます。このような特徴を持つターゲットのニーズは「高品質製品の仕入れ、AI予測分析アプリケーションの活用、監視IoT、環境負荷低減製品…」などのキーワードが挙げられます。また、インサイトとして「データセンター運用を止めないことが最重要、人件費削減、環境負荷低減もミッション」などとなるでしょうか?

PCメーカー購買担当者

優先ターゲットをPCメーカー購買担当者とした場合に、特徴を「20~50代男女、アメリカ人、大中企業勤務、几帳面」と定義してみます。彼らのニーズは、「良質安価な製品の購入、取引先のブランド力」などになります。人脈の多い彼らは付き合いで購入することもありますが、主要なインサイトは、「コストダウンの成果を出すプレッシャーやブランド力による安心感が欲しい。」といったところです。

PCメーカー設計者

優先ターゲットをPCメーカー設計者とした場合に、特徴を「20~50代男性、アメリカ人、大中企業勤務、粘り強い性格、パソコンやガジェット好き」と定義してみます。彼らのニーズは、「安価製品、高性能製品、ブランド力」などになります。主要なインサイトは、「進化するソフトに対応できる「性能」と多くの競合に対抗できる「安さ」を実現するPCを設計する必要性、ブランド力による安心感が欲しい、楽に設計したい」といったところです。

AI技術開発者(個人含む)

優先ターゲットを個人を含むAI技術開発者とした場合に、特徴を「20~40代男性、アメリカor韓国人、中小企業勤務、先進的で独創的な考えを持つ」と定義してみます。彼らのニーズは、「安価製品、高性能製品、少量発注を受け入れてくれる企業」などになります。主要なインサイトは、「自社のソフトに対応できる「性能」が必要。大量発注している大企業にアロケーション権を取られてしまう。開発・量産を低コストに抑えたい。」といったところです。

自動車メーカー開発者

優先ターゲットを自動車メーカーに関わる開発者とした場合に、特徴を「20~50代男性、世界各国に居住、大企業勤務、粘り強い性格、車好き」と定義してみます。彼らのニーズは、「高品質製品、自動運転特化製品、ブランド力」などになります。主要なインサイトは、「設計製造ミスによる事故を起こさないことが最重要、業界トップの自動運転の実現、ブランド力による安心感が欲しい、楽に設計したい」といったところです。

マーケティング計画基礎概要

Intelでは、「直取/代理店販売不問、世界中に販売拠点を持つこと、米国・ヨーロッパ・アジア3極に製造拠点を持ち、地政学リスクを回避すること」が商品流通計画の軸となっているようです。

消費者の購買決定要素(意思決定要素)の軸は、「品質、価格、性能」であり、ブランドキーワードは「最先端技術、ブランド力」になりそうです。顧客とは、「Intel独自のコミュニティ、Vtuber配信やイベント」などでコミュニケーションをしています。競合差別化要素(POD)は、「最先端の半導体製造技術をいち早く開発する、長年の歴史による信頼感」となりそうです。

プロモーション手法としては、

・Intel入ってる&サウンドロゴ
・「PC匠道場」や「vPro友の会」などのコミュニティー
・PCに詳しいVtuberによるコンテンツマーケティング
・Intel製品が搭載されたPCにロゴ表示をすれば広告費を協力負担→Intelチップの認知度がパソコン購入者の22%(1992年)から80%(1994年)に。

などが挙げられるでしょう。

潜在層への認知獲得手法としては「PCロゴ、TV広告、SNS広告、インフルエンサーマーケティング」が主な手段となっています。企業消費者は「企業間取引(直販、代理店)」で購入します。

半導体トップ企業としての高い認知度、最先端の半導体製造技術、長年の歴史と伝統などが顧客がとらえる主要なブランドエクイティとなっているようです。

定量施策 ダイレクトマーケティング活動の年間アクション数、デジタルメディア、テレビ広告、イベント、業界および消費者とのコミュニケーション、プレスリレーションの数、共同広告:先述したPCへのロゴ表示など、グローバルな製造能力
定性施策 差別化された強力なブランド力の強化、最先端技術イメージ

