今回のテーマ
「紙の強度テスト(紙の厚さ・折り方で比較)をしてみよう」
身近な材料である「紙」。ノート、教科書、新聞、お菓子や電化製品の箱など、私たちの生活に欠かせない素材です。軽くて加工しやすいため、工作や梱包など、さまざまな場面で使われていますよね。
この自由研究では、そんな紙の「強さ」に注目します。同じ紙でも、厚さが違うとどのくらい強度が変わるのか?また、何も加工しない紙と、折ったり丸めたりした紙では、どちらが重さに耐えられるのか?
「紙の厚さ」と「折り方」という2つの観点から、紙の強さを科学的に探究してみましょう。紙の秘められた可能性を発見する面白い実験ですよ。
自由研究の目的
紙は、私たちの生活の様々な場面で利用されています。例えば、建築や製品のデザインをする人たちは、使う素材の特性をよく理解しています。軽いけれど丈夫な素材は、輸送コストを抑えながら製品を安全に届けるためにとても重要です。
この研究を通して、身の回りのモノがどんな素材で、どんな工夫がされているのかを考えるきっかけになります。たとえば、トイレットペーパーの芯はなぜ円筒形なのか、お菓子の箱のフタに小さなでっぱりがあるのはなぜか、など、日常に隠された「なぜ?」を発見できるようになります。
また、実験を通して、仮説を立て、データを記録し、結果を分析するという科学的な思考方法を身につけられます。これは、学校の勉強だけでなく、将来どんな道に進むにしても役立つ重要なスキルです。
自由研究のゴール
- 紙の厚さと強度の関係を調べる 新聞紙、コピー用紙、画用紙など、厚さの違う紙を数種類用意して、どれが一番重さに耐えられるかを調べます。
- 紙の折り方と強度の関係を調べる 同じ厚さの紙を使って、筒状にしたり、山折り・谷折りを繰り返して蛇腹にしたりして、一番強度が高くなる折り方を見つけ出します。
- 紙の強度テストで「紙の橋」をつくってみよう 初級・中級で学んだことを活かし、丈夫な紙の構造を設計します。たとえば、2つの本の間を紙1枚でつないで、どこまでおもりに耐えられるか競う「紙の橋コンテスト」を開催するのも面白いでしょう。
紙の強度を活かした事例
- 紙でできた椅子 軽くて持ち運びが簡単なのに、大人が座っても壊れない丈夫な紙製の椅子があります。これは、紙を何枚も重ねたり、ハチの巣のような六角形の構造(ハニカム構造)にしたりする工夫が施されています。
- 紙管(しかん)建築 建築家の坂茂(ばん しげる)さんは、紙でできた筒「紙管」を使って、災害で家を失った人たちのための住宅を建てました。紙は軽くて加工しやすいだけでなく、使い方次第で柱や壁になるほどの強度があることが証明されています。
研究を進めるうえで、以下のポイントに注目しよう!
- 材料を揃える 厚さの違う紙(新聞紙、コピー用紙、画用紙、段ボールなど)、定規、ハサミ、おもりになるもの(500mlペットボトル、辞書、缶詰など)、カメラ、ノート、ペン。
- ルールを決める 実験を始める前に、何を比べるのか、何をどのくらい増やすのか(おもりの増やす量など)をあらかじめ決めておきましょう。
- 記録する 何枚の紙で、どんな折り方をして、どれくらいの重さに耐えられたかを写真と一緒に記録します。
自由研究の進め方
- 仮説を立てる 実験を始める前に「多分、厚い紙の方が強いだろう」「筒状に折った紙が一番重さに耐えられるだろう」といった予想をノートに書いておきます。
- 実験1 紙の厚さを比較
- 同じ大きさに切った数種類の紙(例:コピー用紙と画用紙)を用意します。
- 2つのブロック(本や木のブロックなど)の上に、紙を1枚ずつ平らに渡します。
- 紙の上に少しずつおもりを乗せて、いつ紙がたわむか、破れるかを観察し、乗せられたおもりの重さを記録します。
- 実験2 紙の折り方を比較
- 同じ厚さの紙(例:コピー用紙)を複数枚用意します。
- 1枚はそのまま、もう1枚は筒状に、さらに別の1枚は山折り・谷折りを繰り返して蛇腹状にします。
- それぞれの紙の上に、実験1と同じ方法でおもりを乗せて、どの折り方が一番重さに耐えられるかを記録します。
- 結果をまとめる ノートに実験の様子や結果をグラフや表にまとめて、最初に立てた仮説と比べてみましょう。
自由研究から発見したアイデア
実験を通して「紙は丸めたり、折ったりするだけでこんなに丈夫になるんだ!」と気づいたら、その発見を活かして、新しいものづくりに挑戦してみませんか?
- 紙だけの秘密基地 段ボールや新聞紙を丸めて柱にしたり、蛇腹に折って壁にしたりして、軽くて丈夫な自分だけの秘密基地をつくってみましょう。
- 紙の家具をつくる 紙を何枚も重ねて椅子やテーブルの脚をつくったり、筒状の紙で棚をつくったりしてみましょう。
この自由研究に関連する仕事
- プロダクトデザイナー 紙やプラスチック、金属など、素材の特性を活かして、使いやすくて美しい製品をデザインする仕事です。
- 建築家 建物の構造や使う素材を考えて、人々が安全に暮らせる空間を設計する仕事です。
- パッケージデザイナー お菓子や飲み物、電化製品などを包む箱や袋をデザインする仕事です。中身を安全に守るために、紙の強度や構造を考えています。
まとめ
今回の自由研究を通して、私たちは、ただの「紙」が、工夫次第で驚くほど丈夫な素材になることを発見しました。これは、物事の「見方」を変えると、新しい発見やアイデアが生まれるということを教えてくれます。
身の回りのモノをもう一度、じっくり観察してみませんか?きっと、新しい発見があるはずです。
関連書籍
身近な仕事について考えてみよう!
- 仕事のことを通じて学んだこと、楽しかったこと、難しかったことを書いてみましょう。
- テーマについての新しい発見や、自分が感じたことをまとめます。
- 今後、さらに調べてみたいことや、他の人に教えたいことがあれば、それも書いてみましょう。