世界の教育| ブルンジの教育が育むコミュニティ精神と伝統文化、子どもたちに刻まれる尊重と協力の価値観

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教育制度の特徴

    ブルンジの教育制度は、2016年以降に導入された新しい「12年制」が基盤となっています。具体的には、6〜7歳で始まる9年間の基礎教育(Fondamental)と、その後の3年間の中等教育(Post-Fondamental)から成り、合計12年間の義務教育期間が設定されています。基礎教育の最初の4年間は母語であるキルンディ語を教育言語とし、5年生以降はフランス語が主な授業言語となります。
    各教育段階の終わりには国家試験が義務付けられており、基礎教育終了時には「Certificat de fin d’études primaires」、中等教育終了時には「Diplôme de fin d’études secondaires」を取得します。理論上、基礎教育(9年間)は無料で提供されているものの、教科書や制服、通学費用は家庭の負担となる場合が多く、実質的な教育を受けられない子どもも少なくありません。

    引用元haliaccess.orgen.wikipedia.orgdocuments1.worldbank.org

    教育方法

      ブルンジでは、初等教育の低学年(1〜4年生)でキルンディ語による授業が行われ、その後はフランス語が中心となる二言語教育が一般的です。しかし、教員のフランス語能力が十分でない場合や教材不足により、学習の質が低下することがあります。また、多くの地域で教員数が不足しており、代替教員(substitute teachers)による授業が行われることも珍しくありません。授業時間は週平均20時間程度と近隣諸国(約30時間)と比較して少なく、一日の学習時間が限られているのが現状です。さらに、伝統的な丸暗記や講義型の指導が中心で、生徒が主体的に考え学ぶ機会はまだ十分とは言えず、アクティブラーニングやICT活用はこれから発展が求められる分野です。
      引用元
      unicef.orgdocuments1.worldbank.org

      教育への取り組みや支援

        ブルンジ政府は2005年に初等教育の授業料を免除し、さらに2016年以降の12年制導入を含む一連の教育改革(PSDEF 2012-2020)を実施しています。また、ユニセフ(UNICEF)やユネスコ(UNESCO)、世界銀行、GPE(Global Partnership for Education)など国際機関からの資金援助や技術支援を積極的に受け入れており、学校建設や教員研修、カリキュラム改革が進められています。たとえばユニセフは、教師のインサービス研修戦略策定やカリキュラム見直しのための技術的診断に協力し、早期学習プログラムの開発も支援しています。
        引用元
        globalpartnership.orgunicef.orgdocuments.worldbank.org

        子供達の1日の過ごし方

        多くの子供は朝6〜7時に起床し、徒歩で学校へ向かいます。通学に1〜2時間かかる児童も多数おり、地域によっては川を渡ったり丘を越えたりする必要があります。午前中に3〜4時間の授業を受け、昼食は自宅に戻って家族と簡単な食事をとるか、学校で配給されたトウモロコシ粥を食べるケースが見られます。午後は残りの授業(合計で1日4時間程度)があり、放課後には家畜の世話や水汲み、農作業の手伝いなど家庭の仕事を行う子どもが多いです。学業と家事労働を両立する家庭が多く、特に10歳以上の女子は家事負担が大きくなる傾向があります。学校では宿題が少ないため、学習時間を確保するために夕方に近所の友達と勉強会を開くこともあります。
        引用元
        unicef.orghumanium.org

        教育と社会の関係

        ブルンジは1993年から2006年にかけて内戦を経験し、その影響で多くの学校が破壊され、教員が不足、子どもたちの教育機会は著しく制限されました。内戦後も経済的貧困や保護者の識字率の低さが、子どもを学校に通わせる障壁となっています。しかし、教育は貧困削減や社会的統合の要とされ、識字率向上やジェンダー平等を促進するために政府・NGO・国際機関が協働しています。たとえば、学校建設に地域コミュニティが参加することで、地元住民が教育に対する意識を高め、児童労働の抑制や早期妊娠防止に取り組む動きが徐々に広がっています。教育水準が上がることで、若者の雇用機会が増え、コミュニティ全体の生活向上につながることが期待されています。
        引用元
        en.wikipedia.orghumanium.org

