CASE4-11 コンセプトボードをつくってみよう(1)コンセプトボードとは?

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コンセプトボードとは?

コンセプトボード(Concept Board)は、自社ブランドに関連する製品やサービスのコンセプトブックです。具体的には、プロジェクトやアイデアのビジュアルプレゼンテーション、プロモーションにおける情報提供を行うためのツールになります。

コンセプトボードの内容はブランドカテゴリや利用目的、ブランドごとに最良なものを決定します。

コンセプトボード作成のメリット

メリット

  • コンセプトボードは、プロジェクトや製品、サービス、ブランドのアイデアやイメージ、ビジュアルを一つのボードにまとめることで、関係者全員が同じイメージを持つことができるツールです。このボードを使って、全体の雰囲気やテーマを視覚的に表現できます。
  • デザインを始めるときに、インスピレーションを集めるために使うこともあります。色や形、文字、画像などを決める材料としても役立ちます。そして、プロジェクトの方向性を決める手助けにもなります。
  • コンセプトボードは、チームやクライアントとのコミュニケーションツールとしても使えます。視覚的な資料を使うことで、言葉だけでは伝わりにくい細かいニュアンスや意図を明確に伝えることができ、みんなで同じ考えを共有しやすくなります。
  • アイデアを整理したり、プロジェクトのコンセプトをわかりやすくまとめられることが最大のメリットです。いろんなアイデアや要素を一つのボードに集めることで、全体の方向性が見えやすくなります。

コンセプトボードの基本形

コンセプトボードは以下の5つの項目を基本形として作成します。5つそれぞれの項目には詳細の情報を製品サービスの段階に合わせて記します。

さらに、下記の項目を追加することでより計画的なコンセプトドキュメントが作成できます。

1.製品サービスの自己紹介

  • サービスブランド名:製品やサービスのブランド名を記載します。
  • 特徴・使用方法:ユーザーや顧客が試用体験を実施する段階から実際に購入後の体験における製品サービスの特徴と使用イメージを記載します。
  • 製品サービス概要:製品サービスの概要を説明文として記載します。
  • エンドクライアント価格:価格を記載します。イベント提供価格や限定価格も合わせて記載すると良いかもしれません。価格競争は行いませんが、自社主催のイベントやロイヤリティ顧客向けの限定価格を記載します。
  • 主要な機能:製品の特徴を洗い出しユーザーや顧客が体験する主要な機能を記載します。
  • 製品の物語・背景:製品の開発背景やインスピレーションとなったストーリーを記載し、顧客がブランドや製品に共感を抱けるようにします。
  • 使用シーンと推奨環境:製品が最も効果を発揮するシーンや環境を例示し、顧客が使用イメージを掴みやすくします。
  • エコシステムとの連携:他の製品やサービスとの互換性や拡張性について説明し、製品が属するエコシステムをアピールします。
  • カスタマーサポート情報:購入後のサポート内容や提供期間、サポートへのアクセス方法を記載します。
  • ロイヤリティプログラム概要:製品やサービスに対してのリピート顧客向けの特典やプログラム内容を説明し、顧客の関与を深めます。

2.製品サービスの存在意義

  • 課題と解決方法:この製品やサービスは、お客さんのどんな問題を解決するのか?そして、それを使うことでお客さんはどうやって問題が解決できるのかを説明します。
  • Mission/Vision/Concept:自分たちの会社やブランドの意味、将来に向けた目標、そして今やるべき具体的なプランを説明します。
  • 社会的貢献:この製品やサービスが社会にどんな良い影響を与えるのかを示し、お客さんの社会的な価値観とつなげます。
  • 環境への配慮:製品が環境に良い影響を与えたり、サステナブル(持続可能)な考えを大事にしていることを説明します。
  • ブランドストーリーの発展:ブランドがどんなふうに成長してきたのか、その歴史やこれからどんなふうに成長していくのかを説明します。
  • 顧客体験の向上方法:この製品やサービスを使うことでお客さんの生活がどう良くなるかを、具体的にどんな場面で改善できるのかを書きます。
  • 未来の展望:ブランドや製品が未来にどうなっていきたいか、業界でどんな役割を果たしたいのかを簡単にまとめます。

