INDEX
今回のテーマ
「ヘルメットをかっこよくしよう!みんながかぶりたくなるデザインを考えよう」
2023年4月から、自転車に乗るすべての人にヘルメットの着用が努力義務化されました。自分の命を守るためにとても大切なルールですが、「髪型が崩れる」「デザインが気に入らない」「なんだか恥ずかしい」といった理由で、まだ着用に抵抗を感じている人も少なくありません。
そこで、今回の自由研究では「どうすればみんながヘルメットをかぶりたくなるか?」という問題を、「デザイン」の力で解決することに挑戦します! 安全なのは当たり前。その上で、誰もが「かっこいい!」「かわいい!」と思って、毎日かぶりたくなるような、新しいヘルメットのデザインを考えてみましょう。
自由研究の目的
この研究は、ただ絵を描くだけではありません。社会の問題を自分ごととして捉え、解決策を探る素晴らしい機会になります。
- 課題発見力 なぜ多くの人がヘルメットをかぶらないのか?街の様子を観察したり、アンケートを取ったりすることで、問題の根本的な原因を探る力が身につきます。
- 創造力・デザイン思考「こんなヘルメットがあったらいいな」というアイデアを、具体的な形(イラストや模型)にする創造力が鍛えられます。見た目だけでなく、機能性や使いやすさも考える「デザイン思考」の第一歩です。
- 社会貢献への意識 自分のアイデアが、誰かの命を救い、社会をより良くするかもしれない。
自由研究のゴール
- レベル1 現状をリサーチしてみよう!
- 街に出て、自転車に乗っている人のヘルメット着用率を調べる。
- 家族や友達に、なぜヘルメットをかぶるか/かぶらないかインタビューやアンケートをしてみる。
- どんなデザインのヘルメットが売られているか、お店やインターネットで調べてみる。
- レベル2 分析して、人気の秘密を探ろう!
- 「かっこいい」「おしゃれ」と人気のあるヘルメットをたくさん集める。
- 色、形、素材、機能などに注目し、「なぜ人気があるのか」共通点や理由を分析してまとめる。
- レベル3 新しいデザインを提案しよう!
- リサーチと分析をもとに、新しいヘルメットのアイデアをたくさん出す(ブレインストーミング)。
- ターゲット(誰に使ってほしいか)を決め、コンセプトを練る。
- オリジナルのヘルメットデザインをスケッチやイラストで描き、その魅力や工夫した点を説明する。粘土などで簡単な模型を作るのも面白い!
かっこいいヘルメットの例
世界には、既成概念を打ち破る、かっこいいヘルメットがたくさんあります。いくつか例を見てみましょう。
- 帽子にしか見えないヘルメット(日本) 一見すると普通のキャップやハットなのに、内部にしっかりとしたプロテクターが隠されているタイプ。日本のメーカーからも多く発売されており、「いかにもヘルメット」という見た目に抵抗がある人に大人気です。
- 都会に馴染むミニマルデザイン(海外) アメリカの「Thousand」やスペインの「Closca」といったブランドは、まるでファッションアイテムのような洗練されたデザインが特徴です。レザーストラップを使ったり、豊富なカラーバリエーションがあったりと、街乗りにぴったりの工夫がされています。
- コンパクトに変身!折りたたみヘルメット 自転車を降りた後、ヘルメットが荷物になる…という悩みを解決するのが、折りたたんで小さくできるヘルメットです。ユニークな変形の仕組みは、見ているだけでもワクワクします。
- 個性爆発!グラフィックヘルメット アメリカの「Nutcase」のように、スイカ柄や宇宙柄、有名キャラクターとのコラボなど、大胆でポップなグラフィックを全面に押し出したヘルメットもあります。自分の個性を表現したい子どもや大人に支持されています。
これらの事例から、「安全性」と「デザイン性」は両立できることがわかりますね。
研究を進めるうえで、以下のポイントに注目しよう!
