教育制度の特徴
ブルキナファソの教育制度は、3年間の就学前教育、6年間の初等教育、4年間の前期中等教育、そして3年間の後期中等教育からなる「6-4-3制」を採用しています。このうち、初等教育と前期中等教育を合わせた10年間が義務教育と定められています。公用語であるフランス語が主要な授業言語として使われますが、モシ語やジュラ語などの現地語も広く用いられています。公立学校の学費は3歳から16歳まで無償化されており、就学を促進する取り組みが進められています。高等教育では、大学で学士号を3年、修士号をさらに3年で取得できます。
教育方法
ブルキナファソでは、教員の質の向上が重要な課題の一つです。十分な教育を受けていない教員も少なくないため、教員の育成と教授法の改善に力が入れられています。ユニセフなどの支援団体は、農村部の多くの家庭に電気が通っていない現状を改善するため、太陽光発電式ライトを配布し、子どもたちが日没後も自宅で学習できる環境を整えています。また、幼稚園などの就学前教育の普及も、小学校での学習の遅れや中途退学を減らすために重要視されています。保護者や地域社会の理解と協力が、子どもたちの就学と卒業を支える鍵とされています。
教育への取り組みや支援
ブルキナファソの教育は、国内外からの様々な支援によって支えられています。
- JICA(国際協力機構)「第三次小学校建設計画」を通じて、多くの教室、トイレ、教員宿舎、給水施設などを建設し、過密な学習環境の改善に貢献しました。これにより、1クラスあたりの生徒数が減少したり、教員の定着率が向上したりする効果が見られました。
- UNICEF(国連児童基金)公立学校の学費無償化、太陽光発電式ライトの配布、教員研修の実施、学校施設(男女別トイレや手洗い場など)の改善を通じて、子どもたちの学習環境と衛生状態の向上に取り組んでいます。
- NPO法人日本ブルキナファソ友好協会など 農村地域での小学校建設や、日本で不要になった物資(学校用机・椅子、楽器、パソコンなど)をブルキナファソに運び再利用するなど、草の根レベルでの支援活動も活発に行われています。
これらの支援により、2012年から2017年の間に識字率が向上するなど、具体的な成果も出ています。
子供達の1日の過ごし方
ブルキナファソの子どもたちの一日は、日の出とともに始まります。例えば、朝6時頃には家々の周りの掃除をしたり、井戸に水を汲みに行ったりと、家の手伝いをします。その後、家族で米のおかゆなどの朝食をとり、7時過ぎには親戚や近所の子どもたちと一緒に学校へ向かいます。
学校に着くと、始業前に木の下で教科書を取り出して友人と復習をする姿も見られます。7時半に学校のベルが鳴ると教室に入り、フランス語の授業が始まります。子どもたちは元気に音読し、先生が発音を手助けします。休み時間には、教室の掃除やトイレの清掃を助け合うこともあります。お昼には、お母さんたちが交代で給食を作ってくれ、学校で昼食をとることで午後の授業にも集中できるようになります。放課後は、自宅に電気が通っていないことが多いため、太陽光発電式ライトを使って宿題をしたり、勉強をしたりします。
教育と社会の関係
ブルキナファソ社会において、教育は貧困からの脱却と識字率向上、そして社会発展のための重要な「未来への扉」と認識されています。しかし、治安の悪化による紛争の影響で、2023年には100万人以上の子どもが学校に通えない状況に陥るなど、教育機会が奪われる深刻な問題に直面しています。
また、乳幼児期の栄養不良は、子どもの発達に不可逆的な遅れをもたらし、学習能力や免疫力に影響を与え、将来的な教育や所得にも影響を及ぼすことがわかっています。衛生環境の不備も、予防できる病気による死亡率の高さにつながっています。教育はこれらの社会課題と密接に関わっており、学校に通えること自体が子どもの健康や将来の選択肢を広げる上で非常に重要です。
国が抱える教育の課題と未来
ブルキナファソの教育は、依然として多くの課題を抱えています。