3.製品サービスの認知方法

  • サービスリンク(メインページ):製品やサービス、ブランドを紹介しているメインページのURLを記載します。
  • ソーシャルリンクなどメインページ以外のリンク:製品やサービスを紹介しているSNS(ソーシャルメディア)リンクやプレスリリースのリンクをいくつか記載します。
  • 認知戦略の概要:製品やサービスをお客さんにどのように知ってもらうかを、段階ごとに説明します。マーケティングファネル(認知から購入までの流れ)を使う方法です。
  • パートナー・中間顧客の便益:ブランドを取り扱うお店や販売パートナーが得られるメリット、また一緒にブランドを成長させるための方法を説明します。
  • リード獲得施策ToB/ToC:お客さんに商品を知ってもらい、試してもらうための方法を説明します。ToB(企業向け)とToC(個人向け)の違いに応じたアプローチを記載します。
  • 主要なキーメッセージ:広告やメディアで常に伝えるべき大切なメッセージを記載し、認知にブレが出ないようにします。
  • 口コミ促進施策:お客さんやインフルエンサーに製品をシェアしてもらうための方法や、そのためのインセンティブ(特典など)を記載します。
  • オウンドメディア戦略:自社のブログやメディアでのコンテンツ配信計画を立て、ブランドの魅力を高めるための方針を記載します。
  • 実績の共有:実際に成功した事例や導入実績をシェアして、ブランドの信頼性や認知度を高めます。
  • コミュニティ形成戦略:ブランドのファンやお客さんが集まって交流できる場所(オンライン・オフライン)を作るための計画を記載します。

4.製品サービスの想定ターゲットと市場

  • 市場カテゴリ:製品やサービスを提供する市場の種類を説明します。この市場にはどんなお客さんや競合がいるのか、その全体像を簡単に紹介します。
  • ターゲットするセグメント:製品やサービスを提供する相手を、いくつかのグループに分けて説明します。例えば、年齢や性別、興味などで分けます。
  • 想定戦略ターゲット:製品やサービスの対象となるお客さんの特徴を説明します。年齢や住んでいる場所、どんなニーズがあるのか、お客さんの行動などを記載します。
  • 想定優先ターゲット:上で説明したターゲットの中でも、特にニーズが強いお客さんに注目します。どのグループを優先してアプローチするかを決めます。
  • 想定プロモーションターゲット:製品やサービスに敏感に反応する人たちを対象にします。購買には至らなくても、SNSなどでブランドを広めてくれる人たちです。
  • ターゲットのライフスタイル:ターゲットの人たちがどんな生活をしているのか、製品やサービスがその生活にどう関わるかを説明します。例えば、どんな時間帯に製品を使っているのか、どんな趣味を持っているのかなどです。
  • 購買プロセスの分析:ターゲットのお客さんがどのように購入を決めるか、その流れを追いながら、どのタイミングでどうアプローチすべきかを説明します。
  • 競合優位性分析:同じ市場で競争している他の企業と比べて、自社の製品がどう優れているか、特に目立つ強みを挙げて説明します。
  • エンドユーザーの趣味嗜好:ターゲットの人たちが共通して持っている趣味や価値観を紹介します。この情報を元に、マーケティングをどう進めるかを考えます。
  • 市場成長予測:ターゲット市場が今後どのように成長していくのか、どんなトレンドが出てくるのかを予測し、今後のビジネスの方向性に活用します。

