海の未来をきれいに!海洋プラスチック除去オペレーターとは?
広大な海に漂うプラスチックごみを、巨大な回収装置や最新のロボット船を使って集め、海の環境を守る仕事です。ウミガメや魚たちが安心して暮らせるきれいな海を取り戻すため、世界中の海や、ゴミが海に流れ込む前の川を舞台に活躍する、まさに「地球の未来を守る海の掃除屋」です。
この仕事の最大の魅力は、地球規模の大きな環境問題に対して、自分の手で直接解決策を実行できることです。自分が動かした機械が大量のゴミを回収することで、プラスチックを誤って食べてしまう海の生き物の命を救うことができます。 また、AI(人工知能)や自動運転などの最先端テクノロジーを駆使して、数百メートルもある巨大なメカを操作するワクワク感もたまりません。さらに、回収したプラスチックをサングラスや自動車部品などにリサイクルし、ゴミを宝物に変えるクリエイティブな一面もあります。世界中の海を旅しながら、地球のヒーローとして活躍できる、夢とやりがいに満ちた職業です。
海洋プラスチック除去オペレーターとは?
海洋プラスチック除去オペレーターは、ただ網でゴミをすくうだけではありません。科学と技術を組み合わせた大掛かりなプロジェクトです。
例えば、「オーシャン・クリーンアップ」というプロジェクトでは、全長数百メートルにもなる長い浮き(フェンス)を海に浮かべます。このフェンスが海流に乗って動くことで、自然とプラスチックごみが一箇所に集まる仕組みを作ります。オペレーターは、船の上からこのシステムが正しく動いているか監視したり、集まった大量のゴミをクレーンで引き上げたりします。
また、海に出る前の「川」で活躍する仕事もあります。「インターセプター」と呼ばれる太陽光発電で動くロボット船を川に設置し、川から海へ流れ出ようとするゴミを自動でかき集めます。オペレーターは、これらの機械のメンテナンスや、集めたゴミのデータを分析して、より効率的に回収する方法を考えます。
海洋プラスチック除去オペレーターの魅力!
- 海の生き物を救うヒーローになれる
ウミガメ、クジラ、海鳥たちが、プラスチックに絡まったり飲み込んだりして苦しむのを防ぐことができます。「自分の仕事が命を救っている」と実感できる素晴らしい仕事です。 - 最新テクノロジーを操縦できる
衛星データを使ってゴミの場所を探したり、自動で動くロボット船を管理したりします。ゲームや機械いじりが好きな人にとって、最先端の技術に触れられる環境は刺激的です。 - 世界中の海が職場になる
太平洋の真ん中にある「太平洋ゴミベルト」や、東南アジアの大きな川など、世界各地を飛び回ります。普通の人では行けないような場所で働き、美しい自然を間近で感じることができます。 - 新しい産業を作るチャンス(年収・報酬)
まだ新しい分野の仕事ですが、環境問題への注目が高まるにつれて報酬も上がっています。海外のエンジニアやプロジェクトマネージャーの場合、年収は600万円〜1000万円以上になることもあります。回収したプラスチックをリサイクルして商品化し、利益を生み出すビジネスとしても注目されています。 - 未来の地球をデザインする
集めたゴミをただ燃やすのではなく、リサイクルして新しい製品に生まれ変わらせる循環を作ります。「ゴミ=汚いもの」ではなく「ゴミ=資源」という新しい常識を世界に広めることができます。
海洋プラスチック除去オペレーターになるには?
