自由研究403|ワーキングプア「仕事と生活のバランスをとるために!最低賃金について考える」

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仕事と生活のバランスをとるために!最低賃金について考えてみよう!

ワーキングプアとは、働いているのに十分な収入が得られず、生活が苦しい人のことを指します。最低賃金は労働者が最低限の生活を送るために必要とされる賃金の基準であり、国や都道府県ごとに定められています。この自由研究では、働く人々が安心して暮らせるために、最低賃金がどのように設定され、実際にどれだけの影響を与えているのかを調べ、「仕事と生活のバランス」を考えるきっかけをつくります。

どうして最低賃金について考えみるの?

  • 社会の仕組みを理解するため お店で働くアルバイトやパートタイマー、フルタイムの社員が受け取る賃金は、私たちの暮らしに直結しています。最低賃金を学ぶことで、「なぜ仕事をしても生活が苦しくなる人がいるのか」「どうすれば働きながら安心して暮らせるのか」を考える力が身につきます。
  • 公平・公正な社会を考えるため 働くという行為は社会を支える大切な役割です。同じ仕事をしても賃金が低すぎれば、やる気や将来への希望を失いかねません。子どもたち自身が「働くことの価値」や「社会全体のしくみ」を学び、公平・公正な社会づくりについて意見を持つきっかけになります。
  • 身近な問題への興味を育むため 家族や知り合いのアルバイト先の話を聞いたり、テレビやニュースで取り上げられるワーキングプアの事例に触れたりすると、「自分の将来の働き方」にも関心が高まります。自由研究を通して、自分ごととして社会問題をとらえる力が育まれます。

自由研究のゴール

この研究を通じて、以下のような力を身につけることが目標です

  1. 最低賃金のしくみを正しく理解する
    日本国内で最低賃金がどのように決められているのか、都道府県ごとの差はなぜ生まれるのかを説明できるようになる。
  2. ワーキングプアの現状を数値やインタビューでつかむ
    実際に働いている人へのアンケートやインターネット調査を通して、どれくらいの賃金でどんな生活を送っているのかを具体的にまとめられるようになる。
  3. 仕事と生活のバランスを考える視点を身につける
    時間や収入、家族構成、趣味や学業との両立など、多角的にバランスを見る方法を学び、自分なりの改善アイデアを提案できるようになる。

このように、「最低賃金を知る」「ワーキングプアの現状をつかむ」「バランスの視点を獲得する」という3つのステップをクリアすることが自由研究の到達目標です。

    最低賃金について考えた例

    Aさん(20代・女性・アルバイト)

    • 都内の飲食店で時給1,100円で働き、月に100時間程度シフトに入っています。家賃や光熱費を引くと、手元に残るお金は約5万円前後。
    • 食費を節約するために自炊をしたり、週末はできるだけ友達と過ごす回数を減らしたりと工夫していますが、学業とアルバイトの両立は大変だと話しています。

    Bさん(30代・男性・派遣社員)

    • 地方都市の工場で日給8,000円(1日8時間実働)、週5日勤務しています。月の手取り額は約15万円。
    • 交通費が出ないため、通勤費を自己負担すると実質収入はさらに少なく、家族4人の生活を支えるにはギリギリの金額です。休日に副業として家のリフォームを手伝って収入を補っています。

    海外の事例 Cさん(アメリカ・シアトル在住・飲食スタッフ)

    • シアトルでは最低賃金が時給約18ドル(約2,500円)と、日本より高い水準に設定されています。
    • それでも家賃や医療費が高いため、シェアハウスや自転車通勤などで生活コストを抑え、なおかつ週60時間近く働かないと家族4人分の生活費が賄えないという現状があります。 

    これらの事例から、たとえ最低賃金以上でも、地域や生活スタイルによっては十分とは言えないことがわかります。

    研究を進めるうえで、以下のポイントに注目しよう!

