保険のしくみを知ろう!保険アジャスターと保険代理店とは?
事故や災害で困っている人の元へ駆けつけ、被害の状況を調査し、公正な保険金の支払いを計算する「保険アジャスター」。そして、人々の暮らしや夢に寄り添い、万が一の事態に備えるための最適な保険プランを提案する「保険代理店」。どちらも「保険」を通して、人々の不安を安心に変える、社会のセーフティネットを支える大切な仕事です。
これらの仕事の最大の魅力は、人々の「人生の再スタート」を直接支えられることです。事故で車が壊れてしまったり、台風で家が壊れてしまったり…そんな絶望的な状況にいる人にとって、アジャスターや代理店は希望の光です。専門知識を駆使して問題を解決し、お客様から「ありがとう、あなたのおかげで前に進めます」と感謝された時の喜びは、何にも代えがたいものです。また、法律、医療、建築、経済など、幅広い知識が身につき、社会の仕組みを深く理解できるのも大きな魅力。人々の人生に深く関わり、困難を乗り越える手助けをすることで、自分自身も大きく成長できる仕事です。
保険アジャスターと保険代理店の仕事とは?
この2つの仕事は、協力し合いながら、人々の「もしも」を支えています。
保険アジャスター(損害保険登録鑑定人など) 役割:事故や災害の「調査員」兼「鑑定士」
例えば、大きな台風で家の屋根が飛ばされてしまった家族がいるとします。 保険アジャスターは、その家族の元へ駆けつけ、次のような仕事をします。
- 現場調査 壊れた屋根の写真を撮ったり、家の構造を確認したりして、被害の状況を正確に記録します。
- ヒアリング 家の持ち主に、いつ、どのように壊れたのかを詳しく聞きます。
- 損害額の計算 屋根を修理するのにいくらかかるか、専門知識とデータをもとに計算します。この時、不当に高すぎたり安すぎたりしないよう、公平な立場で判断するのが重要です。
- 報告書の作成 調査結果と計算内容をまとめた報告書を作成し、保険会社に提出します。この報告書が、支払われる保険金の基礎となります。
保険代理店 役割 保険の「案内人」兼「相談相手」
例えば、もうすぐ赤ちゃんが生まれる若い夫婦がいるとします。 保険代理店の担当者は、この夫婦の相談に乗り、次のような仕事をします。
- ライフプランのヒアリング 「これからどんな人生を送りたいですか?」「子どもの教育費はどのくらい考えますか?」など、家族の夢や将来の計画を丁寧に聞きます。
- リスクの洗い出し 病気やケガで働けなくなるリスク、子どもの将来のための資金不足のリスクなど、起こりうる「もしも」を一緒に考えます。
- プランの提案 たくさんある保険商品の中から、その家族にピッタリ合う最適なプランをいくつか選び、「この保険は、こんな時にこれだけお金がもらえますよ」と分かりやすく説明します。
- 契約とアフターフォロー 夫婦が納得したら契約手続きを手伝い、契約後も家族の状況が変わるたびに相談に乗って、プランの見直しを提案します。
保険アジャスターと保険代理店の魅力!
- 心からの「ありがとう」がもらえる 困っている人の問題を解決し、不安を安心に変えるのが仕事です。「あなたのおかげで助かった」という感謝の言葉は、大きなやりがいと誇りになります。
- 幅広い分野の専門家になれる 事故の状況を判断するためには、法律や医学、自動車や建物の構造など、様々な知識が必要です。勉強は大変ですが、社会のあらゆることにつながる専門知識が身につきます。
- 公平・公正な判断力が養われる 特にアジャスターは、保険会社側でも被害にあった人側でもなく、中立の立場で物事を判断する力が求められます。感情に流されず、客観的な事実に基づいて正しい結論を導く力は、どんな場面でも役立ちます。
- 安定した収入と将来性 人々の「もしも」に備える保険は、社会にとってなくてはならない仕組みです。そのため仕事がなくなる心配が少なく、安定しています。平均年収は、経験や資格にもよりますが400万円〜700万円以上を目指せる仕事です。保険代理店では、お客様からの信頼を得て多くの契約を結ぶことで、1000万円を超える収入を得る人もいます。これは、毎年新しいファミリーカーを一台買えるくらいの金額です。
- 独立して自分の会社を持つことも可能 経験と資格を積めば、独立して自分の鑑定事務所や保険代理店を開くという道もあります。自分の力でビジネスを切り拓いていく面白さも、この仕事の魅力の一つです。
保険アジャスターと保険代理店になるには?