5.コミュニケーション戦略

  • ブランドコピー:ブランドを一言で表現するキャッチコピーを記載します。例:製品やサービスの特徴を簡単に伝え、消費者の関心を引きます。20文字以内にまとめ、簡単に覚えられるようにします。
  • 想定するユーザー便益:製品やサービスがどのように役立つか、ユーザーにとってどんな利点があるのかを記載します。例えば、「時間を節約」「簡単に使える」「コストパフォーマンスが良い」などです。
  • 想定するターゲットインサイト:ターゲットとなるお客さんの心の中にある本当のニーズや欲求をいくつか挙げます。たとえば、便利さを求めている、安心を求めている、安さを重視している、などです。
  • マーケティング基本戦略:製品やサービスを売るための基本的な戦略を説明します。認知(ブランドを知ってもらう方法)、配荷率(製品をどれだけ広く届けるか)、価格(適切な価格設定)、製品品質(製品の品質をどう保つか)、ブランドエクイティ(ブランドの価値を高める方法)を考えます。
  • キャッチフレーズの意図:キャッチフレーズがどのようにブランドのメッセージを伝え、ターゲットに影響を与えようとするかを説明します。たとえば、どんな感情を呼び起こしたいか、どんな価値を伝えたいかを記載します。
  • トーン&マナー:ブランドが伝えるメッセージの語り口やスタイルを記載します。例えば、親しみやすく、フォーマルに、元気なトーンで話すなど、ブランドの一貫したスタイルを決めます。
  • 顧客参加型イベントの企画:顧客が実際に製品やサービスを体験できるイベントを企画し、消費者とブランドの関係を深める方法を考えます。例えば、ワークショップや体験会などです。
  • コンテンツカレンダー:SNSやブログなどで、定期的にどんな内容を発信するかを決めたスケジュールを作ります。何月何日に何を投稿するかを計画しておくことで、一貫したメッセージを届けます。
  • ファンエンゲージメント施策:ブランドのファンを増やし、長期間にわたって関係を深めるための活動を記載します。例えば、プレゼント企画、フォロワー限定イベント、感謝祭などがあります。

コンセプトボードの完成形

  • 顧客体験の設計
    • ユーザージャーニーマップ:顧客が製品やサービスを知り、購入し、使うまでの過程を視覚的に示す図です。各段階で顧客とどのように関わり、エンゲージメントを深めていくかを記録します。例えば、検索→購入→使用→リピートという流れに沿って、どのタイミングでどんなアクションを取るべきかを示します。
    • カスタマーサクセス戦略:製品やサービスを購入した後も、顧客がその製品に満足し、期待を超える体験ができるようにサポートを提供する戦略です。アフターサービスやカスタマーサポート、製品の活用方法を提供して、顧客の成功を手助けします。
    • フィードバックシステム:顧客からの意見や感想を集める仕組みです。例えば、アンケートやレビューを通じて得たフィードバックを製品やサービスの改善に活かします。これにより、顧客の声を反映させた進化を目指します。
    • 顧客の成功事例:製品やサービスを使って成功した顧客のエピソードを共有することで、潜在顧客にその価値を伝える方法です。例えば、特定の問題を解決できた事例や、顧客の生活がどう向上したかを紹介することができます。
    • NPS(ネット・プロモーター・スコア)測定:顧客満足度を測るための指標です。顧客に「あなたはこの製品を友人や同僚に薦めるか?」と質問し、その結果をスコア化して、顧客がブランドをどれだけ支持しているかを測定します。高いスコアは顧客の忠誠心を示し、低いスコアは改善の余地を示します。
    • 製品のデザインと開発哲学
      • デザイン原則:製品開発の際に重視するデザイン理念や美学を定義します。例えば、シンプルで機能的なデザインを重視したり、ユーザーの直感的な操作を促進するデザインを追求することがあります。これにより、製品がどのような視覚的・感覚的価値を提供し、ユーザーとの接点をどのように最適化するかを明示します。
      • イノベーションの取り組み:ブランドが取り入れている独自の技術や革新を示します。例えば、製品に新しい技術や機能を追加することで、顧客に前例のない価値を提供する方法を紹介します。この部分では、ブランドの技術力や先進性を強調し、製品が他の競合製品より優れている理由を説明します。
      • サステナビリティ:環境への配慮について記載します。持続可能な素材の使用や、環境負荷を減らす生産方法、リサイクル可能なパッケージの導入などが含まれます。これにより、製品が環境に配慮していることを消費者に伝え、エコ意識の高い層にアピールします。
      • 製品テストと品質保証:製品が高い品質基準を満たすためのテストや保証について説明します。例えば、製品の耐久性や安全性を確認するテストや、顧客が安心して購入できるように提供する品質保証を示すことができます。この部分では、顧客が製品に対する信頼感を持てるようにします。
      • 製品アップデート計画:製品が今後どのように進化していくかを示します。技術的な進歩や顧客からのフィードバックを受けて、定期的なアップデートや改良が行われることを伝えます。これにより、顧客に長期的に価値を提供する姿勢を示し、製品を購入した後も継続的に魅力的であり続けることをアピールします。

       