    データ収集と比較

    • 日本全国の都道府県別最低賃金の一覧をまとめ、都市部と地方でどのくらい差があるのかをグラフや地図で可視化しましょう。
    • 海外との比較も面白いポイントです。アメリカやヨーロッパ、アジア諸国の最低賃金を調べ、為替レートを計算して「日本と比べてどれくらい違う?」を考察します。

    身近な現場インタビュー

    • 家族や近所のスーパー、飲食店、コンビニでアルバイトをしている人にアンケートや聞き取り調査を行い、「収入」「生活費」「将来の目標」などを聞き出します。
    • インタビューの結果を、自由研究の資料に写真(※許可を得た上で)やコメント付きでまとめると、読み手に伝わりやすくなります。

    生活費のシミュレーション

    • 単身者・夫婦・子どもがいる家族など、モデルケースをいくつか設定し、「月20万円」「月15万円」「月10万円」の収入でどのように生活するかを表にして比較します。
    • 食費や家賃、光熱費、通信費、娯楽費、貯金額などの項目ごとに予算を組み、無理なく生活できるラインを探ります。

    グラフや図表の活用

    • 「都道府県別最低賃金と生活費の差額」「年齢別・職業別の労働時間 vs. 収入」「家賃相場との比較」など、グラフや棒グラフ、円グラフを使うと、視覚的にわかりやすくなります。
    • 小学校高学年~中学生向けには、色分けやイラストを交えて情報を整理すると、読みやすくなります。

    自分なりの問いを立てる

    「最低賃金が今の水準で本当に足りるのか?」「仕事時間をもっと短くしても生活を維持できる方法があるか?」など、自分で考えた疑問を自由研究のテーマに盛り込むと、オリジナリティの高いレポートが仕上がります。

    自由研究の進め方

    1. テーマと仮説を立てる

      • まずは「最低賃金が○○円だとどんな生活になるか?」など、自分が知りたい具体的なテーマや疑問を書き出しましょう。
      • 仮説を立てます。例:「最低賃金が○○円上がれば、アルバイトだけでももう少し生活にゆとりができるはずだ」
    2. データを集める

      • 日本政府や各都道府県の労働局ウェブサイトで「最低賃金一覧表」をダウンロード。表やグラフにまとめます。
      • 家庭や近所の人、すでに働いている知り合いに簡単なアンケート(Q&A方式)を実施し、「月々の働く時間」「手取り」「生活費」「苦労していること」を聞き取ります。
    3. 調査結果を整理する

      • エクセルやノートにまとめたデータを、学年に合わせたグラフや図に変換。カラーペンやマーカーを使って、見やすいレイアウトを心がけましょう。
      • インタビューした場合は、写真やコメントを貼り付けることで、視覚的にインパクトのある資料に仕上げます。
    4. 考察・分析する

      • 「最低賃金の都道府県差」「生活費と賃金のギャップ」「年齢別・性別で違いはあるのか」など、データをもとに気づいたことを文章でまとめます。
      • 自分の仮説が正しかったのか、結果から検証します。たとえば、「仮説:時給1,000円だと生活が苦しい→実際には1,200円でも苦しい地域がある」など。
    5. アイデアや提案をまとめる

      • 調査結果を踏まえ、「どうすれば仕事と生活のバランスが取れるのか」「最低賃金以外にできる支援策は何か」を考え、自分なりの提案を作成します。
      • 頭の中だけで考えるのではなく、家族や先生、友達と話し合うことで、新しい発見が生まれやすくなります。
    6. 発表資料を作成する

      • 図表やイラストを挿入しながら、自由研究の流れ(目的→データ→考察→提案)をスライドや模造紙にまとめます。
      • 発表の練習をして、質問が来たときに答えられるように、調査の背景や数字の意味を自分の言葉で説明できるようにしておきましょう。

