今回のテーマ
「バイオプラスチックの分解速度を比較してみよう」
身近な材料を使って、バイオプラスチックを作ってみよう!
バイオプラスチックは、植物などの生物資源を原料として作られるプラスチックです。石油から作られる一般的なプラスチックとは異なり、微生物の力で自然に分解されるものがあります。
この自由研究では、身近な材料である片栗粉(でんぷん)を使ってバイオプラスチックを作り、さらにそれが土の中でどれくらいの速さで分解されるのかを観察します。
自由研究の目的
近年、地球の環境問題で特に大きな課題となっているのが、プラスチックごみ問題です。海に流れ出たプラスチックごみが、海洋生物に悪影響を与えたり、マイクロプラスチックとなって私たちの体にも影響を及ぼしたりする可能性が指摘されています。
この問題を解決するための1つの方法として、自然に分解されるバイオプラスチックが注目されています。
この実験を通して、プラスチックごみ問題について考え、環境にやさしい素材について知るきっかけにしてみましょう。
自由研究のゴール
ゴール バイオプラスチックが土の中で分解される様子を観察し、分解を速める条件と遅くする条件を見つけ出す。
- レベル1 バイオプラスチックを作って分解実験をしてみる。
- レベル2 分解の様子を写真や動画で記録し、経過をまとめる。
- レベル3 分解を速める条件(例:水分量、温度、土の種類)や遅くする条件(例:乾燥した場所、砂など)を変えて実験し、比較する。
- レベル4 なぜそのような結果になったのかを考察し、分解のメカニズムについて調べる。
バイオプラスチックを使った製品例
世の中には、すでにバイオプラスチックを使った製品がたくさんあります。
- コンビニで提供されるスプーンやフォーク
- 食品を包装するラップや袋
- 生分解性のゴミ袋
- 一部のおもちゃ
こうした製品は、使用後に土に埋めたり、コンポスト(堆肥化)したりすることで、微生物の力で水と二酸化炭素に分解されます。この自由研究の実験結果は、こうした製品がどのような環境で分解されるのかを考えるヒントになります。
研究を進めるうえで、以下のポイントに注目しよう!
- 安全第一! 材料は身近なものですが、熱いお湯を使うのでやけどに注意しましょう。
- 記録は細かく! 実験した日付、気温、天候、土の状態などを毎日記録することで、分解の速さの違いがより明確になります。
- 複数の条件で比較! 分解の速さが何によって変わるのかを調べるために、「日当たりの良い場所」「日陰」「水を与える」「水を与えない」など、複数の条件で実験してみましょう。
自由研究の進め方
準備するもの
- 片栗粉:大さじ4杯
- 水:大さじ1杯
- 食用油:小さじ1/2杯
- 食酢:小さじ1/2杯
- フライパン
- スプーン
- ビニール手袋
- バイオプラスチックを入れる容器(ペットボトルを半分に切ったものなど)
- 比較用の土や砂など
作り方
- 片栗粉、水、食用油、食酢をすべてフライパンに入れる。
- スプーンでよく混ぜる。
- 弱火にかける。熱くなってきたらスプーンで混ぜ続け、固まり始めたら火を止める。
- 全体がもちもちとした半透明の塊になったら、クッキングシートなどの上に広げて冷ます。
- 冷めたら手で丸めたり、好きな形に整えたりする。
分解実験
- バイオプラスチックを複数作る。
- 容器に土を入れ、バイオプラスチックを半分埋める。
- 複数の容器を「日当たりの良い場所」「日陰」などに置き、毎日観察する。
- 霧吹きなどで水分を与えるグループと、与えないグループも作って比較してみる。
- 観察日記をつけ、写真やイラストで記録する。
- 1週間から2週間ほど観察し、最終的な結果をまとめる。
自由研究から発見したアイデア
- 微生物を増やすには?
畑の土、庭の土、公園の土など、土の種類を変えて実験してみる。 - 温度と湿度の最適な条件は?
温室や冷暗所など、さまざまな環境で実験してみる。 - バイオプラスチックに別の材料を混ぜるとどうなる?
コーヒーかすや卵の殻などを混ぜて、分解の速さや強度に違いが出るか調べてみる。 - バイオプラスチックを工業製品に応用するには?
作ったバイオプラスチックを型に入れて、容器やおもちゃなど、もっと複雑な形のものを作ってみる。
この自由研究に関連する仕事
- 環境コンサルタント 企業や自治体に対して、環境問題の解決策を提案する専門家。
- 化学研究者 新しい素材や技術を開発する研究者。バイオプラスチックの開発も、この分野に含まれる。
- 農業研究者 植物や土壌の研究を通して、持続可能な農業技術を開発する。
- プロダクトデザイナー 環境に配慮した素材を使って、新しい製品をデザインする。
まとめ
手作りバイオプラスチックの実験を通して、環境問題について深く考えるきっかけになったのではないでしょうか。
身近な材料でものを作り、それが自然に還っていく様子を観察することで、地球のしくみや未来の素材について考えるヒントを得ることができます。
この研究をきっかけに、ぜひ環境問題や科学の分野に興味を広げてみてください。
関連書籍
身近な仕事について考えてみよう!
- 仕事のことを通じて学んだこと、楽しかったこと、難しかったことを書いてみましょう。
- テーマについての新しい発見や、自分が感じたことをまとめます。
- 今後、さらに調べてみたいことや、他の人に教えたいことがあれば、それも書いてみましょう。