教育制度の特徴
キリバスでは、幼児教育から高等教育まで一貫した制度が整備されています。初等教育(年齢6~12歳)は6年間、中等教育はジュニア(13~14歳、2年間)とシニア(15~18歳、4年間)の二段階に分かれています。公立学校では原則として授業料が無料で、教科書も無償配布されます。ただし、離島部では教員や教材が不足しがちで、首都タラワ島との格差が課題となっています。
教育方法
キリバスの学校では、協働学習と体験学習を重視します。少人数クラスでは、生徒同士で意見を交わしながら問題解決を図るグループワークが頻繁に行われます。また、伝統文化や海洋環境を活かしたエクスカーション(島巡りや漁業体験)を通じて、地域の知識を学ぶ「フィールドスタディ」も特色です。ICT導入はまだ途上ですが、村落部に太陽光発電によるタブレット学習ルームを設置する小規模プロジェクトも始まっています。
教育への取り組みや支援
- 政府主導の奨学金制度 成績優秀者や経済的困難家庭向けに、州政府と中央政府が協力して奨学金を支給。離島部から首都の学校へ通学する費用を補助します。
- 国際機関の支援 ユネスコやUNICEFが教員研修プログラムを提供し、最新の教育方法や教材を無償で供与。
- NGOプロジェクト 海洋保全や気候変動対策と連動した教育プログラムを、環境NGOが実施。実地調査を通じて科学リテラシーを高めています。
- 地域コミュニティの協力 島ごとに「母親会」が組織され、図書館の運営や学用品の寄付、学習支援教室のボランティアを担っています。
子供達の1日の過ごし方
- 早朝の祈りとラジオ体操
朝6時前、教会のチャイムとともに一日の始まり。ラジオ放送を使って全校生徒で体操します。
- 午前の授業
国語(英語・ギルバート語)、算数、理科など基礎教科。
- お昼休み&ランチ
家から持参したマンゴーやタロイモのおにぎりをみんなでシェア。
- 午後の実技・体験学習
漁業体験、ココナッツの木からのクラフト作り、音楽(伝統の歌と踊り)の授業が多く組み込まれます。
- 放課後の自主学習やクラブ活動
サッカーやバレーボール、学習クラブでの補習など。離島部では家族の手伝い(漁)も重要な学びの一環です。
教育と社会の関係
キリバスでは教育は地域社会と深く結びついています。学校が地域の集会所を兼ねることも多く、行事や会議、災害時の避難所として機能。生徒たちは地元の伝統行事を通じて文化を継承し、高齢者とも交流を重ねます。こうした「世代間学習」が、コミュニティの絆や社会的な連帯感を育む基盤となっています。
国が抱える教育の課題と未来
- 地理的分散と教員不足 33の環礁に散らばる島々に教員や教材を均等に配分するのは大きなチャレンジ。
- 気候変動の影響 海面上昇や台風で学校が被災しやすく、学びの継続性が脅かされています。
- ICTインフラの整備 遠隔授業やデジタル教材導入には電力・通信環境の強化が不可欠。
将来は、再生可能エネルギーを活用したオフグリッド学習棟や、海洋教育を柱とするカリキュラムで、世界に先駆けた「海と共存する学び」を実現する可能性があります。
教育と文化や価値観の関係
共同体意識の醸成
学校行事では島内全体での漁や収穫体験を実施。子どもたちはクラスを超えてお互いを助け合うことで、「一人ひとりが島全体の一員である」という価値観を学びます。
世代間学習の尊重
伝統的な歌やダンス(マンボロやテ・キミティ)を、高齢者の村長や長老から教わることで、尊敬や感謝の心を育みます。
環境保全への志向
海洋プラスチックゴミの調査やサンゴ礁の復元プロジェクトを学校カリキュラムに組み込み、自然と共存するキリバスらしいサステナビリティ意識を強く植え付けます。
言語とアイデンティティの結びつき
英語だけでなくギルバート語(キリバスの母語)で学ぶ時間を設けることで、地元文化への誇りとアイデンティティを深めています。
自立心と責任感の養成
放課後や休暇中に家族の漁業、ココナッツ農園の手伝いを“学びの一環”として評価。実生活の中で役割を果たす経験が、自立心と社会への責任感を育みます。
まとめ
キリバスの教育は、島国ならではの自然環境やコミュニティを活かし、教室の外に広がる「実践的な学び」が大きな特色です。一方で、離島間の格差や気候変動という大きな課題も抱えています。未来には、地域の知恵と最新技術を融合させた新しい教育モデルが、生徒たちを世界に羽ばたかせる原動力となるでしょう。
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