自由研究526｜消費者の回遊率調査「地元の商店街で共通ポイント制度を導入したらどう変わるか調べてみよう」

INDEX

今回のテーマ

「地元の商店街で共通ポイント制度を導入したらどう変わるか調べてみよう」

この自由研究のテーマは、「地元の商店街に共通ポイント制度を導入した場合、消費者の回遊率や購買行動がどのように変化するか」を調査・考察することです。

共通ポイント制度とは、複数の店舗やサービスで共通して利用できるポイントシステムのことです。例えば、Tポイントや楽天ポイントなどが有名です。この制度を地元の商店街全体で導入することで、個々の店舗だけでなく、商店街全体としての魅力や利便性が向上する可能性を探ります。具体的には、ポイントを貯めたい、使いたいという動機が、普段行かないお店にも足を運ぶきっかけになるのか、その結果、商店街全体の活気がどう変わるのかを分析します。

自由研究の目的

どうして共通ポイント制度を導入したらどう変わるか調べてみるの？

地元の商店街は、単なる買い物をする場所ではなく、地域コミュニティの中心としての役割も担っています。しかし、近年は大型商業施設やオンラインショッピングの普及により、集客力が低下し、シャッター通り化が問題となっている商店街も少なくありません。

この研究を通じて、「どうすれば地元の商店街を元気を取り戻せるか」という地域経済の課題を、消費者行動という視点から深く考えることができます。共通ポイント制度は、マーケティング戦略の一環として多くの企業が導入していますが、その効果を自分たちの身近な場所でシミュレーションすることで、経済学やマーケティングの知識を実践的に学べるのが、このテーマの大きな魅力です。

自由研究のゴール

この研究を通じて、以下のような力を身につけることが目標です

レベル１（提出レベル）　商店街の現状の回遊率（お客さんが立ち寄る店舗の数や頻度）を調査し、共通ポイント制度のメリット・デメリットを整理する。
レベル２（高評価レベル）　共通ポイント制度導入後の変化を予測したアンケートを消費者や商店主に行い、データに基づいた効果を考察する。
レベル３（発展レベル）　導入後の変化を予測するだけでなく、独自の共通ポイント制度の具体的なルール（ポイント付与率、有効期限、利用条件など）を設計し、実現可能性について商店街の関係者に提案するところまで挑戦します。単なる調査報告に留まらず、地域課題の解決に向けた具体的な「企画提案力」が身につきます。

実際の他地域の成功事例

例えば、ある地方都市の商店街では、地域内限定で利用できる独自の電子地域通貨・ポイント制度を導入しました。これにより、ポイントが地域外に流出するのを防ぎ、ポイントを使うために商店街を「回遊」する消費者を増やし、商店街全体の売上向上に貢献しています。これは地域通貨型ポイントの導入事例です。

また、複数の自治体や商工会が連携し、広域の商店街や観光地で共通利用できるポイント制度を導入した連携ポイント制度の事例もあります。この結果、消費者が普段は行かない隣町の商店街にも足を運ぶようになり、広範囲での経済活性化につながっています。これらの事例を参考に、「自分の町の商店街ではどうすれば成功するか」を考えることが重要です。

研究を進めるうえで、以下のポイントに注目しよう！

この研究を成功させるための主要なポイントは、「回遊率」の変化をどう測定するかという点にあります。

まずは現状分析として、商店街の地図を作成し、店舗の種類や立地を把握します。そして、消費者が1回の訪問で平均何店舗に立ち寄るかを、アンケートや観察で定義・測定しましょう。

次に、意識調査を行います。消費者には「ポイント制度があれば、普段行かない店に行くか」「何ポイント貯まったら魅力的か」などを聞き、商店主には「導入のコスト」「集客への期待」「他の店との協力体制」など、導入側（供給側）の意見を聞くことが大切です。

最後に、集めたアンケートや観察データをグラフ化し、「もし導入されたら」という仮説を立て、その効果を客観的に検証する、データに基づいた考察を行います。

自由研究の進め方

STEP 1　テーマ設定と情報収集
地元の商店街を選定し、共通ポイント制度の基本（仕組み、成功事例）をインターネットや書籍で調べます。
STEP 2で現状調査
商店街を実際に歩き、店舗数や種類を記録し、通行人への簡単な観察（人の流れ、立ち寄り店）を行います。
STEP 3　アンケート・インタビューの準備
消費者向け、商店主向けの質問項目を作成しますが、設問数を絞り、回答しやすいように工夫しましょう。
STEP 4　データ収集
実際に商店街でアンケートを実施し（協力のお願いを丁寧に！）、写真や動画で街の様子も記録します。
STEP 5　分析と考察
収集したデータを集計・グラフ化し、「導入したら回遊率はどう変化するか」という仮説とその根拠を記述します。
STEP 6　発表資料作成
研究の結果とアイデアをまとめて発表資料（レポート、ポスターなど）を作成して完成です。

自由研究から発見したアイデア

調査を通じて、共通ポイント制度に独自のアイデアを組み込むことで、さらに大きな効果を生み出す可能性を発見できるかもしれません。例えば、商店街の清掃活動や、地元の祭りへの参加など、地域貢献活動をした住民に特別ポイントを付与する「地域貢献ボーナスポイント」の導入を提案できます。これはポイントが地域への愛着を高めるツールになります。

また、1日に異なる3店舗以上で買い物をした場合に、ボーナスポイントを付与する「ハシゴ得々ポイント」の設定も効果的です。これにより、消費者に意識的に「回遊」を促し、多くの店舗に立ち寄る動機を強化できます。さらに、地元の中高生や大学生に限定して、特定の曜日にポイント付与率を上げる「学生限定ポイントアップデー」の実施は、若者の集客と将来の顧客獲得を目指す提案となるでしょう。

この自由研究に関連する仕事

マーケターや企画職　消費者の購買行動を分析し、集客戦略を立案する力、そしてポイント制度のような販促キャンペーンの企画・効果測定を行うスキルは、この研究で養われます。
地域おこし協力隊や地方公務員　地域経済の活性化策を考え、実行する能力は、商店街振興組合や自治体と連携し、まちづくりに貢献する上で不可欠です。
データサイエンティストやデータアナリスト　アンケートや購買履歴などの大量のデータを分析し、ビジネス上の意思決定に役立つインサイト（洞察）を抽出するスキルは、将来的に非常に価値が高まります。

まとめ

「地元の商店街で共通ポイント制度を導入したらどう変わるか」を調査する自由研究は、経済やマーケティングといった社会の仕組みを、最も身近な商店街というフィールドで体験できる実践的な学びです。

単に「便利そう」で終わるのではなく、消費者や商店主の生の声を聞き、データを分析することで、地域活性化の新しいアイデアを生み出す喜びを感じられるでしょう。あなたの視点や提案が、将来、あなたの街の未来を明るく照らすかもしれません。ぜひ、「地域を元気にする専門家」になったつもりで、この調査にチャレンジしてみてください！