世界の教育|街全体が巨大なキャンパス!アメリカ・デモインの教育が育む、地域を愛し世界とつながる人々の物語

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教育制度の特徴

アメリカの教育制度を理解する一番のキーワードは「多様性」と「地方分権」です。国全体で統一された教育制度があるわけではなく、州や市、さらに細かい「学区(School District)」ごとにルールが決められています。

今回注目する中西部の都市デモインでは、「デモイン公立学区(Des Moines Public Schools)」が地域の公立学校を運営しています。

アメリカの学校制度は、一般的に「K-12(ケートゥエルブ)」と呼ばれ、幼稚園(Kindergarten)から高校3年生(12th Grade)までの13年間が義務教育期間です。

  • 小学校(Elementary School) 幼稚園〜5年生
  • 中学校(Middle School) 6年生〜8年生
  • 高校(High School) 9年生〜12年生

デモインにも、この制度に沿った多くの公立学校がありますが、それ以外にも私立学校(Private School)、特定の教育理念を持つチャータースクール、家庭で学習するホームスクーリングなど、家庭の方針によって様々な学びの形が選べるのが大きな特徴です。

教育方法

アメリカの教室では、先生が一方的に話すよりも、生徒たちが積極的に発言し、議論する「対話型」の授業が中心です。正解が一つではない問題に対して、自分なりの考えを述べ、他の人の意見を聞きながら思考を深めていくことを大切にしています。

デモインの教育では、特に「PBL(プロジェクト・ベースド・ラーニング)」という学習方法が注目されています。これは、生徒たちがチームを組み、実社会にあるような課題(例えば「地域の川をきれいにする方法を考えよう」など)に長期間取り組む学習方法です。計画を立て、調査し、解決策を発表する過程で、知識だけでなく、コミュニケーション能力や問題解決能力を養います。

また、デモインには「セントラル・キャンパス」という、全米でもトップクラスのキャリア技術教育を行う特別な高校があります。ここでは、通常の科目に加えて、料理、自動車整備、航空技術、映像制作、看護など、約30種類もの専門的な技術を学ぶことができます。興味のあることをとことん追求できる環境が整っているのです。

教育への取り組みや支援

多様な子どもたちが集まるアメリカの学校では、一人ひとりに合わせた手厚いサポート体制が整っています。

  • 特別支援教育(Special Education) 発達に特性のある生徒一人ひとりのために「個別教育計画(IEP)」が作成され、専門の教師やスタッフが学習や学校生活をサポートします。
  • 英語学習者(ELL)への支援 デモインには世界中から移住してきた人々が暮らしており、英語を母国語としない子どもたちもたくさんいます。そうした生徒のために、英語の集中クラスを設けたり、授業にサポートの先生が入ったりするなどの支援が行われています。
  • 無料・割引ランチプログラム 家庭の経済状況に関わらず、すべての子どもたちが栄養のある食事をとれるように、給食費を無料または割引にする制度があります。これは、子どもたちが安心して学校生活を送り、勉強に集中するための大切な取り組みです。

子供達の1日の過ごし方

デモインの子どもたちの一般的な一日を覗いてみましょう。

  • 朝 黄色いスクールバスに乗って登校するのがアメリカの学校の象徴的な風景です。朝8時頃から授業が始まります。
  • 授業中 小学校では担任の先生と過ごす時間が長いですが、中学校以上になると、生徒が自分で選択した授業ごとに教室を移動します。ロッカーに自分の荷物を置き、休み時間の間に次の教室へ向かう様子は、まるでドラマのようです。
  • 昼休み 昼食はカフェテリア(食堂)で、持参したお弁当や、学校が提供するランチを食べます。日本のようにお昼の放送が流れることは少なく、友達とのおしゃべりを楽しみながら過ごします。
  • 放課後 授業は午後3時頃に終わります。放課後は、多くの子どもたちがスポーツ(アメリカンフットボール、バスケットボール、チアリーディングなど)や、音楽(吹奏楽、合唱)、演劇といったクラブ活動に参加します。これらの活動は、学業と同じくらい重要視されています。

教育と社会の関係

デモインでは、学校と地域社会が非常に強い繋がりを持っています。学校は単に勉強する場所ではなく、地域コミュニティの中心なのです。

例えば、高校のアメリカンフットボールの試合には、生徒や保護者だけでなく、地域に住むたくさんの人々が応援に駆けつけ、街全体で盛り上がります。また、PTA(親と教師の会)の活動も非常に活発で、保護者が学校の運営やイベントに積極的に参加し、先生たちと協力してより良い教育環境を作ろうとしています。

