今回のテーマ
「環境センサー(温度・湿度・CO₂など)を設置して、家庭内の空気質変化を連続観測してみよう」
この自由研究は、自宅に温度、湿度、二酸化炭素(CO₂)などのセンサーを設置し、家庭内の空気質(空気のきれいさや快適さ)がどのように変化しているかを、データを使って科学的に観測し、分析する探究活動です。
ただ「暑い」「寒い」と感じるだけでなく、目に見えない空気の変化を「見える化」することで、家族の健康や快適さ、省エネにつながる新しい発見を目指します。スマートフォンや簡単な記録用紙を使って、データを連続して記録し、グラフでまとめて比較してみましょう。
自由研究の目的
私たちは一日の大半を自宅で過ごしますが、実は家の中の空気質は、健康や集中力に大きく影響しています。例えば、CO₂濃度が高すぎると眠くなったり、集中力が落ちたりします。また、湿度が低すぎると風邪を引きやすくなったり、高すぎるとカビが生えやすくなったりします。
この研究は、「見えないものを科学的に理解する力」を養います。データに基づいた観察を通して、単なる感覚ではなく、科学的な根拠をもって「どうすれば快適で健康的な空間になるか」を考える習慣が身につきます。これは、学校の勉強だけでなく、地球温暖化や環境問題といったグローバルな課題を理解するためにも役立つ、とても大切なスキルです。
自由研究のゴール
- レベル1 特定の場所(リビングや自分の部屋など)で、「一日の温度と湿度の変化」を観測し、グラフにまとめる。
- レベル2 「CO₂濃度」の変化も観測に加える。人がいるときといないとき、窓を開けたときなど、特定の行動と空気質データの関係を発見する。
- レベル3 複数の部屋や、家の中と外など、2カ所以上の場所のデータを同時に比較し、空気質を改善するための具体的な方法(換気の時間や加湿器の置き場所など)を提案する。
夕食時のリビングのCO₂濃度を観測事例
センサーをリビングに設置し、家族が夕食をとる前、最中、後のCO₂濃度を記録しました。
【発見】 食事が始まり、家族全員がリビングに集まると、CO₂濃度が急上昇しました。特に、ご飯を食べながら話しているときが最も高くなりました。
【結論】 CO₂濃度が基準値を超え、眠気を感じやすいレベルになっていることがわかりました。食事の前に少し窓を開けて換気することで、食後もスッキリ過ごせるようになりました。
このように、データで「見える化」することで、普段何気なく行っている生活の中に、改善点を見つけることができます。
研究を進めるうえで、以下のポイントに注目しよう!
成功するためのポイントは、「条件を明確に決める」ことです。
- 観測場所を固定する センサーをどこに置くかでデータが変わるので、床から1メートル、壁から離れた場所など、条件を統一しましょう。
- 観測時間を決める 毎日同じ時間帯(例:朝7時、昼12時、夜9時)にデータを記録しましょう。
- 「何をしたか」をメモする データ記録の際には、同時に「窓を開けた」「加湿器をつけた」「料理をした」「家族が3人いた」など、その時の環境の変化を必ずメモに残すことが、発見につながります。
自由研究の進め方
必要な道具を揃えよう!
温度・湿度計(CO₂センサーもあるとGOOD)、記録ノート、記録用スマートフォンまたはカメラを用意します。
観測場所と時間を決める!
「自分の部屋のベッドの横」「リビングのテーブルの上」など、観測する場所を決め、毎日最低3回は記録する時間帯を決めましょう。
データを記録し続ける!
決めた時間に、データ(温度、湿度、CO₂濃度)と、その時の「行動メモ」を記録ノートに書きましょう。
グラフで「見える化」する!
集めたデータをパソコンやノートを使ってグラフにしてみましょう。棒グラフ、折れ線グラフを使い分け、比較しやすい形にまとめます。
データから発見を見つける!
グラフの大きな変化があったところに注目!「この時、換気したらCO₂濃度が下がった!」「雨の日は、湿度が高くなった!」など、キミの言葉で発見をまとめましょう。
自由研究から発見したアイデア
- 「快適度タイマー」アプリの提案 観測データに基づき、「CO₂が高くなり始めたら、スマホで換気を促すアラームが鳴る」タイマーアプリを企画してみましょう。
- 「究極の省エネルーム」デザイン 観測した温度・湿度の変化から、冷暖房に頼りすぎず、窓の開け方や家具の配置だけで一年中快適に過ごせる部屋のレイアウト図をデザインしてみましょう。
- 「家族のための健康ルール」制定 データに基づき、「夜9時になったら5分間窓を開ける」など、家族みんなで守るべき新しい換気や湿度管理のルールを提案し、実行してみましょう。
この自由研究に関連する仕事
- 建築家/住宅デザイナー 快適で省エネな家を設計するために、空気質データを活用します。
- 環境コンサルタント 企業や公共施設の空気や水の環境を調査し、改善策を提案します。
- センサー開発エンジニア より小さく、正確で、使いやすい環境センサーやIoT(モノのインターネット)機器を開発します。
- 健康科学者 空間の環境が、人の体や心に与える影響を研究します。
まとめ
環境センサーを使った空気質の連続観測は、科学的な探究と日常生活が直結した、面白くて実用的な自由研究です。目に見えない空気の変化をデータで捉えることで、キミは自分の部屋の「空気の番人」となり、家族の健康と地球の省エネに貢献できます。小さな探究から、未来の環境を守る大きなアイデアが生まれるかもしれません。さあ、センサーをセットして、キミだけの空気の秘密を発見しに行きましょう!
関連書籍
身近な仕事について考えてみよう!
- 仕事のことを通じて学んだこと、楽しかったこと、難しかったことを書いてみましょう。
- テーマについての新しい発見や、自分が感じたことをまとめます。
- 今後、さらに調べてみたいことや、他の人に教えたいことがあれば、それも書いてみましょう。