- 施設と環境の不備 1クラス100人を超える過密状態や、机・椅子の不足、適切なトイレ設備の欠如が深刻です。特に男女別のトイレがないことは、思春期の女子が学校に通えなくなる原因にもなっています。
- 教員の質と数 十分な研修を受けていない教員が多く、授業の質の低さや体罰の問題も存在します。教員の不足も大きな課題です。
- アクセスと就学率 貧困、労働(水汲みなど)、学校までの遠距離、そして紛争による避難生活が、多くの子どもの就学を妨げています。識字率も依然として世界最低水準にあります。
- 保護者の意識 義務教育ではあるものの、学校に通わせることの重要性に対する保護者の理解が十分でない場合もあります。
しかし、これらの課題に対し、政府や国際機関、NGOが協力して学校建設、教員研修、教育環境の改善、そして地域社会の啓発活動に取り組んでいます。未来に向けては、全ての子どもが質の高い教育を受けられるよう、教育施設の拡充、教員の育成、そして社会全体の安定化が不可欠です。テクノロジーを活用した学習支援や、地域に根差した教育の強化も、ブルキナファソの教育の未来を切り開く鍵となるでしょう。
教育と文化や価値観の関係
家族とコミュニティの絆を重んじる精神
ブルキナファソでは、貧困や学校施設の不足、紛争の影響など、子どもが学校に通う上での障壁が多く存在します。こうした状況下で教育を受けるには、家族やコミュニティの協力が不可欠です。例えば、遠距離通学の子どもたちが助け合って登校したり、地域のお母さんたちが交代で給食を作ったりする様子は、相互扶助の精神や強い共同体意識を育みます。教育が「個人の成長」だけでなく「コミュニティ全体の課題」として認識されることで、家族や地域の絆を大切にする価値観がより一層強固になります。
困難に立ち向かう忍耐力とレジリエンス
限られたリソースの中で学ぶブルキナファソの子どもたちは、忍耐力と逆境を乗り越える力(レジリエンス)を自然と身につけていきます。例えば、電気がなくても太陽光発電ライトで夜遅くまで勉強したり、過密な教室でも集中して学んだりする経験は、彼らの精神的な強さを培います。こうした教育環境は、将来、社会に出てからも困難に屈せず、粘り強く目標に向かって努力する国民性を育む一因となっています。
実践的な知恵と問題解決能力
多くのブルキナファソの学校では、単なる知識の詰め込みだけでなく、実生活に役立つスキルや問題解決能力を重視する傾向が見られます。例えば、学校での衛生教育が自宅での手洗いの習慣につながったり、コミュニティ全体で学校運営に携わることで、住民自身が課題を発見し解決する力を養ったりします。これは、座学だけでなく実践を通じて学び、日々の生活の中で得た知恵を大切にするブルキキナファソ独自の文化にも繋がっています。
複数言語が共存する多様性への理解
ブルキナファソではフランス語が公用語である一方で、多くの現地語が日常的に使われています。子どもたちは学校でフランス語を学びながら、家庭や地域では自分たちの母語を使います。このような多言語環境は、幼い頃から多様な文化や価値観を受け入れる柔軟性を育みます。異なる言語を理解し、使いこなす能力は、異文化間のコミュニケーションを円滑にし、将来的にグローバルな視点を持つ人材が育つ素地ともなっています。
まとめ
ブルキナファソの教育は、貧困や紛争、そして地理的な制約といった多くの困難に直面しながらも、子どもたちの未来を切り開く希望として、力強く前進しています。多くの支援と現地の人々の努力によって、少しずつではありますが、識字率の向上や就学環境の改善が見られます。学校は単に知識を学ぶ場だけでなく、子どもたちが健康で安全に過ごし、社会とつながるための大切な居場所です。ブルキナファソの子どもたちが、教育を通じてそれぞれの可能性を最大限に伸ばし、国の未来を築いていくために、これからも国際社会と手を取り合って支援を続けていくことが重要です。
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