世界の仕事342|木に魂を吹き込む魔法使いたち!未来に美しい音を届ける弦楽器職人リュティエの仕事

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音を形にする職人 リュティエ(弦楽器製作家)とは?

リュティエとは、ヴァイオリンやチェロ、ギターといった弦楽器を、木材から一つひとつ手作業で作り上げる職人のことです。新しい楽器を製作するだけでなく、何百年も前に作られた歴史的な楽器の修理や修復も行い、その美しい音色を未来へと繋いでいく、まさに「音の守り人」です。

リュティエの最大の魅力は、静かな森に立つ一本の木に、音楽という魂を吹き込む創造性にあります。自分の手で削り出した木片が、やがて世界中のコンサートホールで観客を感動させる楽器へと生まれ変わる。その過程は、まるで魔法のようです。演奏家というパートナーと対話を重ね、ミリ単位で木を削り、最高の音を追求していく時間は、何物にも代えがたい喜びと興奮に満ちています。自分が生み出した楽器が、100年、200年先も誰かの手で奏でられ、人々の心を打ち続けるかもしれない。そんな時を超えたロマンを感じられる、数少ない仕事の一つなのです。

リュティエ(弦楽器製作家)の仕事とは?

      リュティエの仕事は、大きく分けて「製作」「修理・修復」の二つがあります。

      製作 ゼロから楽器を生み出す  

      例えばヴァイオリンを作る場合、その工程は数百にも及びます。

      1. 木材選び 楽器の音色を左右する最も重要な工程。よく乾燥したカエデやトウヒの木材の中から、叩いて音を聞いたり、木目を見たりして最高の材料を選びます。
      2. 削り出し ノミやカンナといった道具を使い、木の板をミリ単位の精度で削って、楽器の表板や裏板のなめらかな膨らみ(アーチ)を作り出します。
      3. 組み立て 側板を曲げて胴体の形を作り、全てのパーツを接着剤で丁寧に組み上げていきます。最後に、音の心臓部である「魂柱(こんちゅう)」という小さな木の柱を立てます。
      4. ニス塗り 音色や見た目を決め、楽器を湿気から守るためのニスを、何十回も薄く塗り重ねて仕上げます。

      修理・修復 楽器のお医者さん

      演奏家に愛用されている楽器のメンテナンスや、壊れてしまった部分の修理も大切な仕事です。時には、何百年も前に作られた名器が持ち込まれることも。歴史的な価値を損なわないよう、当時の製法を研究し、細心の注意を払って楽器に再び命を吹き込みます。

      リュティエ(弦楽器製作家)の魅力!

      1. 創造する喜び
        ただの「木のかたまり」が、自分の知識と技術で、人々を感動させる音を奏でる「楽器」に生まれ変わる瞬間は、最高の喜びです。
      2. 音楽家と共に歩むパートナー
        世界的に有名な演奏家から「あなたの作った楽器で演奏したい」と依頼されることも。演奏家と一緒に最高の音を探求する、音楽の世界に欠かせないパートナーになれます。
      3. 時代を超えて作品が生き続ける
        自分が作った楽器が、100年後、200年後も誰かに大切に弾き継がれていくかもしれません。自分の仕事が歴史の一部になる、という大きなロマンがあります。
      4. 世界中で活躍できる技術
        リュティエの技術は世界共通。腕さえあれば、弦楽器製作の本場であるイタリアのクレモナやフランスのミルクールなど、世界中の工房で活躍することが夢ではありません。
      5. 自分の腕が価値になる(年収)
        見習いの頃は年収200万~300万円からのスタートですが、経験を積み、自分の工房を持って人気の職人になると、年収1000万円以上を稼ぐことも可能です。ヴァイオリン1本が数百万円の値がつくことも。努力と才能が直接、評価と報酬につながる世界です。

      リュティエ(弦楽器製作家)になるには?

          Step1 音楽と楽器を大好きになろう!

          まずは、たくさんの音楽を聴き、できれば何か楽器を演奏してみましょう。ヴァイオリンやギターがどんな構造で、どんな音が出るのか、その美しさを体で感じることが全ての始まりです。君は、どんな楽器の音色が好きかな?

          Step2 「ものづくり」の楽しさを知ろう!

          木工や美術、技術の授業は好きですか?プラモデル作りや日曜大工など、手を使って何かを精密に作り上げる経験は、リュティエの仕事に直結します。設計図を見て、形にしていくワクワク感を大切にしよう。

          Step3 専門知識を学ぶ場所を探そう!

