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自然保護区を守るためにできることを考えてみよう!
息をのむほど美しい景色、珍しい生き物たちが暮らす森、透き通った水が流れる川。世界中にある「自然保護地域(国立公園や世界自然遺産など)」は、そんな地球の宝物が詰まった場所です。しかし今、そのかけがえのない宝物が、私たちの知らないところで静かに、しかし確実に失われつつあります。
この研究では、なぜ自然保護地域が大切なのか、そして人間の活動や気候変動によってなぜ失われているのかを学びます。さらに、この美しい自然を未来へつなぐために、私たち一人ひとりに何ができるのかを考え、行動するためのヒントを探ります。
自然保護地域を守ることは、なぜそれほど大切なのでしょうか?その理由は、私たちの未来に深く関わっています。
- 生き物たちの最後の砦だから 自然保護地域は、多くの動植物にとって最後の「聖域(サンクチュアリ)」です。もしこの場所がなくなれば、そこにしか住めない生き物たちは行き場を失い、絶滅してしまうかもしれません。生物の多様性を守ることは、地球という星の豊かさを守ることなのです。
- 地球の健康を保つバランサーだから 広大な森林は、地球温暖化の原因となる二酸化炭素を吸収し、私たちが呼吸するきれいな酸素を生み出してくれます。豊かな自然は、きれいな水を蓄え、気候を安定させる働きもしています。自然保護地域は、いわば「地球の健康診断」で常にA判定を出し続ける優等生。この優等生が弱ることは、地球全体の不健康につながります。
- 私たちに無限の恵みを与えてくれるから 美しい自然は、私たちの心を癒やし、明日への活力をくれます。また、新しい薬の成分が森の植物から発見されることもあります。この素晴らしい恵みを、未来の子供たちも同じように受け取れるようにする。それは、今を生きる私たちの大きな責任です。
自由研究のゴール
- 初級ゴール 【知る・地図にする】世界の宝物を探そう! 日本や世界にある自然保護地域(例:屋久島、イエローストーン国立公園など)をリストアップし、地図の上にシールを貼って「世界自然保護マップ」を作ってみよう!それぞれの場所の特徴や、代表的な生き物を調べて書き加えれば、君だけのオリジナル図鑑マップが完成します。
- 中級ゴール 【分析する】失われた自然を追いかけよう! 一つの自然保護地域(例えば、身近な里山や有名な知床半島)に注目。インターネットの航空写真(Google Earthなど)を使って、10年前の姿と今の姿を比べてみよう。森林の面積は?川の形は?何か変化はあるかな?その変化の原因を考察し、レポートにまとめます。
- 上級ゴール 【行動・提案する】自然を守るヒーローになろう! 地域の自然を守る活動をしているNPOや団体を調べ、活動内容をインタビューしたり、清掃活動などのボランティアに参加したりしてみよう。そして、その経験をもとに「もっとこうすれば良くなる!」というアイデアを考え、自然保護の重要性を伝えるポスターや動画を作成し、学校や地域で発表・提案します。
自然保護地域で様々な危機に直面している事例
世界中で、自然保護地域は様々な危機に直面しています。
- アマゾンの熱帯雨林(ブラジルなど) 燃える「地球の肺」 「地球の肺」と呼ばれる世界最大の熱帯雨林が、農地や牧草地を広げるための違法な伐採や火災で、驚異的なスピードで失われています。多くの未知の生物が、発見される前に姿を消しているかもしれません。
- ボルネオ島(インドネシアなど) オランウータンの涙 私たちの使うスナック菓子や洗剤に含まれる「パーム油」。その原料となるアブラヤシを育てる農園(プランテーション)を広げるため、オランウータンが住む熱帯雨林が破壊されています。便利な生活の裏側で、悲しい現実が起きています。
- グレートバリアリーフ(オーストラリア) 白くなるサンゴ礁 地球温暖化による海水温の上昇で、色とりどりのサンゴが真っ白になって死んでしまう「白化現象」が深刻化しています。世界最大のサンゴ礁は、多くの海の生き物たちのすみか。この危機は、海の生態系全体の危機を意味します。
研究を進めるうえで、以下のポイントに注目しよう!