- ステップ1 海と環境への興味を持つ
まずは現状を知ることからスタートです。「なぜプラスチックが海にあるとダメなの?」「どこから流れてくるの?」という疑問を持ちましょう。 あなたの家の近くの川や海には、どんなゴミが落ちていますか? - ステップ2 英語で情報を集める力をつける
この仕事は世界中の人と協力して行います。チームの共通言語は英語です。海外のニュースやウェブサイトを読めるようになると、最新の情報をゲットできます。好きな海の生き物の名前を、英語で言えますか? - ステップ3 STEM(理数系)の知識を学ぶ
海流の動きを計算したり、回収装置を設計・修理したりするには、数学や理科、エンジニアリングの知識が必要です。お風呂に浮かべたおもちゃは、水をかき回すとどのように動きますか? - ステップ4 ボランティアに参加して現場を知る
地域のビーチクリーン(海岸清掃)に参加してみましょう。実際にゴミを拾うことで、ゴミの種類や量、拾うことの大変さを肌で感じることができます。1時間のゴミ拾いで、一番多く見つかるものは何だと思いますか? - ステップ5 専門的な学校や団体を目指す
将来は、海洋学、環境工学、造船学などが学べる大学や、環境保護団体へのインターンシップを目指しましょう。
この分野で有名なプロフェッショナル
ボヤン・スラット(Boyan Slat)氏
オランダ出身の彼は、この仕事の象徴的な存在です。彼が16歳の時、ギリシャの海でダイビング中に魚よりも多いプラスチックゴミを見て衝撃を受けました。「海をきれいにしたい」と強く思った彼は、高校生ながら「海流の力を利用してゴミを集める」という画期的なアイデアを発表。多くの大人や専門家から「不可能だ」と批判されましたが、決して諦めませんでした。 18歳で「オーシャン・クリーンアップ(The Ocean Cleanup)」という非営利団体を設立。クラウドファンディングで世界中から資金を集め、巨大な回収システムを開発し、実際に太平洋での大量ゴミ回収を成功させました。彼の「あきらめない心」と「アイデアを行動に移す力」は、世界中の若者に勇気を与えています。
マーケィングの観点から見ると?
「海洋プラスチック除去」の仕事は、単にゴミ拾いをするだけにとどまらず、「ブルーエコノミー(海の経済)」という新しい世界の産業をリードする存在になるでしょう。
今、世界中の国が「2050年までに海洋プラスチックごみをゼロにする」という目標(大阪ブルー・オーシャン・ビジョンなど)を掲げています。この仕事は、国境を超えて全ての国が必要としている技術です。将来的には、海をきれいにする技術がさらに進化し、宇宙ステーションのゴミ処理に応用されたり、回収したプラスチックが次世代のエネルギー源として活用されたりするかもしれません。この仕事を選ぶことは、地球環境を守る最前線に立ち、世界平和と持続可能な未来(SDGs)に貢献する、グローバルリーダーへの道につながっています。
自由研究の例
- 観察する(現状把握)
家の中で、1週間にどれくらいの「プラスチックごみ(包装、ペットボトルなど)」が出るか集めて記録してみよう。 集めたゴミの中で、一番多かったものは何でしたか? - 実験する(性質を知る
いろいろなプラスチックの切れ端(トレー、キャップ、袋など)をお風呂やバケツの水に入れてみよう。浮くものと沈むものがあるかな? 海で回収しやすいのは「浮くゴミ」と「沈むゴミ」、どっちだと思いますか? - 調査する(つながりを知る)
家から出たゴミや、道端のゴミが、どうやって海までたどり着くのか、地図を見ながらルートを予想してみよう。近くの川はどこにつながっているかな? 雨が降った後、川の様子はどう変わりますか? - 発明する(解決策を考える)
ボヤン・スラットさんのように、自分ならどうやって水面のゴミを集めるか、アイデアをイラストに描いてみよう。「網ですくう」以外に方法はないかな? 魚を傷つけずに、ゴミだけを集めるにはどうしたらいいでしょうか?
まとめ
「海洋プラスチック除去オペレーター」は、テクノロジーと情熱で地球の傷を治すドクターのような仕事です。 今、私たちが便利な生活をしている裏側で、海は静かに悲鳴をあげています。しかし、人間の出したゴミという問題は、人間の知恵と行動で必ず解決できます。 広い海を舞台に、科学の力で未来を変えるこの仕事は、これからますます必要とされる「希望の職業」です。まずは、自分の出したゴミをきちんと捨てることから、あなたも未来のオペレーターとしての第一歩を踏み出してみてください。
関連書籍
身近な仕事について考えてみよう!
- 仕事のことを通じて学んだこと、楽しかったこと、難しかったことを書いてみましょう。
- テーマについての新しい発見や、自分が感じたことをまとめます。
- 今後、さらに調べてみたいことや、他の人に教えたいことがあれば、それも書いてみましょう。





