INDEX
環境に優しい観光!エコツーリズムの未来を考えてみよう!
エコツーリズムとは、「エコ(環境)」と「ツーリズム(旅行)」を組み合わせた言葉です。単に美しい自然を見に行くだけの観光ではありません。その地域の①自然環境を守り、②地域の文化や暮らしを尊重し、その経済を潤し、さらに旅行者自身が③その魅力について学び、理解を深める、という3つの要素がそろった観光の形を指します。
訪れる側(観光客)、迎える側(地域の人々)、そして自然環境のすべてにとって「良い関係」を築くことを目指す、未来志向の旅のスタイルなのです。
近年、「オーバーツーリズム(観光公害)」という言葉を耳にすることが増えました。多くの観光客が押し寄せることで、ゴミ問題、交通渋滞、自然破壊、そして地域住民の生活への悪影響などが世界各地で問題になっています。
楽しいはずの観光が、いつの間にか地球や地域の負担になっている。この問題を解決するカギとして、エコツーリズムが注目されています。
エコツーリズムを学ぶことは、私たちが大好きな旅行を持続可能なものにする方法を考えることであり、地球の未来と地域社会に対して責任を持つ「地球市民」としての一歩を踏み出すことにつながるのです。
自由研究のゴール
- レベル1 知る エコツーリズムがどういうものか、本やインターネットで調べて基本的な知識を身につける。国内外の具体的な事例をいくつか見つけて、どんな活動があるかを知る。
- レベル2 比べる・分析する いくつかのエコツーリズムの事例を比較し、「環境保護」「地域貢献」「学習」の3つの視点から、それぞれの成功の秘訣や課題を分析する。なぜそのルールがあるのか、なぜその活動が地域のためになるのかを深く考える。
- レベル3 提案する(レベルアップ!) 調査と分析を踏まえ、自分なりの新しいアイデアを考える。例えば、自分の住む町でエコツーリズムをするとしたら?どんなツアーが考えられるか、未来のエコツーリズムはどうあるべきかを提案する。
具体的な事例
- 海外の事例 コスタリカ共和国 エコツーリズムの先進国として世界的に有名です。「環境を守らなければ、観光客は来てくれない」という考えのもと、国土の約4分の1を国立公園や自然保護区に指定。専門の自然ガイドなしでは立ち入れない森を設けたり、宿泊施設に環境基準を設けたりすることで、豊かな生物多様性を守りながら、観光業を国の主要産業に育て上げました。
- 日本の事例 小笠原諸島(東京都) 世界自然遺産にも登録されている小笠原諸島では、独自の生態系を守るため、厳しいルールが定められています。例えば、山に入るには認定ガイドの同行が義務付けられていたり、ザトウクジラを見るホエールウォッチングでは、船がクジラに近づける距離や時間が決められていたりします。不便に感じるかもしれませんが、このルールこそが、世界に誇る自然を未来へ引き継ぐための知恵なのです。
研究を進めるうえで、以下のポイントに注目しよう!
- ポイント1 「3つの柱」で考える 調べる事例が、「環境保護」「地域貢献」「環境学習」の3つの柱をどのように満たしているか整理してみましょう。どれか一つだけでなく、バランスが取れていることが重要です。
- ポイント2 お金の流れを想像する 旅行者が支払ったお金は、どこへ行くのでしょうか?ツアーを運営する地域の人々の収入になるのか、自然保護活動の資金になるのか。お金の流れを考えることで、そのツアーが本当に地域のためになっているかが見えてきます。
- ポイント3 「ルール」の理由を探る なぜ「一度に入山できる人数を制限する」のか。なぜ「ガイドと一緒でなければ入れない」のか。一つひとつのルールの背景には、自然や文化を守るための大切な理由が隠されています。その理由を探ることが、エコツーリズムの本質を理解するカギです。
自由研究の進め方
- 【調べる】 「エコツーリズムとは何か」を定義する。環境省のウェブサイトや関連書籍、図鑑などで基本情報を集める。
- 【事例を選ぶ】 国内外から興味を持ったエコツーリズムの事例を2~3個選ぶ。(例:小笠原諸島、屋久島、北海道の自然ガイドツアーなど)
- 【深掘りする】 選んだ事例について、ツアー内容、ルール、地域の取り組み、旅行者の声などを具体的に調べる。自治体や観光協会の公式サイトが参考になります。
- 【分析・比較する】 ポイント⑤で紹介した視点から、事例を分析する。普通の観光と何が違うのか、表などを使って比較すると分かりやすい。
- 【まとめる】 調べた内容と分析結果を模造紙やレポートにまとめる。写真やイラストを入れると、より伝わりやすくなります。
- 【提案する】 研究の結論として、新しいアイデア(セクション7)を考えて発表する。
自由研究から発見したアイデア
- アイデア1 『身近な里山でマイクロ・エコツーリズム!』 自分の住む町の公園や里山を舞台に、小学生向けの自然観察ツアーを企画する。コースマップを作り、見られる昆虫や植物をクイズ形式で紹介。参加費の一部を地域の緑化活動に寄付する仕組みを提案する。
- アイデア2 『エコツーリズム×アプリ開発』 ツアー参加者が、見つけた動植物を写真に撮って投稿すると、AIが名前を判定し、自分の「いきものずかん」が作れるアプリを考案。集まったデータは、地域の生物多様性の調査にも役立てられる。
- アイデア3 『エコ・スタンプラリー』 旅行先で「マイボトルを使った」「地元の食材を食べた」「ゴミを拾った」など、環境に良い行動をするとポイントがもらえるスタンプラリーを提案。ポイントが貯まると、地域の特産品と交換できる。
この自由研究に関連する仕事
- インタープリター(自然解説員)・エコツアーガイド 地域の自然や文化の魅力を、訪れる人に分かりやすく伝え、感動を共有する仕事。
- ツアーコンダクター(旅行企画者) 環境と地域に配慮した、新しいエコツーリズムの旅行プランを企画・販売する仕事。
- レンジャー(自然保護官) 国立公園などの自然を守り、利用者が安全に楽しめるように管理する仕事。
- 環境コンサルタント 地域や企業に対して、環境を守りながら観光を振興するためのアドバイスをする専門家。
- NPO/NGOスタッフ 環境保護団体などで、資金を集めたり、保全活動を企画・実行したりする仕事。
まとめ
エコツーリズムは、単なる環境に優しい旅行ではありません。それは、私たちが大好きな自然や文化と「これからもずっと良い友達でいるため」の、賢くて思いやりのある旅のスタイルです。
この自由研究を通して、旅行を見る目が少し変わったのではないでしょうか。次にどこかへ旅に出る時、あなたも「旅行者」として何ができるか、ぜひ考えてみてください。その小さな一歩が、地球の大きな未来を守ることにつながっていくのです。
関連書籍
身近な仕事について考えてみよう!
- 仕事のことを通じて学んだこと、楽しかったこと、難しかったことを書いてみましょう。
- テーマについての新しい発見や、自分が感じたことをまとめます。
- 今後、さらに調べてみたいことや、他の人に教えたいことがあれば、それも書いてみましょう。