生態系を守るために!身近な自然を観察して調べてみよう!
私たちの周りには、たくさんの生き物たちがいます。公園の木々や草花、池で泳ぐメダカや昆虫たち。これら全ての生き物は、お互いに関わり合いながら「生態系」という一つの大きな輪を作って生きています。しかし、人間の活動や外来種の侵入など、様々な原因でこの生態系のバランスが崩れ、破壊されてしまう問題が世界中で起きています。
この自由研究では、まず「生態系」とは何かを学び、私たちの身近な自然がどのような状況にあるのかを観察・記録します。そして、生態系が直面している問題について理解を深め、私たちに何ができるのかを考えていきます。
「生態系が壊れると、なぜいけないの?」と疑問に思うかもしれません。生態系は、私たちが生きていく上で欠かせない「恵み」をたくさん与えてくれています。例えば、きれいな空気や水、食べ物、そして病気や災害を防ぐ力などです。
生態系のバランスが崩れると、特定の生き物だけが異常に増えたり、逆に絶滅してしまったりします。その結果、これまで当たり前のように受けてきた自然の恵みが受けられなくなる可能性があります。
このテーマを学ぶことで、自然環境への関心を高め、科学的なものの見方や問題解決能力を養うことができます。そして何より、私たち自身が地球の一員として、未来の環境を守るための行動を起こすきっかけになるのです。
自由研究のゴール
- レベル1 身近な生き物を知る
- 公園や川など、決めた場所の生き物を観察し、名前や特徴を記録できる。
- 見つけた生き物同士の「食べる・食べられる」の関係を簡単な図で表すことができる。
- レベル2 生態系の仕組みを理解する
- 観察場所の環境(日当たり、水質など)と生き物の関係性を説明できる。
- 外来種など、本来その場所にいなかった生き物がいるかどうかが分かり、在来種との違いを比較できる。
- レベル3 生態系の問題を分析し、提案する
- 観察場所の生態系が抱える問題点(ゴミ問題、外来種の繁殖など)を特定し、その原因を推測できる。
- 問題解決のために、自分たちでできる具体的なアクションプランを考え、提案することができる。
身近な場所で生態系の破壊が進んでいる例
事例1 アメリカザリガニによる水辺の環境変化
元々は食用として持ち込まれたアメリカザリガニ。今では日本の多くの池や川で見られます。繁殖力が非常に強く、水草を切ったり、メダカや水生昆虫を食べたりするため、元々いた日本の生き物たちが住処や食べ物を奪われて減少しています。
事例2 セイヨウオオマルハナバチと在来種の競争
トマトの受粉を助けるために輸入されたセイヨウオオマルハナバチ。しかし、野生化したものが日本の在来種のマルハナバチと花の蜜を巡って競争し、在来種の数を減らす一因となっています。また、在来の植物だけでなく、侵略的な外来植物の受粉を手伝ってしまう問題も指摘されています。
事例3 身近な緑地の減少
都市開発などによって、カブトムシやクワガタのすみかとなる雑木林や、チョウやバッタが暮らす草地が減少しています。これにより、そこを住処としていた昆虫や、その昆虫を食べる鳥なども姿を消してしまいます。
研究を進めるうえで、以下のポイントに注目しよう!
安全第一!