さらに、「セントラル・キャンパス」のように、地域の企業や大学と連携し、生徒たちがインターンシップ(就業体験)をしたり、専門家から直接学んだりする機会も豊富にあります。社会全体で子どもたちを育てていこうという意識が、街の至る所で見られます。

国が抱える教育の課題と未来

      多くの魅力がある一方で、アメリカの教育はいくつかの大きな課題も抱えています。

      • 教育格差 住んでいる地域や家庭の経済状況によって、受けられる教育の質に大きな差が生まれてしまうことが、国全体で深刻な問題となっています。
      • 教員不足 教員の待遇や労働環境の問題から、多くの地域で先生が不足しています。
      • 多様性への対応 様々な文化背景を持つ子どもたちが共に学ぶ中で、いじめや差別をなくし、お互いを尊重し合える環境をどう作っていくか、常に模索が続けられています。

      こうした課題に対し、デモインをはじめとする多くのアメリカの学区では、ICT(情報通信技術)を活用して個別の学びに役立てる「EdTech」の導入や、科学・技術・工学・芸術・数学を統合的に学ぶ「STEAM教育」に力を入れています。そして、すべての子どもたちが公平な機会を得られるよう、多様性・公平性・包括性(DEI)を重視した教育への取り組みを強化しています。

        教育と文化や価値観の関係

        「自分事」として街に関わる市民文化

        学校行事、特に高校のスポーツ(アメリカンフットボールやバスケットボール)の試合が、生徒や保護者だけでなく地域住民全体のお祭りのようになります。幼い頃から「学校は自分たちのコミュニティの中心」という感覚が育まれます。

        この地域への帰属意識は、大人になってからの積極的な市民参加に繋がっています。例えば、全米最大級とも言われる「ダウンタウン・ファーマーズマーケット」には、毎週多くの市民が集い、地元の生産者を支え、交流を楽しみます。また、地域の公園の美化活動やフードバンクでのボランティア活動に、学生から社会人まで多くの人が自然に参加する文化が根付いています。

        多様性を受け入れ、意見を交わすオープンな気質

        授業では「あなたの意見は?」と問われ、他者と議論する機会が豊富にあります。また、デモインは世界中からの難民や移民を受け入れてきた歴史があり、学校には様々な文化背景を持つ子どもたちが共に学んでいます。

        人々の気質はオープンで、初対面の人とも気軽に会話を楽しみます。異なる意見を持つ相手を尊重し、対話で物事を解決しようとする姿勢が見られます。毎年秋に開催される「ワールド・フード&ミュージック・フェスティバル」では、世界各国の料理や音楽を通じて、市民が互いの文化を祝い、理解を深めています。

        若者の挑戦を応援する起業家精神(アントレプレナーシップ)

        「セントラル・キャンパス」のような実践的なキャリア・技術教育により、生徒は早くから社会で役立つスキルを身につけ、将来のキャリアについて具体的に考え始めます。PBL(プロジェクト・ベースド・ラーニング)は、自ら課題を見つけ解決する力を養います。

        デモインは近年、保険・金融業に加え、スタートアップ企業が集まる街としても注目されています。若者が新しいビジネスを始めることに対して、地域の企業やコミュニティが積極的に支援する風土があります。これは、教育を通じて培われた「まずはやってみよう」という実践的な価値観や、社会と連携して学ぶ経験が大きく影響していると言えるでしょう。

        まとめ

        アメリカ・デモインの教育を見ていくと、そこには「一人ひとりの個性を尊重し、可能性を最大限に引き出す」という強い意志と、「学校は地域社会みんなで支えるもの」という温かい文化があることが分かりました。

        選択肢の多さ、対話を中心とした授業、そして社会と密接に繋がった学びは、私たち日本の教育を考える上でも多くのヒントを与えてくれます。

        この自由研究を通して、世界の多様な学びに触れることは、今私たちが受けている教育の良さを再発見したり、「もっとこうなったら面白いのに」と考えたりするきっかけになります。世界に目を向けることで、自分たちの日常を新しい視点で見つめ直し、未来の学びの形を創造する冒険に、ぜひ挑戦してみてください。

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