世界の仕事370|社会課題を解決するためにビジネスモデルを設計・運営する社会起業家

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ビジネスモデルを設計・運営する社会起業家とは?

社会起業家は、貧困、教育、環境問題といった社会課題を、寄付やボランティアに頼るのではなく、ビジネスの手法(商品やサービスの販売)を使って解決する人です。社会的な使命と経済的な持続可能性を両立させ、世界をより良い場所に変えることを目指します。

社会起業家の最大の魅力は、自分の「やりたいこと」と「世の中のためになること」を一致させられる点です。単に利益を追求するだけでなく、「この問題を解決するために起業した」という強い社会的な目的を持って働けます。

例えば、開発途上国で安全な水を届けるビジネスを立ち上げたとしましょう。製品が売れるほど、そのコミュニティの衛生環境が改善され、同時にビジネスも成長します。利益は次の課題解決や事業拡大に再投資されるため、活動が持続可能になります。この仕事は、従来のビジネスでは解決できなかった課題に挑み、世界にポジティブな変化を生み出す「チェンジメーカー」としての大きなやりがいと達成感を与えてくれます。自分のアイデア一つで、人々の生活を一変させられる、夢のある仕事です。

社会起業家の仕事とは?

社会起業家は、社会課題を解決するための革新的なビジネスモデルを設計し、それを実行する役割を担います。

具体的な例 バングラデシュの「グラミン銀行」

ノーベル平和賞を受賞したムハマド・ユヌス氏が設立したグラミン銀行は、貧しい人々、特に女性に「マイクロクレジット(少額の無担保融資)」を提供しました。

普通の銀行はお金持ちにしかお金を貸しませんが、グラミン銀行は担保のない最貧困層に少額のお金を貸し、農作業や手工芸などの小さなビジネスを始める手助けをしました。これは、「貧困層もビジネスを始める能力がある」という信念に基づいた、従来の金融の常識を覆すビジネスモデルです。この仕組みによって、借りた人たちは自立して収入を得られるようになり、貧困問題の解決に貢献しました。つまり、グラミン銀行は、「貧困」という社会課題を「持続可能な金融ビジネス」で解決した社会起業の典型例です。

        社会起業家の魅力!

        1. 社会に大きなインパクトを与えられる
          自分のビジネスが、例えば「何千人もの子供に教育の機会を提供した」「何トンものプラスチックごみを削減した」といったように、具体的な形で社会に貢献できます。「世界を少しでも良くしたい」という情熱がそのまま仕事になります。
        2. 創造性とイノベーション(革新)を追求できる
          社会課題は複雑なので、誰も思いつかなかった新しいアイデアや仕組みを生み出す必要があります。既存の枠にとらわれない、自由な発想でビジネスモデルを設計できる点が魅力です。
        3. 多様な人々と協働できる
          課題を解決するためには、政府、NPO、他の企業、そして課題を抱えるコミュニティの人々など、さまざまな立場のプロフェッショナルと協力し、共通の目標に向かってチームを組むことができます。
        4. 仕事がなくなる心配が少ない
          環境破壊、格差、高齢化など、社会課題は世界中に山積しています。これらの課題が存在する限り、それを解決しようとする社会起業家のニーズは尽きることがありません。社会に必要とされ続ける仕事です。
        5. 努力次第で大きな報酬を得られる可能性(平均的な年収や報酬)
          社会起業家は、一般的な企業の創業者と同じく、事業の成功規模によって報酬が大きく変動します。成功すれば、大企業の経営者レベルの報酬を得る可能性もありますが、重要なのは利益を社会貢献に再投資することです。
          平均的な年収は、企業の規模やフェーズによりますが、設立初期は一般的なサラリーマンよりも低いことが多く、事業が軌道に乗ると日本の平均年収(約440万円)を大きく超えることも珍しくありません。報酬の大部分は、「事業の成長」という形で表れ、それが「より多くの社会課題の解決」に繋がります。

        社会起業家になるには?

