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今回のテーマ
「自宅まわりの植物の開花時期の変化を記録して季節との関係を考えてみよう」
この研究は、自分の家の庭や近くの公園、通学路に咲く植物の「開花日」を記録し、それが気温や季節の移り変わりとどう関係しているかを探るプロジェクトです。 「去年より早く咲いたかな?」「今年は寒いから遅いかな?」といった身近な疑問を出発点に、植物が季節をどう感じ取っているのかを科学的な視点で観察します。
自由研究の目的
私たちはカレンダーを見て「春が来た」と知りますが、植物は温度や日の長さ(日照時間)を敏感に感じ取って花を咲かせます。 しかし今、地球温暖化によってそのリズムが少しずつ狂い始めています。植物の開花時期を学ぶことは、私たちの暮らしを支える生態系が、環境の変化にどう反応しているかを知ることにつながります。これは、未来の地球を守るための「環境ものさし」を手に入れる学習なのです。
自由研究のゴール
この研究のゴールは、単に「花が咲いた日をメモする」だけではありません。 一歩進んで、「気象データ(平均気温など)と開花日の相関関係を見つけること」を目指しましょう。 例えば、「2月の気温が1度上がると、サクラの開花が〇日早まる可能性がある」といった自分なりの仮説や発見を導き出せれば、それは立派な科学レポートになります。
具体的事例
- ソメイヨシノ(サクラ) 日本で最も有名な観察対象です。ニュースで流れる「開花予想」と自分の観察を比べてみましょう。
- タンポポ 地面に近いところで咲くため、地表の温度の影響を受けやすい植物です。
- アジサイ 梅雨の時期に咲きますが、雨の量や5月の気温によって色や時期がどう変わるか観察してみましょう。
- 近所の雑草 名前も知らないような小さな花でも、毎年同じ場所に咲くなら立派な観察対象になります。
研究を進めるうえで、以下のポイントに注目しよう!
- 同じ個体を観察する 毎日通る道にある「あの木」「あの場所の草」と決めて観察しましょう。
- 「開花」の定義を決める 「1輪でも咲いたら」なのか「5〜6輪咲いたら」なのか、自分なりのルールを最初に決めます。
- 周辺環境もメモする 日当たりが良い場所か、ビル風が当たる場所かなど、場所の特徴も重要です。
自由研究の進め方
- 観察する植物を決める 1年を通じて観察しやすい、身近な植物を3〜5種類選びます。
- 観察ノートを作る 日付、天気、最高気温、植物の状態(つぼみ、咲き始め、満開、散り始め)を記録する表を作ります。
- 過去のデータと比較する 気象庁のホームページなどで、自分の住んでいる地域の「去年の開花日」や「平年の気温」を調べてみましょう。
- 写真やイラストで記録する 言葉だけでなく、変化がわかるように同じアングルから写真を撮り続けると、変化が目に見えてわかります。
- 考察をまとめる 「なぜ今年は早かったのか?」を、気温や日照時間と結びつけて自分の考えを書きましょう。
自由研究から発見したアイデア
- 「都市の熱(ヒートアイランド現象)」の調査 駅前の暖かい場所と、少し離れた涼しい場所で、同じ種類の花の開花時期がどれくらい違うか比較してみる。
- 「昆虫とのタイミング」調査 花が早く咲きすぎてしまった時、蜜を吸いに来るハチやチョウはちゃんと来ているか? 生き物同士のつながりがズレていないか観察する。
この自由研究に関連する仕事
- 樹木医 木の健康状態を診断し、治療する専門家です。
- 気象予報士 天気だけでなく、植物の開花予想などを通じて季節の便りを伝えます。
- 環境コンサルタント 開発が自然環境に与える影響を調査し、守るためのアドバイスをします。
- 農業研究員 気候の変化に合わせて、おいしい野菜や果物を作る時期を研究します。
まとめ
自宅のまわりにある小さな花は、地球の大きな変化を教えてくれる「メッセンジャー」です。開花時期を記録することは、あなただけの「自然のカレンダー」を作ること。それは、数年、数十年経った時に、地球がどう変わったかを証明する貴重な宝物になります。 まずは今日、帰り道で見つけた花の「つぼみ」の様子をメモすることから始めてみませんか?
関連書籍
身近な仕事について考えてみよう!
- 仕事のことを通じて学んだこと、楽しかったこと、難しかったことを書いてみましょう。
- テーマについての新しい発見や、自分が感じたことをまとめます。
- 今後、さらに調べてみたいことや、他の人に教えたいことがあれば、それも書いてみましょう。





