世界の教育｜未来をつくるケニアの教育、文化・価値観を育む教室からのストーリー

INDEX

教育制度の特徴

ケニアの教育制度は、長年「8-4-4制」（初等教育8年、中等教育4年、高等教育4年）を採用してきましたが、2017年から新たな「2-6-3-3-3制」へと移行しています。この新制度では、幼児教育2年、初等教育6年、中等教育（下級）3年、中等教育（上級）3年、高等教育3年を基本とし、児童の能力や興味に応じた教育を提供することを目指しています。この改革は、コンピテンシー（能力）に基づくカリキュラム（CBC）を導入し、知識の詰め込みではなく、実践的なスキルや態度の育成に重点を置いています。　引用元国際NGOワールド・ビジョン・ジャパン J-STAGE

教育方法

ケニアでは、従来の講義中心の教育から、児童の主体的な学びを促す教育方法への転換が進められています。特に理数科教育においては、JICA（国際協力機構）の支援のもと、SMASE（Strengthening of Mathematics and Science Education）プログラムが導入され、教員の指導力向上や実践的な授業の推進が図られています。この取り組みにより、児童の思考力や問題解決能力の育成が期待されています。　引用元 JICA

教育への取り組みや支援

ケニアでは、NGOや国際機関による教育支援が活発に行われています。例えば、AAR Japan（難民を助ける会）は、難民キャンプやその周辺地域で、児童の中途退学を防ぐための家庭訪問や保護者への啓発活動を実施しています。また、地域ボランティアと連携し、学校と家庭が協力して児童の就学継続を支援する体制づくりが進められています。引用元AAR Japan［難民を助ける会］：日本生まれの国際NGO

子供達の1日の過ごし方

ケニアの多くの児童は、朝早くから学校に通い、午後まで授業を受けます。放課後は、家族の農作業を手伝ったり、家事を行ったりすることが一般的です。また、都市部では、放課後に塾や補習授業に参加する児童も増えています。一方で、貧困や家庭の事情により、学校に通えない児童も存在し、教育へのアクセスに格差が見られます。

教育と社会の関係

教育は、ケニア社会において貧困からの脱却や社会的地位の向上の手段とされています。特に都市部では、高等教育を受けることで、より良い就職機会を得ることが可能となります。しかし、農村部やスラム地域では、教育へのアクセスが限られており、教育格差が社会的な課題となっています。

国が抱える教育の課題と未来

ケニアの教育は、教員不足や教育資源の偏在、児童の中途退学など、多くの課題を抱えています。特に、教員1人が多数の児童を担当する大規模なクラス編成は、個別指導の難しさを生んでいます。今後は、教員の質の向上や教育インフラの整備、地域社会との連携強化が求められます。また、デジタル技術の活用による遠隔教育の導入も、教育の質とアクセスの向上に寄与することが期待されています。

教育と文化や価値観の関係

ウブントゥ（Ubuntu）の精神の継承

ケニアでは、「私は私たちの中の一人である」という意味を持つウブントゥという価値観が大切にされています。教育の場では協調性や助け合いを重視し、グループ学習や共同作業が取り入れられています。これはケニア社会の“共に生きる”文化に根ざしています。

環境との共生意識

ケニアの学校では環境保全教育が広く取り入れられており、木を植える活動（「グリーン・スクール運動」など）を通して自然と共に生きる感覚が育まれます。これはマサイ族やキクユ族などの先住民族が持つ自然との共生の考え方にも通じています。

口承文化との融合

ケニアでは口承によって語られる物語や歴史が今も大切にされており、教育現場でもストーリーテリングが重要な学習方法のひとつです。これは知識を感情や教訓と共に伝える文化的手法として、子どもたちの人間性や価値観に影響を与えています。

スポーツや音楽を通じたアイデンティティの形成

教育課程の中で、マラソンや伝統音楽・舞踊などが取り入れられており、ケニア人としての誇りや地域性を育てる役割を果たしています。特にランニングは「努力すれば夢は叶う」という精神を象徴しています。

まとめ

ケニアは、教育制度の改革や国際的な支援を受けながら、すべての児童が質の高い教育を受けられる社会の実現を目指しています。しかし、地域間や経済的背景による教育格差は依然として大きな課題です。今後も、政府、地域社会、国際機関が連携し、持続可能な教育環境の構築に取り組むことが重要です。

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