          1. 解決したい社会課題を一つ見つける
            「あなたが心から『これは変えたい!』と思う社会課題は何ですか?(例:学校給食の廃棄、ペットの殺処分など)」
          2. その課題の現場を知り、ニーズを徹底的に調査する
            実際に課題を抱えている人々の話を聞き、「なぜ解決されていないのか」を深く掘り下げます。(例:その課題のせいで困っている人の気持ちを想像してみよう!)
          3. 小さなビジネスモデル(アイデア)を考案する
            課題を解決するために「どんな商品やサービス」を「誰に、いくらで」売るのか、紙に書き出します。(例:古着をアップサイクルしたポーチを作って売るのはどうかな?)
          4. 小規模で試行錯誤を繰り返す(プロトタイピング)
            友人や地域のイベントなどで、自分のアイデアを実際に試してみます。失敗してもすぐに改善し、「本当に解決に繋がるか」を検証します。
          5. ビジネススキル(経営、会計、ITなど)を身につける
            アイデアを大きく育てるために、経営やマーケティング、資金調達の方法などを学びます。大学や専門学校、オンライン講座などで学ぶことができます。

          この分野で有名なプロフェッショナル

          ムハマド・ユヌス氏(Muhammad Yunus)

          ムハマド・ユヌス氏(Muhammad Yunus)は、バングラデシュの経済学者であり、「貧困をなくす」という社会的な目標を、「銀行」というビジネスモデルで実現した世界で最も有名な社会起業家です。

          彼は、貧しい人々がお金を借りられないのは、従来の銀行システムが裕福な人向けに作られているからだと考えました。そこで彼は、担保(借金の保証となるもの)を持たない最貧困層の女性たちに、ごく少額のお金を貸し出す「マイクロクレジット」を考案し、グラミン銀行を設立しました。この革新的な金融システムは、貧しい人々の自立を助け、世界中に広がり、2006年にユヌス氏とグラミン銀行はノーベル平和賞を受賞しました。彼は、「ビジネスは利益だけでなく、人々の幸せのためにある」ことを証明しました。

          マーケィングの観点から見ると?

          将来、社会起業家の役割はますます重要になり、グローバル社会の根幹を担うようになります。

          現在、気候変動、貧富の格差、パンデミックなど、一つの国や一企業だけでは解決できない地球規模の課題が山積みです。社会起業家は、これらの問題に対して、従来の政府の支援や慈善活動とは異なる、持続可能な解決策を提供します。彼らが設計するビジネスモデルは、「稼ぐ力」を持っているため、一度成功すればその解決策は国境を越えて展開され、世界中の同様の問題を解決できるようになります。

          例えば、ある国で成功したごみ処理ビジネスの仕組みは、他の開発途上国でも採用され、瞬く間に地球の環境改善に貢献するでしょう。社会起業家は、未来の課題解決において、最も迅速で、最も持続可能で、最も革新的なエンジンとして機能する、素晴らしい職業です。

          自由研究の例

          社会起業家の仕事をもっと知りたいあなたに、こんな自由研究はいかが?

          テーマ:身近な社会課題をビジネスで解決する!

          1. 課題発見
            「学校や家、近所で『困っていること』や『もったいないな』と思うことは何ですか?」(例:給食の食べ残し、使わなくなったおもちゃの山)
          2. 現状分析
            その課題は「誰」が「どうして」困っているの?を調べよう。(例:食べ残しを捨てているのは栄養士さん?生徒?なぜ残しちゃうんだろう?)
          3. アイデア発想
            その課題を解決するために、『売れる商品やサービス』を考えてみよう!(例:食べ残しが少ないクラスに豪華デザートを売る「ごほうびサービス」とかどうかな?)
          4. ビジネス設計
            その商品やサービスで「どうやってお金を稼ぐか」を考えよう。誰からお金をもらって、誰にメリットがあるかを整理しよう。(例:デザート代を保護者から集め、残飯が減った分の給食費をみんなに還元する、とか?)
          5. プレゼンテーション
            考えたアイデアを「学校の先生や保護者」に発表して、「本当にうまくいくか」意見をもらおう!

          まとめ

          社会起業家は、「利益を追求するビジネス」と「社会を良くするミッション」を融合させた、未来型の働き方です。彼らの仕事は、単に良いことをするだけでなく、持続可能な仕組みを通じて、地球規模の課題に立ち向かうことです。もしあなたが、「世の中の『おかしいな』と思うことを変えたい!」という強い情熱と、それを実現するためのアイデアを持っているなら、社会起業家はまさにあなたにぴったりの仕事です。あなたの情熱とアイデアが、世界を動かす大きな力になるでしょう。さあ、あなたも今日から身近な課題に目を向け、「チェンジメーカー」への一歩を踏み出してみませんか。

           

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          身近な仕事について考えてみよう!

          • 仕事のことを通じて学んだこと、楽しかったこと、難しかったことを書いてみましょう。
          • テーマについての新しい発見や、自分が感じたことをまとめます。
          • 今後、さらに調べてみたいことや、他の人に教えたいことがあれば、それも書いてみましょう。

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