    自由研究から発見したアイデア

      1. 「時間割りバランス表」を作ろう
        アルバイトやパートのシフト時間を可視化し、生活費を稼ぎつつ勉強や休息の時間を確保しやすいモデルを考える。たとえば、「週に○日、午前中だけ働いて午後は学校で勉強する」などの工夫を一覧化すると、バランスの取り方がわかりやすくなります。
      2. 地域支援制度のアイデア
        地方自治体に「子どもの学費補助」と「生活相談窓口」を組み合わせた支援プログラムを提案。ワーキングプアの家庭が学校や仕事の両立に困らないよう、相談窓口で家計や学習支援をワンストップで受けられる仕組みを考えます。
      3. 「最低賃金目安カレンダー」を作ろう
        月ごと、季節ごとの生活費(光熱費や食費などの変動)を考慮し、「最低賃金が○円以上なら生活できる」という目安をカレンダー形式で表示するアイデア。たとえば、夏場の冷房費が増える7月・8月、冬場の暖房費が増える1月・2月には目安を少し高めに設定することで、よりリアルな生活モデルが見えてきます。
      4. 「みんなでシェア節約レシピ集」を作ろう
        アルバイトやパートで忙しい人も簡単に作れる「節約レシピ」を集め、月々の食費を抑えつつ栄養バランスも保てるメニューを紹介。SNSやコミュニティ掲示板でシェアし合うアイデアです。
      5. 「ワーキングプアを防ぐためのキャリア教育プログラム」
        中学生・高校生向けに、早い段階から働くことのリスクや必要なスキルを学ぶキャリア教育プログラムを提案。就職活動前に「最低賃金の仕組み」「働き方改革」「副業・起業の選択肢」を学ぶことで、より適切な仕事選びができるようになります。

      この自由研究に関連する仕事

        1. 労働経済学者(Labor Economist) 最低賃金や労働市場の仕組みをデータで分析し、政策提言を行う専門家。大学やシンクタンク、政府機関で働きます。
        2. 労働政策担当官(Labor Policy Officer) 厚生労働省や都道府県の労働局などで、最低賃金の改定や労働環境改善のための制度設計を行う役割を担います。
        3. 社会福祉士(Social Worker) 生活に困っている家庭や個人の相談に乗り、制度や支援策を案内する仕事。ワーキングプア世帯へのアドバイスや就業支援などを行います。
        4. 人材コンサルタント(HR Consultant) 企業の人事部門と連携し、適正な賃金設定や働きやすい職場づくりをサポート。最低賃金だけでなく、福利厚生や労働時間の見直しを提案します。
        5. NPOスタッフ(Non-Profit Organization Staff) ワーキングプアや低所得者を支援するNPOで、イベント企画や相談会を運営する仕事。現場で困っている人の声を集め、政策提言や地域支援活動に繋げます。
        6. ファイナンシャルプランナー(Financial Planner) 家計のやりくりをサポートする専門家。ワーキングプアの家庭向けに、収入と支出のバランスを調整するアドバイスや貯蓄プランの提案を行います。

        これらの仕事は、「働くこと」「賃金」「生活支援」に関わり、ワーキングプア問題の解決に寄与します。将来、自分の自由研究で得た知見を生かして、社会を支える仕事に進むことも可能です。

        自由研究のまとめ

        最低賃金は、働く人が「人らしく生きるため」の大事なルールです。でも、それだけでは足りないこともあります。この研究を通して、働くことの意味や、だれもが安心して暮らせる社会とはどんなものかを考えるきっかけになります。これからの社会を作っていくみなさんが、「やさしさ」と「しくみ」をバランスよく見つめられるようになることを願っています!

        参考リンク

        • 厚生労働省「児童虐待の現状について」
        • 全国児童相談所長会「児童相談所の仕組み」
        • 児童虐待防止全国ネットワーク「子どもの虐待防止に向けて」

        関連書籍

         

        身近な仕事について考えてみよう!

        • 仕事のことを通じて学んだこと、楽しかったこと、難しかったことを書いてみましょう。
        • テーマについての新しい発見や、自分が感じたことをまとめます。
        • 今後、さらに調べてみたいことや、他の人に教えたいことがあれば、それも書いてみましょう。

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