プロダクトについて

半導体製造装置として、ASML、Applied Materials、Lam Research、東京エレクトロン、ディスコ、ニコン、KOKUSAI ELECTRIC、PSK、ASM International、Carl Zeiss SMTなどが、また検査装置として、レーザーテック、FormFactor、Keysight Technologiesなどが挙げられます。

主力製品はプロセッサーですが、商品・サービスの主な機能は、「3nm量産※製造プロセスノードを指す」、「2nm,1.8nm開発」など。

※プロセッサーとは、コンピューターやスマートフォンなどの電子機器の「頭脳」のようなものです。英語では「CPU(Central Processing Unit)」とも呼ばれます。この部品は、機械が「計算をする」「指示を出す」「データを処理する」ために必要な役割を果たします。たとえば、ゲームをしたり、動画を見たり、文章を作ったりするとき、プロセッサーがその動きを管理し、すばやく処理しています。プロセッサーが速いほど、アプリがスムーズに動いたり、作業が早く終わったりします。簡単に言うと、プロセッサーは電子機器の「考える部分」で、すべての動きをコントロールする大事なパーツです!

最新半導体製品の能力指標 多い方が高機能。能力指標についての詳細は下記参照。
・https://note.com/gotoutarou/n/ne41423a19886(CPU)
・https://8vivid.net/cpu-5-specs/(CPU)
・https://pcsyosinsya.com/MEMORY.htm(メモリ)
・https://dosparaplus.com/library/details/001027.html(GPU)
最新24年Q3発売のCPU「Core i9-14901E」の場合
Core/コア数:8、スレッド数:16、クロック周波数:5.60GHz、キャッシュメモリ:36MB、希望小売価格:$557.00

 

Intelが見据えている未来

公式にはIntelのMissionとして「私たちは、地球上のすべての人々の生活を向上させる世界を変える技術を生み出します。」、Visionは「Bringing AI Everywhere」、Valueは、「顧客第一、大胆なイノベーション、結果主導、One Intel、インクルージョン、品質、誠実さ」です。

地域別の戦略と戦術について

地域別売上高構成比分析

中国の売上高構成比が27%、台湾が14%(FY2023)であり、特に中国の売上依存が強い。2022年10月にバイデン政権により打ち出されたCHIPSプラス法に基づき、半導体業界に対して約2,000億米ドルの民間投資が行われる予定であり、インテルは補助金を得ることで米国内での設備投資の負担が減る一方、中国への輸出規制が行われることによる売上への懸念が残る。

アジア市場

戦略 テクノロジーの成長が著しいため、Intelは新興市場への投資や、AI、IoT、5Gといった先端技術の導入に重点を置いている。
戦術 外部ファウンドリとしてTSMCを活用。 70億ドル規模の先進パッケージング工場をマレーシアに建設中。

ファウンドリとは??他の会社が設計した半導体チップを実際に製造する工場や会社のことです。簡単に言うと、チップを「作る専門の会社」です。たとえば、スマートフォンやゲーム機に使われるチップは、多くの場合、設計する会社(例:AppleやAMD)と作る会社(ファウンドリ)が別々です。ファウンドリは、設計図をもとに細かい技術を使って、実際のチップを工場で作ります。有名なファウンドリには、台湾のTSMC(Taiwan Semiconductor Manufacturing Company)や韓国のSamsungがあります。ファウンドリは、最先端の技術や特別な機械を使って、小さくて性能の高いチップを作る重要な役割を担っています。

北米(カナダ・アメリカ)市場

戦略 製造業の再生や、国内サプライチェーンの強化に向けた取り組みが強調されている。また、研究開発に対する投資や、教育機関との連携も重要な戦略とされている。
戦術 200億ドル規模の投資となる米国アリゾナ州での2ヵ所のファブ(半導体製造施設)を建設中。

ヨーロッパ市場

戦略 持続可能性や環境への配慮が重視されており、グリーンテクノロジーやエネルギー効率の向上を目指した戦略が展開されている。
戦術 欧州における研究開発面や設計面での強化策を発表したものの、ポーランドの後工程新工場とドイツの新工場については、市場の需要予測に基づき約2年間保留するとなっている。(24.10.23時点)

TAM (Total Addressable Market)

