世界の教育| フィリピンの教育が紡ぐ共助と多様性の物語、文化と価値観を育む学びのチカラ

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教育制度の特徴

フィリピンの教育制度は、小学校(Grades 1–6)、中学校(Grades 7–10)、高校(Grades 11–12)の「K–12制」を採用し、計13年間の義務教育を行っています。幼稚園準備教育(Kindergarten)も義務化されており、3歳以上の子どもが就学前教育を受けられる点が特徴です。公立学校では原則授業料が無料で、地域によっては母語を活かした「MTB-MLE(Mother Tongue–Based Multilingual Education)」を初期段階に導入し、学習の定着を図っています。

    教育方法

    • 双言語教育 英語とタガログ語(フィリピン語)が並行使用され、小学3年生までは母語ベースで教科を学び、高学年以降は英語で教えるモデルを採用。
    • アクティブ・ラーニング グループワークやプロジェクト学習が多く取り入れられ、子ども同士の対話を通じて理解を深めます。
    • ICT活用 都市部ではe-Learning教材やオンライン授業が普及し、タブレットやコンピュータを使った授業も増加中。
    • 地域密着型学習 農村部では農業体験や地域文化学習を通じて、地元の暮らしや産業を実際に学ぶ取り組みがあります。

    教育への取り組みや支援

      • 政府プログラム「Brigada Eskwela」
        毎年5〜6月に行われる学校整備活動。地域住民や保護者、企業ボランティアが教室の修繕や清掃、教材準備を手伝います。
      • Alternative Learning System(ALS)
        正規の学校に通えない子どもや成人向けの夜間・週末学級。読み書き計算から高校卒業相当の資格取得まで支援。
      • 奨学金制度
        貧困家庭や優秀な生徒向けに、国費・地方費の奨学金や民間財団の奨学金制度が充実。教科書無償配布や交通費補助も実施。
      • NGO・国際支援
        UNESCOやUSAIDなど国際機関が教員研修や教材開発、遠隔地学校へのICT支援を行い、教育の質向上をサポートしています。

      子供達の1日の過ごし方

      • 朝6時半〜7時 朝食後、親や兄弟と徒歩・ジープニー(乗り合いバス)で登校。
      • 7時半〜12時 1時限45分×4〜5コマの授業。休み時間は友達とおやつを交換したり、校庭で遊んだりします。
      • 12時〜13時 給食または家庭から持参したお弁当で昼食。
      • 13時〜16時 午後の授業やクラブ活動、掃除当番。スポーツや歌のクラブ、読書クラブなど多彩です。
      • 16時以降 家に戻り、宿題を終えたら家事手伝いや近所の店で家族の手伝いをする子も。夕方はテレビやスマホで動画を見たり、公園で遊んだりして過ごします。

      教育と社会の関係

      フィリピンでは若年層(25歳以下)が人口の約四割を占め、教育投資が国家の経済成長に直結します。多くの労働者が海外へ就労する「OFW(海外出稼ぎ労働者)」として送り出される背景には、高い語学力と基礎学力が求められるため、国内での教育水準向上が重要視されています。また、地域コミュニティでは学校が集会所や防災拠点としても機能し、社会的な結びつきを強めています。

      国が抱える教育の課題と未来

      • 都市と農村の格差
        教師配置やICT環境、教材・施設の充実度に地域差が大きく、農村部や離島では学習機会の不均衡が課題。
      • 教員の待遇改善
        若手教員の給与水準が低く、都市部に集中しがち。地方赴任のインセンティブや研修支援の強化が求められています。
      • デジタル教育の普及
        コロナ禍でオンライン学習が拡大した一方、インターネット環境が未整備の地域では追いついておらず、デジタルデバイドが顕在化。
      • 未来展望
        政府は2025年までに全国の学校を高速回線で結ぶ計画を立てており、遠隔地でも質の高い教育を受けられる環境整備を加速中。民間企業によるEdTech投資も増え、個別最適化学習の導入が期待されます。

      教育と文化や価値観の関係

      バヤニハン精神(共助・助け合い)

      「Brigada Eskwela」のように、学校整備を地域全体で行う活動を通じて、子どもたちに「みんなで協力する喜び」を体験させます。この経験が家庭やコミュニティでの助け合い文化を支え、災害時の相互支援にもつながっています。

      多言語・異文化尊重

      初等教育で母語ベースの多言語指導(MTB-MLE)を行うことで、自分の出身地域の文化や言葉への誇りを育みます。同時に英語教育も重ねることで、世界中の人々とのコミュニケーション力を身につけ、「ホスピタリティ精神」として現地の観光文化にも活かされています。

      家族中心主義の継承

      「Values Education(価値観教育)」の一環で、親や祖父母への敬意、家族の役割分担を学びます。
      これが「親を大切にする」「年長者を敬う」という伝統的家族観をさらに強固にし、家庭行事や祭礼の中心的役割を果たす文化に反映されています。

      カトリック教育と祝祭文化

      学校の礼拝や宗教行事を通じてキリスト教的な価値観(思いやり、赦し、感謝)が日常化。
      その影響で、各地の「シノログ」「パンドガン」など盛大な祭りや行事に、信仰心とコミュニティの一体感が色濃く表れています。

      グローバルマインドと海外就労文化

      英語と基礎学力を活かす教育プログラムから、多くの若者が看護師やエンジニアとして海外で活躍。
      これにより「家族のために頑張る」「広い世界で通用する自分をつくる」という価値観が根づき、送金文化やフィリピン人コミュニティの結束力につながっています。

      まとめ

      フィリピンの教育は、K–12制の充実や双言語・母語ベース教育、地域社会と連携した多様な学びが特徴です。一方で、都市部と地方の教育格差やデジタル環境の不均衡といった課題を抱えています。今後はICTインフラ整備や教員支援、民間との連携を通じて、すべての子どもが質の高い教育を享受できる社会が目指されています。自由研究では、地元の学校やオンライン教材を実際に調べ、フィリピンの子どもたちの「学びの姿」をレポートしてみましょう。

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