- 安全基準を忘れずに かっこよさだけを追求して、安全性がおろそかになっては意味がありません。国が定めた安全基準である「SGマーク」などをクリアできる構造を意識することが大前提です。
- 誰のためのデザイン? 「小学生向け」「お母さん向け」「スーツを着るお父さん向け」など、誰にかぶってほしいか(ターゲット)を具体的に決めると、アイデアがまとまりやすくなります。
- 機能性も考えよう 夏でも蒸れにくい「通気性」、首が疲れない「軽さ」、夜道でも安心な「反射材」など、快適さや安全性につながる機能もデザインの重要な要素です。
- いろいろな人の意見を聞こう 自分だけで考えるのではなく、家族や友達にデザイン案を見せて意見をもらいましょう。自分では気づかなかった視点やアイデアがもらえるはずです。
自由研究の進め方
Step 1 テーマについて知る
- なぜヘルメット着用が努力義務になったのか、背景を調べる。
- 自転車事故のデータや、ヘルメット着用の効果を調べる。
- インターネットやお店で、どんな種類のヘルメットが、いくらくらいで売られているか調べる。
Step 2 街と人を観察する
- 通学路や駅前、公園などで、自転車に乗っている人を観察する。
- どんな人がヘルメットをかぶっていて、どんな人がかぶっていないか記録する。(例:年代、性別、服装など)
- 可能であれば、周りの大人や友達にヘルメットについての考えを聞いてみる。
Step 3 アイデアを広げる
- 調査と観察でわかった課題(例:「帽子が好きだからヘルメットはかぶりたくない」)を解決するアイデアを、思いつくままにたくさん書き出す。
- 「こんな機能があったら?」「こんな素材はどう?」「あのブランドとコラボしたら?」など、自由に発想を広げる。
Step 4 デザインを形にする
- たくさんのアイデアの中から、一番良いと思うものを選ぶ。
- コンセプトシート(①誰のための、②どんなヘルメットか、③特徴は何か)を作る。
- スケッチやイラストで、ヘルメットのデザインを具体的に描く。色を塗ったり、工夫したポイントを書き加えたりする。
Step 5 研究をまとめる
- 研究の動機、調査結果、分析、デザイン提案、感想などを模造紙やレポートにまとめる。
- なぜこのデザインにしたのか、説得力を持って説明できるように準備しよう。
- 作ったイラストや模型も使って、家族や先生にプレゼンテーションするのも素晴らしいゴールです。
自由研究から発見したアイデア
- 着せ替えヘルメット ベースとなるヘルメット本体に、布や樹脂でできた様々なデザインの「アウターカバー」を付け替えることができる。その日の気分やファッションに合わせてコーディネートできる。
- 髪型キープヘルメット 内部の構造を工夫し、お団子ヘアやポニーテールなどの髪型が崩れにくいデザイン。美容師さんと一緒に開発するのも面白いかも?
- スマートヘルメット GPSや骨伝導スピーカーを内蔵し、ナビゲーション音声が聞こえたり、音楽が安全に楽しめたりする。後頭部にLEDライトがつき、ウインカーやブレーキランプの役割を果たす。
- パーソナライズヘルメット 3Dスキャナで頭の形を計測し、自分の頭に完璧にフィットするヘルメットを3Dプリンターで出力する。デザインもAIが好みを分析して提案してくれる。
この自由研究に関連する仕事
- プロダクトデザイナー/インダストリアルデザイナー ヘルメットのような工業製品のデザインを専門に行う仕事です。見た目の美しさだけでなく、安全性、機能性、コストなど、様々な条件をクリアしながら新しい製品を生み出します。
- グラフィックデザイナー ヘルメットの表面に描かれる柄やロゴをデザインする仕事です。魅力的なグラフィックは、製品の価値を大きく高めます。
- マーケター/商品企画 「どんな商品が売れるか?」を調査・分析し、新商品のコンセプトを考える仕事です。この自由研究のStep1〜3は、まさにマーケティングの仕事そのものです。
- ファッションデザイナー 服だけでなく、帽子やアクセサリーなどのアイテムもデザインします。ヘルメットをファッションの一部として捉え、新しいスタイルを提案することも可能です。
まとめ
自転車ヘルメットのデザインを考える自由研究は、私たちの身近にある「ちょっとした不満」を、創造力で解決していくプロセスを体験できる、非常に面白くて価値のあるテーマです。
この研究を通して、物事を多角的に見る力、課題を解決するためのアイデアを形にする力が養われます。そして何より、「自分のアイデアが、社会を少しだけ良くするかもしれない」というワクワク感を感じられるはずです。
さあ、君だけの「みんながかぶりたくなるヘルメット」をデザインして、安全で楽しい自転車ライフを提案してみよう!
関連書籍
身近な仕事について考えてみよう!
- 仕事のことを通じて学んだこと、楽しかったこと、難しかったことを書いてみましょう。
- テーマについての新しい発見や、自分が感じたことをまとめます。
- 今後、さらに調べてみたいことや、他の人に教えたいことがあれば、それも書いてみましょう。