世界の半導体市場(2023年出荷額):5,448億ドル

競合比較

市場と市場への適応について

国際的なデジタル化、特にAIやIoT、5G等の技術革新がけん引し半導体業界の市場規模は近年増加を続けている。2023年は2019年以来4年ぶりのマイナス成長となったものの、2024年以降再び成長が見込まれている。Intel、Samsung、TSMC等の大手企業が技術革新と生産能力拡大に注力しており、各社が最小プロセスノードの製造を競う。各国国家主導での設備投資が行われており、大手企業は地政学的リスクを分散させるために全世界に工場を建設している。一方、ファブレス企業は設計開発、販売に注力することで垂直統合型企業より市場の変化に素早く対応できるメリットがある。また、2024年12月、アメリカによる中国向けの半導体輸出規制が強化され、対抗措置とみられる中国によるアメリカへのレアメタルの輸出禁止措置が発表された。トランプ次期大統領の追加関税発言もあり、今後米中貿易摩擦が激化する可能性がある。

差別化戦略

IntelはCPU市場の約8割の高シェアを維持しているもののコスパの良いAMD品に少しずつシェアを奪われている。また、サーバー向け演算処理装置にはCPUよりデータ処理が高速なGPUやFPGAに代替されており、売上高は減少傾向にある。2021年に立ち上げたファウンドリ事業に注力しており、最先端プロセス“以外”の半導体製造で安定的な収益を狙う。AI時代を支える超高度なプロセッサを作り上げるには、新旧さまざまなプロセスノードで製造されたチップを、1つのパッケージとして集約し、まとめ上げる技術が必要となり、垂直統合型企業の強みを活かせると見立てている。ただ、2024年時点では巨額の赤字を出している。Samsungはメモリ(DRAM、NANDフラッシュメモリ)メーカーとして売上首位を保っており好調である一方、ファウンドリ事業で巨額赤字が続いている。いずれの会社も最小プロセスノード製造の歩留まりの悪さで不信感を持たれており、顧客を逃がし続けている。ファブレス企業に対しては開発スピードで後れを取り、ファウンドリ企業に対しては歩留まりで後れを取っている状況。

ブランドの信頼と歴史

Intel、Samsungともに1960年代からある企業であり、長年の歴史と知名度を持つ。Intelは特にPC向けCPUの印象が強い。SamsungはGalaxyスマホや家電の知名度が高く、半導体事業は比較的認知度が低い。

立地戦略

Intelはアメリカを中心に、Samsungはアジアを中心に全世界に製造・販売拠点を持つ。地政学的リスクを考慮しアメリカ、ヨーロッパ、アジアの3極に製造拠点を分散できている。

出典元: https://www.intc.comhttps//since2020.jp/knowledgebase/case-study/289/https://forbesjapan.com/articles/detail/14523https://news.mynavi.jp/techplus/article/20240325-2914225/https://xtech.nikkei.com/atcl/nxt/column/18/00001/08959/https://wired.jp/article/intel-ceo-pat-gelsinger-ai-comeback/https://atmarkit.itmedia.co.jp/ait/articles/2204/22/news022.htmlhttps://note.com/gotoutarou/n/ne41423a19886https://5va.co.jp/column/politics/intel2024/https://xtech.nikkei.com/atcl/nxt/column/18/00001/08994/https://xtech.nikkei.com/atcl/nxt/news/18/12513/https://www.intel.co.jp/content/www/jp/ja/newsroom/news/idm-manufacturing-innovation-product-leadership.htmlhttps://www.itmedia.co.jp/pcuser/articles/2403/22/news133.htmlhttps://eetimes.itmedia.co.jp/ee/articles/2409/17/news112.htmlhttps://www.itmedia.co.jp/pcuser/articles/2403/28/news136.htmlhttps://semi-connect.net/cpu-makers-ranking/https://5va.co.jp/column/politics/intel2024/

調査方法

インターネット調査

その他出典元

Salesforce 会社概要
Wikipedia(セールスフォース)
Salesforceに関する12の豆知識
株式会社セールスフォース・ジャパン 第24期決算
Salesforce’s New Marketing Campaign
HubSpot 会社概要
Wikipedia(HubSpot)
PR TIMES (HubSpot Japan株式会社)
バフェット・コード(HubSpot)
HubSpotとSalesforceの違いとは?
サイボウズ株式会社(企業概要)
バフェット・コード(サイボウズ)
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