世界の教育| 授業料は無料なのに超競争社会!?「インド洋の真珠」スリランカの熾烈な受験戦争と教育のリアル

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教育制度の特徴

スリランカの教育制度で最も大きな特徴は、小学校から大学まで、公立学校の授業料がすべて無料であることです。これは国の政策として長年続けられており、おかげでスリランカは非常に高い識字率(文字の読み書きができる人の割合)を達成しています。義務教育は5歳から16歳までの11年間。教科書も国から無償で配られ、多くの子どもたちが平等に学ぶ機会を与えられています。

教育方法

スリランカの教育は、非常に「競争が激しい」ことで知られています。子どもたちの将来を大きく左右する、3つの全国統一試験があるからです。

  1. 5年生 奨学金試験
  2. 11年生 GCE Oレベル(普通レベル)試験
  3. 13年生 GCE Aレベル(上級レベル)試験

特に、大学進学がかかったAレベル試験は、人生で最も重要な試験とされています。この試験の成績次第で、どの大学のどの学部に行けるかが決まるため、国中がものすごい受験戦争に突入します。授業は、これらの試験で良い点を取ることを目標に進められることが多く、暗記中心の学習になりがちです。

教育への取り組みや支援

国を挙げての無料教育制度に加え、スリランカでは子どもたちの学びを支える様々な支援が行われています。教科書の無償配布はその一つです。また、日本をはじめとする海外の国々や国際機関(JICAなど)も、スリランカの教育をサポートしています。例えば、理科や算数の授業をより面白く、分かりやすくするための先生の研修を行ったり、ICT(情報通信技術)を使った新しい教育方法の導入を手伝ったりしています。

子供達の1日の過ごし方

スリランカの子どもたちの多くは、非常に勉強熱心です。平日は学校が終わった後、そして休日にも、「チュージョン」と呼ばれる私塾に通います。日本で言う「塾」と同じですが、その熱気は日本の比ではありません。人気の先生の授業には、数百人の生徒が大きな教室に集まることもあります。

試験が近づくと、朝早くから学校へ行き、放課後は夜遅くまでチュージョンで勉強、家に帰ってからも宿題や復習に追われるという、まさに勉強漬けの毎日を送ります。遊びたい気持ちを我慢して、自分の将来のために必死に机に向かうのが、スリランカの一般的な子どもの姿です。

教育と社会の関係

スリランカは、日本以上に「学歴社会」の色合いが濃い社会です。良い大学を卒業し、医者やエンジニア、公務員といった安定した職業に就くことが、成功の証と考えられています。そのため、親は子どもの教育に非常に熱心で、家計が苦しくてもチュージョンに通わせるなど、教育のためなら投資を惜しみません。熾烈な受験戦争の背景には、「良い教育こそが、豊かな未来を約束してくれる」という、社会全体の強い信念があるのです。

国が抱える教育の課題と未来

高い教育水準を誇る一方で、スリランカの教育は課題も抱えています。一番の課題は、熾烈すぎる受験戦争と、それに伴う子どもたちの大きなストレスです。また、知識の丸暗記に偏りがちで、自分で考える力や創造性を育む機会が少ないことも問題視されています。

しかし、スリランカ政府もこうした課題に気づき、改革を進めようとしています。単なる知識の詰め込みではなく、社会で実際に役立つスキルや、論理的に考える力を育むための新しいカリキュラム作りが進められています。国の経済発展とともに、多様な才能が評価される社会へと、少しずつ変わり始めているのです。

      教育と文化や価値観の関係

      知識を持つ人への深い敬意

      熾烈な受験戦争を勝ち抜き、専門的な知識を身につけた医師やエンジニア、弁護士などは、社会的に非常に尊敬されています。学歴が重視される社会であるため、「学ぶこと」そのものへの価値がとても高く、知識が豊富な年長者の話には、誰もが真剣に耳を傾けます。これは、知識こそが人生を豊かにするという強い信念の表れです。

      家族の期待を背負う責任感と勤勉さ

      子どもの教育のために、家計が苦しくても塾(チュージョン)に通わせるのがスリランカの親の愛情表現の一つです。子どもたちは、そんな家族の大きな期待とサポートを一身に受けて育ちます。そのため、「家族のために頑張らなければ」という強い責任感が芽生え、目標に向かって努力を惜しまない勤勉な国民性に繋がっています。

      スター講師を生む「チュージョン文化」

      国中が受験戦争に熱くなるスリランカでは、塾である「チュージョン」が独自の文化を形成しています。特に、分かりやすい授業で試験の要点を的確に教える人気の先生は、まるでアイドルのような存在。巨大なポスターが街中に貼られ、何百人もの生徒がその先生の授業を受けるために集まります。これは、競争を勝ち抜くための情報を何よりも重視する、スリランカならではの光景です。

      無料教育が育んだ「学ぶ権利」への意識

      国が小学校から大学までの教育を無料で提供しているため、スリランカの人々は「教育は誰もが平等に受けられるべき基本的な権利だ」という意識を強く持っています。経済的な理由で教育を諦めるべきではないという考え方が社会全体に浸透しており、これが南アジアでトップクラスの識字率を維持する原動力となっています。

      まとめ

      スリランカの教育は、国策としての手厚い無料教育制度という「光」の部分と、熾烈な受験戦争という「影」の部分を併せ持っています。しかし、その根底にあるのは、教育によって自分の未来を切り拓こうとする、子どもたちと親たちの熱いエネルギーです。この記事を通して、遠い国のリアルな学びに触れ、改めて「学ぶことの意味」を考えてみてください。君にとって、勉強とはどんな未来に繋がっていますか?世界には、私たちの知らない、たくさんの学びの形があるのです。

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