        国が抱える教育の課題と未来

        • 就学率と就学継続率の低さ 基礎教育段階では入学率が90%近くに達するものの、最終的に修了するのは約45~55%にとどまると言われています。ドロップアウト要因としては、家庭の貧困による学用品・通学費用の不足や、早期労働・早期結婚が挙げられます。引用元scholars.tujenge.org
        • 教師・教材・施設の不足 教員1人あたりの生徒数が30人を超える地域が多く、教員養成やインサービス研修の仕組みが整っていないため、授業の質が向上しにくい状況です。また、教科書・学習マテリアルの供給が不足し、多くの児童が共有して学ぶ状態が続いています。引用元unicef.orgdocuments1.worldbank.org
        • 言語の壁 家庭ではキルンディ語が話される一方、上位教育段階になるとフランス語が中心となるため、言語適応が困難で学習を断念する子どもが少なくありません。英語やスワヒリ語の導入も進んでいますが、教員の語学研修が追いついておらず、教育内容が理解されにくいケースがあります。
          引用元
          documents1.worldbank.orgen.wikipedia.org
        • 将来への展望 政府と国際機関の協力により、教員研修強化、ICTを活用した遠隔学習推進、新カリキュラムの開発が進行中です。特に「Ecole Fondamentale」の整備で、同一校舎内に基礎教育~中等教育を連携させ、通学負担を軽減する取り組みが注目されています。2025年以降は、オンライン教材の普及や教師向けデジタル研修が普及すると予想され、教育質の底上げが期待されています。引用元burundieducationfoundation.orghaliaccess.org

        教育と文化や価値観の関係

        共同体精神の醸成

        ブルンジの多くの学校では、日々の掃除や植樹、校舎の修繕などをクラス全員で協力して行います。その中で「自分ひとりではできないことも、みんなで助け合えば達成できる」という協調性や連帯感が育まれます。この経験は、村落社会での相互扶助の精神と直結し、地域コミュニティ全体で助け合う文化を支えています。

        伝統芸能の継承

        授業の一環として伝統舞踊や民族楽器の演奏(インガラと呼ばれる弦楽器など)を学ぶ学校もあり、子どもたちは自分たちのルーツである歌や踊りを通して、祖先から受け継がれてきた物語や歴史を自然に学びます。これにより、文字だけではなく体験的に「ブルンジらしさ」を感じ取り、文化的アイデンティティが強まります。

        農業体験による自然との共生意識

        農村部の学校では、校庭の小さな畑でトウモロコシや野菜を育てる実習が行われることがあります。収穫の過程を通じて「土や季節の変化を感じること」「自分たちの食べ物がどのように育つかを理解すること」が重視され、自然を敬い、大切にする価値観が根づきます。これは、狩猟採集から稲作・農耕へと移り変わってきた調和的な生活様式とも結びついています。

        相互尊重と年長者への敬意

        授業以外でも、教師や地域の長老(ババーと呼ばれる尊敬される高齢者)の話を聞く機会が設けられることがあります。授業では数世代にわたる家族の歴史や村の伝承について触れ、「年長者の経験を尊重し、年齢に関係なく学び合う姿勢」を養います。この慣習が、家庭や地域社会での上下関係における敬意の文化を子どもたちに伝えています。

        協働的な問題解決スキルの育成

        少人数のグループ学習や、学校行事の企画・運営を通じて、子どもたちは「みんなで話し合い、意見をまとめて決定する」経験を積みます。たとえば運動会や文化祭の実行委員になり、どのように準備を進めるかを共同で考えることで、ブルンジでは昔から大切にされてきた「合議制(コンサイエーション)」の考え方が自然と身につきます。

        まとめ

        ブルンジの教育は、長年にわたる内戦や経済的困窮の影響を受けながらも、政府・国際機関・地域社会の連携によって徐々に前進しています。9年間の基礎教育と3年間の中等教育で構成される新制度を軸に、無料化や教師研修、カリキュラム改革に取り組み、就学率や学びの質の向上を目指しています。一方で、言語の壁や教員不足、施設・教材の未整備など課題は依然として多く残っており、特に女児の中途退学防止や遠隔地への教育アクセス強化が急務です。今後はICTの活用やコミュニティ参画型の学校運営を一層推進することで、多くの子どもたちが質の高い教育を受けられる社会が実現されることが期待されます。

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