          リュティエになるには、専門の製作学校で学ぶのが一般的です。日本国内にもいくつか学校がありますし、海外、特にイタリアには有名な学校がたくさんあります。どんな場所で、どんな先生が教えているのか、インターネットで調べてみよう。

          Step4 ひたすら基礎技術を磨こう!

          学校では、美しい形を描くためのデッサンや、木を正確に削るための道具の使い方など、地道な基礎練習を何年も繰り返します。すぐに楽器は作らせてもらえないかもしれません。それでも、夢のために努力を続けることができますか?

          Step5 プロの工房で「見て」「盗む」!

          学校を卒業したら、プロのリュティエの工房で見習い(弟子入り)として働きます。師匠の仕事を間近で見ながら、技術を目で盗み、実践で腕を磨いていくのです。一人前になるには10年以上かかると言われる厳しい世界。君なら、どんな親方の元で学びたいですか?

          この分野で有名なプロフェッショナル

          アントニオ・ストラディバリ(1644年頃 – 1737年)

          300年以上も前に、イタリアのクレモナという街で活躍した、歴史上最も有名なリュティEです。彼が生涯で製作したヴァイオリンやチェロは「ストラディヴァリウス」と呼ばれ、今でも世界最高の楽器として、一本何億円という信じられないような価格で取引されています。 なぜ彼の楽器がそれほどまでに素晴らしい音色を奏でるのか、その秘密は現代の科学でも完全には解明されていません。使われた木材が特別だったのか、塗られたニスの成分に秘密があるのか…。ストラディバリが残した楽器は、リュティエにとって永遠の目標であり、音楽を愛する人々にとっては奇跡の宝物なのです。

          マーケィングの観点から見ると?

          AI(人工知能)が進化し、多くの仕事が機械に取って代わられる未来が来ても、リュティエの仕事の価値はますます高まっていくでしょう。なぜなら、一本一本の木が持つ個性と向き合い、職人の感性と経験で最高の音を引き出す作業は、決して機械には真似できない「芸術」だからです。

          音楽は、国や言葉の壁を越えて人の心を繋ぐことができる世界の共通言語。あなたが日本で真心を込めて作った一本の楽器が、いつか海の向こうの演奏家の手に渡り、ニューヨークやウィーンの聴衆を感動させるかもしれません。日本の「ものづくり」の精神は、その丁寧さや誠実さから世界中で高く評価されています。リュティエという仕事は、日本の素晴らしい伝統を、音楽という形で世界中に届けることができる、夢のある仕事なのです。

          自由研究の例

          リュティエ(弦楽器製作家)の仕事をもっと知りたいあなたに、こんな自由研究はいかが?

          • Step1 観察してみよう!
            学校の音楽室にあるヴァイオリンやギターをじっくり観察してみよう。木目はどんな模様?表面はツルツル?どんな部品でできているかな?
          • Step2 音の実験をしてみよう!
            ティッシュの空き箱と輪ゴムで、簡単な弦楽器を作ってみよう。輪ゴムの太さや引っ張る強さを変えると、音の高さはどう変わるかな?「弦の張力と音の高さの関係」を調べてみよう!
          • Step3 材料を探求してみよう!
            なぜ弦楽器にはカエデやトウヒの木が使われるんだろう?身の回りにある木材(割り箸、かまぼこ板など)を叩いて、音の違いを比べてみよう。どんな発見があるかな?
          • Step4 まとめて発表しよう!
            実験で分かった「音が変わる仕組み」や、観察して気づいた「楽器の工夫」を図や絵を使って新聞にまとめてみよう。君だけの「楽器博士レポート」の完成だ!

          まとめ

          リュティエは、単に木を加工して楽器を作るだけの人ではありません。木の息づかいを聞き、演奏家の夢に耳を傾け、数百年続く音楽の歴史と未来を繋ぐ、とても創造的で尊い仕事です。

          一本のヴァイオリンには、森で育った木の記憶、職人の情熱と哲学、そしてこれから奏でられるであろう無限の音楽が詰まっています。音という目に見えないものを、美しい楽器という形にする。そんな魔法のような仕事に、君も挑戦してみませんか?

          関連書籍

           

          身近な仕事について考えてみよう!

          • 仕事のことを通じて学んだこと、楽しかったこと、難しかったことを書いてみましょう。
          • テーマについての新しい発見や、自分が感じたことをまとめます。
          • 今後、さらに調べてみたいことや、他の人に教えたいことがあれば、それも書いてみましょう。

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