- 観察に行くときは、必ず大人と一緒に行動しましょう。
- 草むらや水辺では、長袖・長ズボンを着用し、虫刺されや怪我に注意しましょう。
- 危険な生き物にはむやみに近づいたり、触ったりしないようにしましょう。
観察場所を決めよう
- 公園、学校の校庭、近くの川や田んぼなど、継続して観察できる身近な場所を選びましょう。
記録をきちんと取ろう
- 「フィールドノート」を用意し、日付、天気、気温、観察場所、見つけた生き物の名前、数、様子などを詳しく記録します。
- 絵や写真、動画で記録するのも効果的です。生き物だけでなく、その周りの環境(植物、ゴミの有無など)も一緒に記録すると、後で分析しやすくなります。
五感をフル活用しよう
- 目で見るだけでなく、鳥のさえずりや虫の声に耳をすませたり、土や花の匂いをかいでみたりと、五感を使って自然を感じてみましょう。新しい発見があるかもしれません。
自由研究の進め方
ステップ1 テーマと場所を決める
- 「身近な生態系」という大きなテーマの中から、「公園の池の生態系」「校庭の雑草と昆虫の関係」など、具体的なテーマと観察場所を決めます。
ステップ2 計画を立て、必要なものを準備する
- いつ、誰と、どこで、何を観察するのか計画を立てます。
- フィールドノート、筆記用具、図鑑、カメラ、虫かご、網などを準備します。
ステップ3 観察と記録
- 決めた場所に通い、観察と記録を続けます。
- できれば、朝・昼・夕方など時間を変えたり、晴れの日と雨の日で比較したりすると、より多くの発見があります。
- 図書館やインターネットで、見つけた生き物の生態や、外来種かどうかを調べてみましょう。
ステップ4 結果を整理し、分析する
- 記録したノートや写真を見返し、分かったことを整理します。
- 「見つけた生き物リスト」や、生き物同士の関係性を矢印でつないだ「食物網の図」などを作成します。
- 観察場所の生態系に問題はないか、あるとしたらそれはなぜかを考えます。
ステップ5 まとめと発表
- 研究の動機、方法、結果、分かったこと(考察)、そして生態系を守るための自分の考えや提案を模造紙やスケッチブックにまとめます。
- グラフや写真を入れると、より分かりやすく伝えることができます。
自由研究から発見したアイデア
- アイデア例1 外来種マップの作成
自分の住む地域で、どこにどんな外来種がいるのかを地図にまとめ、地域の環境問題として発信する。 - アイデア例2 小さなビオトープ作り
家の庭やベランダに、メダカや水草など在来の生き物が住める小さな水辺(ビオトープ)を作り、生態系を呼び戻す実験をする。 - アイデア例3 生態系を守るためのポスター制作
観察して分かった問題点(ゴミのポイ捨て、特定外来生物など)をテーマに、生態系を守ることの大切さを伝えるポスターを作成し、学校や公民館に
この自由研究に関連する仕事
- 環境コンサルタント 地域の開発計画が自然環境に与える影響を調査し、生態系を守るためのアドバイスをします。
- レンジャー(自然保護官) 国立公園などの自然を守るため、パトロールや動植物の調査、利用者への解説などを行います。
- ビオトープ管理士 失われた自然を再生・創造するための専門家です。地域の生き物に配慮した環境づくり計画を立て、施工・維持管理を行います。
- 研究者(生態学) 大学や研究機関で、生き物同士の関係や生態系の仕組みを専門的に研究し、保全のための科学的なデータを提供します。
- インタープリター 自然公園や博物館で、自然の面白さや大切さを人々に分かりやすく伝える専門家です。
まとめ
この自由研究を通じて、私たちは身近な自然の中に、複雑で精巧な「生態系」という世界が広がっていることを学びました。そして、その生態系が今、様々な危機に瀕していることも理解できたはずです。
大切なのは、知って終わりにするのではなく、観察で得た気づきから「自分には何ができるだろう?」と考え、小さな一歩を踏み出すことです。ゴミを拾う、外来種について家族や友達と話してみる、地域の自然保護活動に参加してみる。その一つ一つの行動が、未来の豊かな生態系を守る大きな力になります。
さあ、あなたも身近な自然を観察して、地球の未来を守る冒険に出かけましょう!
関連書籍
身近な仕事について考えてみよう!
- 仕事のことを通じて学んだこと、楽しかったこと、難しかったことを書いてみましょう。
- テーマについての新しい発見や、自分が感じたことをまとめます。
- 今後、さらに調べてみたいことや、他の人に教えたいことがあれば、それも書いてみましょう。