      • ブランドと顧客の関係性
        • ファンエンゲージメント:ファン層とのつながりを深め、共感を生むための施策として、SNSでの定期的な交流、ファン限定イベント、または独自のキャンペーンを実施することが考えられます。ファンの投稿に対して積極的に反応し、ブランドのストーリーを共有することで、顧客の愛着を育てます。また、エンゲージメントを高めるためにユーザー生成コンテンツ(UGC)の活用や、インフルエンサーとのコラボレーションも効果的です。
        • ブランドのパーソナリティ:ブランドを人間に例えるとどのような性格を持つかを明確にし、顧客との感情的なつながりを強化します。例えば、ブランドが「親しみやすく」「信頼できる」「革新を追求する」などの特徴を持つ場合、それをコミュニケーションや製品、サービス提供に反映させます。ブランドのパーソナリティを一貫して示すことで、顧客はブランドに対して感情的な絆を感じ、共感を得やすくなります。
        • ブランドコミュニティの育成:ブランドを愛する顧客同士が交流できるオンラインおよびオフラインのコミュニティ作りが大切です。例えば、専用のフォーラム、SNSグループ、ファンイベントを通じて顧客同士が意見交換や情報共有を行える場を提供します。顧客がブランドの価値観に共感し、積極的に関わることができる環境を作ることが、ブランドロイヤルティの向上につながります。
        • パーソナライズ施策:顧客一人ひとりに合ったサービスや製品を提供するためのパーソナライズ施策として、過去の購入履歴や行動データに基づいておすすめ商品を提案したり、特別なオファーを提供することが考えられます。顧客の個別ニーズに応じた対応を行うことで、より満足度の高い体験を提供し、長期的な関係を築きます。
        • 顧客の声・ストーリー:実際に製品やサービスを利用した顧客の体験談や成功事例を紹介することで、他の顧客が自分の体験と重ね合わせ、ブランドに対する信頼を深めることができます。顧客の声を積極的にシェアするために、SNSやレビューサイトにおける評価を促進し、顧客のストーリーをコンテンツ化して多様なメディアで発信することが有効です。
      • ブランドの成長と評価
        • 市場におけるポジショニング:競合市場内でのブランドの立ち位置や差別化ポイントを明確に記載します。
        • 顧客満足度・レビュー:顧客のレビューや評価を定量的に記載し、ブランドの信頼性を示します。
        • 成長目標:短期的・長期的な成長目標を設定し、それを達成するための具体的な戦略を記載します。
        • ブランド評価指標:ブランド認知度や顧客満足度など、ブランド価値を評価するためのKPIを設定します。
        • CSR活動・社会貢献:社会や地域への貢献活動について記載し、顧客にとってのブランドの価値を高めます。
      • リスクと課題
        • 市場リスクと対応策:市場変動や競合の動向に対するリスクと、その対応策を記載します。
        • 製品の改善点と今後の課題:現在の製品やサービスの改善点や、将来的に克服すべき課題について記載します。
        • 顧客フィードバックに基づく改善計画:顧客からのフィードバックをどのように取り入れ、製品改善を行っていくかの計画を記載します。
        • 法的・規制リスク:製品やサービスが対象となる法的規制や業界規制への対応策を記載します。
        • ブランド保護戦略:商標侵害や模倣品などのリスクを防止するための戦略を記載します。

          デザイン要素

          コンセプトボードは、マーケティングキャンペーンやイベントの計画だけでなく、デザインプロジェクト(例えば、インテリアデザインやファッションデザイン、ブランドデザインなど)にも使われます。デザインプロジェクトやイベントでは、デザイン要素を加えることで、関係者が視覚的に共通のイメージを持ちやすくなります。これにより、プロジェクトの方向性がより明確になり、チーム全員が同じ目標に向かって進むことができます。

          ビジュアル素材 写真、イラスト、テキスチャ、カラーパレットなど
          デザインテキスト キャッチフレーズ、キーワードなど
          グラフィック要素 ロゴ、アイコン、パターン
          レイアウト要素 素材をどのように配置するかのレイアウトデザイン

          マーケティング戦略立案のご相談

          株式会社SHISEILABOのマーケティングの専門家が新規事業開発や既存事業のマーケティング戦略立案を1on1などで実施するトレーニングの機会を提供しています。

          A. 既存事業マーケティングプラン
          B. 新規事業マーケティングプラン
          C. 新規or既存ブランド開発

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