- テーマを自分ごとに引き寄せる 「絶滅危惧種のライチョウを守るには?」「身近な川のプラスチックごみ問題と水辺の生き物」など、自分が好きな動物や、気になる問題にテーマを絞ると、熱意を持って深く探求できます。
- 信頼できる情報を見つける インターネットで調べる時は、環境省や、WWFジャパン、日本自然保護協会といった公的な機関や信頼できる団体のウェブサイトを参考にしましょう。図書館の本や、自然科学系の博物館も情報の宝庫です。
- フィールドワークに出てみよう! もし可能なら、近くの自然公園やビジターセンターを訪ねてみましょう。そこにいるレンジャー(自然保護官)やインタープリター(自然解説員)の方に話を聞けば、ネットや本には載っていない、現場のリアルな声を聞くことができます。
- 「なぜ?」を多角的に考える 「なぜ森林は伐採されるんだろう?」と考えた時、「自然を壊すなんてひどい!」だけで終わらせず、「そこに住む人々の生活のためかもしれない」というように、様々な立場から物事を考える視点が大切です。そうすることで、問題の本当の根っこが見えてきます。
自由研究の進め方
ステップ1 計画(Plan)
- テーマ決め どの自然保護地域について、何を明らかにしたいか決める。(例:「地元の〇〇山の自然が直面している課題は何か?」)
- 仮説を立てる 「〇〇が原因で、△△という問題が起きているのではないか?」と予想する。
- 調査方法を決める 本で調べるのか、ネットで調べるのか、誰かに話を聞くのか、計画を立てる。
ステップ2 実行(Do)
- 情報収集 計画に沿って、本やネットで情報を集める。重要な情報はノートにメモする。
- 調査・インタビュー 実際に現地を訪れて写真を撮ったり、関係者に質問したりする。データが見つかれば、グラフにしてみよう。
ステップ3 評価(Check)
- 情報整理 集めた情報を、分かったこと、不思議に思ったことなどに分類・整理する。
- 考察 「なぜ、そうなっているのか?」を深く考える。立てた仮説は合っていたか?新しい発見はあったか?
ステップ4 改善・発表(Action)
- まとめ 研究の動機、方法、結果、考察、そして「私たちにできること」の提案を、模造紙やレポートにまとめる。
- 発表 調べて考えたことを、自分の言葉で家族や友達、先生に伝えよう!
自由研究から発見したアイデア
- オリジナル・エコツアープランの企画 自然を傷つけず、むしろ自然を守ることに繋がるような楽しい旅行プランを考えてみよう!「外来種植物の駆除体験と、地元の食材を使ったBBQツアー」など、楽しみながら貢献できるアイデアを募集します。
- 企業の社長へ手紙を書こう 調べていく中で、ある企業の商品が環境破壊につながっていると分かったら?その会社の社長に、「環境に優しい商品を作ってください!」という丁寧な手紙を書いてみよう。一人の声が、会社を動かすきっかけになるかもしれません。
- 「生物多様性かるた」の制作 地域の絶滅危惧種や、守るべき自然をテーマにした「かるた」や「カードゲーム」を作ってみよう。遊びながら、みんなが地域の自然に詳しくなり、大切にする気持ちが育まれるはずです。
この自由研究に関連する仕事
- 自然保護官(レンジャー) 国立公園などをパトロールし、密猟や違法伐採から自然を守り、その素晴らしさを人々に伝える、自然の守り人。
- 環境コンサルタント ダムや道路を作る時、どうすれば自然への影響を最小限にできるか、専門的な知識でアドバイスする、自然と開発の架け橋。
- 生態学者 生き物の生態や、環境の変化が生物に与える影響を研究し、効果的な保護方法を科学的に見つけ出す、生き物のプロフェッショナル。
- NPO/NGOスタッフ 世界中の人から寄付を集め、環境保護のプロジェクトを企画・実行する、地球を救う活動家。
- インタープリター(自然解説員) 自然の面白さや不思議さを、訪れる人々に楽しく伝える、自然の魅力を語るストーリーテラー。
まとめ
私たちが当たり前のように見ている美しい自然は、決して当たり前のものではありません。それは、地球が長い時間をかけて育んできた奇跡であり、たくさんの人々の努力によって守られてきた宝物です。
しかし今、その宝物は静かな悲鳴を上げています。この研究は、その小さな声に耳を澄まし、私たちに何ができるのかを考える旅です。問題を知り、学び、そして自分なりの答えを見つけて行動に移すこと。その一つひとつの小さな一歩が、かけがえのない地球の未来を守る、大きな力になります。
この自由研究が、君と自然との絆を深め、未来を守るアクションへの第一歩となることを心から願っています。
関連書籍
身近な仕事について考えてみよう!
- 仕事のことを通じて学んだこと、楽しかったこと、難しかったことを書いてみましょう。
- テーマについての新しい発見や、自分が感じたことをまとめます。
- 今後、さらに調べてみたいことや、他の人に教えたいことがあれば、それも書いてみましょう。