今回のテーマ
「気温・湿度・風向の変化を可視化してみよう」
この自由研究では、自分だけの「気象観測所」を作って、約1か月間、身近な天気(気温・湿度・風向)のデータを集めます。ペットボトルや温度計など、手に入りやすい材料で観測装置を自作し、毎日決まった時間に観測を続けます。最後に、集めたデータをグラフにして「見える化」することで、普段何気なく感じている天気の中に隠された規則性や面白い変化を発見することを目指します。科学の基本である「観察・記録・分析」を体験できる、挑戦しがいのあるテーマです。
自由研究の目的
天気は私たちの毎日の服装や遊び、食べ物、さらには気持ちにまで影響を与える、とても身近な自然現象です。この研究を通して、天気がどのような要素(気温、湿度、風など)で成り立っているのかを具体的に知ることができます。また、毎日コツコツとデータを記録し、それをグラフにまとめる作業は、科学的なものの見方や、データを正しく読み解く力を養います。地球温暖化などの大きな環境問題を、自分の肌で感じる「小さな地球」の変化として捉えるきっかけにもなるでしょう。
自由研究のゴール
- 基本ゴール 自作の観測装置で、1か月間の「気温」「湿度」「風向」を毎日記録し、それぞれの変化がわかる折れ線グラフや棒グラフを作成できる。
- レベルアップゴール
- 自分のデータと、テレビやネットで発表される気象庁のデータを比較し、なぜ違いが出るのかを考察する。
- 「雨が降った日は、湿度が本当に100%に近くなるのか?」「風が強い日と気温に関係はあるか?」など、自分だけの「仮説」を立てて、データをもとに検証する。
- 写真やイラストを加えた、オリジナルの「お天気絵日記」を作成し、日々の変化をより豊かに表現する。
自由研究の成果物例
自由研究が完成すると、例えば下のような成果物を作ることができます。
- 気温の折れ線グラフ 1か月間の「最高気温」と「最低気温」の変化を1枚のグラフにまとめます。これを見ると、「月の前半は涼しかったけど、後半から急に暑くなったな」といった大きな流れが一目でわかります。
- 湿度の棒グラフ 毎日の湿度を棒グラフにします。雨の日の湿度がぐんと高くなっていることや、晴れて乾燥した日が続いている様子が視覚的に理解できます。
- 風向の記録(ウィンドローズ) 観測した風向を、方位ごとに「正」の字で記録し、「今月は北風が吹く日が多かった」といった傾向をまとめます。少し難しいですが、風配図(ウィンドローズ)という専門的な図に挑戦するのも面白いでしょう。
(※上記はグラフのイメージです。実際に作成したグラフを載せましょう。)
研究を進めるうえで、以下のポイントに注目しよう!
- 観測場所を決めよう 装置を置く場所はとても重要です。一日中日陰になる場所や、エアコンの室外機の風が当たる場所は避け、できるだけ自然な状態が測れる、風通しの良い場所を選びましょう。ベランダや庭の木陰などがおすすめです。
- 観測時間を守ろう データの信頼性を高めるために、毎日なるべく同じ時間に観測することが大切です。「朝8時と夕方4時」のように、時間を決めて続けましょう。
- 天気も記録しよう 数値データだけでなく、「晴れ」「くもり」「雨」などの天気や、「雲が多かった」「夕焼けがきれいだった」といった気づきもメモしておくと、後でデータを分析するときにとても役立ちます。
自由研究の進め方
ステップ1 準備と製作
まず、観測に必要な道具を準備し、装置を作りましょう。
- 必要なもの
- 温度計(2本)
- 空の500mlペットボトル、ストロー、画用紙、方位磁石
- ガーゼ、輪ゴム、水を入れる小さな容器
- 記録用のノート、筆記用具、カメラ(記録用)
- 装置の作り方
- 乾湿計(かんしつけい)で湿度を測ろう! 2本の温度計のうち、1本の球部に水で湿らせたガーゼを巻きつけます。これで「乾球温度」と「湿球温度」の2つが測れます。この2つの温度の差と専門の換算表から、湿度を割り出すことができます。(※換算表はインターネットで「乾湿計 湿度表」と検索すると見つかります)
- 風向計を作ろう! ペットボトルにストローを水平に突き刺し、ストローの片方に画用紙で作った矢じり、もう片方に尾翼をつけます。これを自由に回転できるように設置すれば、風がどちらから吹いているかがわかります。地面に方位を書いておくと便利です。
ステップ2 観測と記録
決めた時間に、決めた場所で観測をスタート!ノートに下のような表を作って、毎日記録していきましょう。
ステップ3 データの整理とグラフ化
1か月分のデータが集まったら、いよいよ分析です。パソコンの表計算ソフト(Excelなど)や方眼紙を使って、データをグラフにしてみましょう。何がわかったのか、どんなことに気づいたのかを文章でまとめていきます。
ステップ4 まとめと考察
作成したグラフからわかることや、研究を始める前の予想との違い、観測中に大変だったこと、新しく生まれた疑問などをまとめます。「この1か月で、一番気温が高かった日と低かった日の差は〇〇℃もあった」「雨の予報がなくても、湿度が高い日が続くと雨が降ることが多かった」など、自分だけの発見を書き記しましょう。
自由研究から発見したアイデア
この研究を終えた君には、新しい疑問が生まれているかもしれません。その探求心が、次の面白いアイデアにつながります。
- 天気予報に挑戦! 「3日間の自分のデータから、明日の天気を予想してみる」というルールで、ミニ天気予報官に挑戦してみるのはどうだろう?実際の天気と比べて、的中率を記録していくと面白い発見があるかも。
- 場所による違いを調査! 自宅の観測所のほかに、公園の木陰や、日当たりの良い校庭など、別の場所にもう一つ観測所を作ってデータを比べてみよう。場所によって気温や湿度がどれくらい違うのか、新しい発見がありそうです。
- 生き物の観察と組み合わせる! 気温や天気と、セミの鳴き声、アリの行列、ツバメの飛ぶ高さなどを関連付けて記録してみよう。「雨が降る前は、アリが行列を作っていた」のような、自然とのつながりが見えてくるかもしれません。
この自由研究に関連する仕事
- 気象予報士 テレビやニュースでおなじみの、天気を予測し、私たちに伝えてくれる専門家です。日々の気象データを分析して、未来の天気を読み解きます。
- データサイエンティスト 天気だけでなく、世の中の様々な「ビッグデータ」を分析して、ビジネスや社会に役立つ新しい価値を見つけ出す仕事です。
- 環境コンサルタント 気候変動などの環境問題について、専門的な知識をもとに企業や自治体にアドバイスをする仕事です。
- 農業・漁業関係者 作物を育てたり、魚を獲ったりする上で、天気や気候の正確な情報は欠かせません。自然を相手にする仕事は、まさに気象の知識が活かされる現場です。
まとめ
自分だけの観測所で日々の天気を記録する自由研究は、科学の面白さを体感できる素晴らしいテーマです。データをコツコツと積み重ね、そこから何かを発見する喜びは、きっと大きな自信につながるでしょう。この研究を通して、空を見上げるのがもっと楽しくなったり、天気予報の裏側にある科学に興味が湧いたりするかもしれません。ぜひ、夏休みなどを利用して、身近な自然の不思議を探る冒険に出かけてみてください。
関連書籍
身近な仕事について考えてみよう!
- 仕事のことを通じて学んだこと、楽しかったこと、難しかったことを書いてみましょう。
- テーマについての新しい発見や、自分が感じたことをまとめます。
- 今後、さらに調べてみたいことや、他の人に教えたいことがあれば、それも書いてみましょう。