- Step 1 社会の「なぜ?」に関心を持つ
まずは、ニュースで見る事故や災害の報道に目を向けてみましょう。「なぜこの事故は起きたんだろう?」「被害にあった人たちの生活はどうなるんだろう?」と、物事の背景を考えることが第一歩です。 - Step 2 基礎となる「計算力」と「読解力」を磨く
損害額を計算するための「数学」、報告書を正確に書いたり、相手の話を正しく理解したりするための「国語」。この2つの力は、仕事の土台となります。学校の勉強も、将来に直結しているんですね。 - Step 3 資格という「武器」について知る
アジャスターには「損害保険登録鑑定人」や「技術アジャスター」といった専門資格が、代理店には「ファイナンシャル・プランナー(FP)」といったお金の知識に関する資格があります。どんな資格があるか知っていますか?調べてみると、仕事の具体的なイメージが湧いてきます。 - Step 4 大学では何を学ぶべきか考えてみる
法律を学ぶ「法学部」、お金の流れを学ぶ「経済学部」や「商学部」などが、この仕事に繋がっています。大学で専門知識を学ぶことは、大きなアドバンテージになります。君が大学で学びたいことは何ですか? - Step 5 たくさんの人と話す経験を積む
この仕事で最も大切なのは、コミュニケーション能力です。相手の気持ちを理解し、自分の考えを分かりやすく伝える力は、たくさんの人と話すことで磨かれます。部活動や学校行事などを通して、色々な人と話す機会を大切にしましょう。
この分野で有名なプロフェッショナル
ベンジャミン・フランクリン
この仕事で世界的に有名な人物として、アメリカ建国の父の一人でもあるベンジャミン・フランクリンを挙げることができます。彼は偉大な政治家や科学者として知られていますが、実はアメリカで最初の火災保険会社を設立した人物でもあります。 18世紀の当時、木造の家が多かったアメリカの都市では、一度火事が起きると大惨事になりました。フランクリンは、隣人の家が火事になるのは他人事ではないと考え、「お互いに少しずつお金を出し合って、火事にあった仲間を助けよう」という仕組みを考え出しました。これが、1752年に設立された「フィラデルフィア・コントリビューションシップ」という火災保険会社です。これは、個人の不幸を社会全体で支えるという「保険」の基本的な精神を形にしたものであり、彼の先見の明と市民への深い愛情がうかがえます。
マーケィングの観点から見ると?
保険アジャスターや代理店の仕事は、未来の世界でますます重要になります。 地球温暖化によって、世界中でこれまで以上に大きな台風や洪水、山火事などの自然災害が増えています。災害が起きるたびに、被害の大きさを正確に調査し、被災した人々が一日も早く生活を立て直せるように手助けするアジャスターの役割は、国境を越えて必要とされます。 また、インターネットが世界中をつなぎ、サイバー攻撃のような新しいリスクも生まれています。こうした目に見えない損害に対応する新しい保険を考え出し、世界中の人々や企業に安心を届ける代理店の活躍の場も広がっていくでしょう。 AIが進化しても、被災者の心に寄り添ったり、複雑な状況を総合的に判断したりするのは、人間の仕事です。グローバルな視点を持ち、新しいリスクに対応できる専門家は、これからの世界に不可欠な存在となるのです。
自由研究の例
【自由研究】身の回りのリスクを探して、未来の保険を作ってみよう!
- Step 1 そもそも「保険」って何だろう?
生命保険と損害保険の違いや、どんな種類があるのか調べてみよう。 (調べてみよう)なぜ人は保険に入るんだと思う? - Step 2 お家の中と通学路の「リスクマップ」を作ろう!
家の中や通学路を歩いて、「ここで転んだら危ないな」「このブロック塀は地震で倒れるかも」といった危険な場所を探して、地図に書き込んでみよう。 (考えてみよう)もし、その危険が実際に起きたら、何が壊れて、誰が困るかな? - Step 3 もしも壊れたら?「損害額」を計算してみよう!
もし自分のゲーム機や自転車、家の窓ガラスが壊れたとしたら、修理したり買い直したりするのにいくらかかるか、インターネットやお店で値段を調べて計算してみよう。 (計算してみよう)その金額は、自分のお小遣いやお年玉で払えるかな? - Step <strong>4</strong> 我が家の保険についてインタビューしよう!
お父さんやお母さんに、家で入っている保険について聞いてみよう。「自動車保険」や「火災保険」など、どんな「もしも」に備えているのか、教えてもらおう。 (質問してみよう)今まで、保険が役に立ったことはある? - Step 5 君が社長!「未来の保険」を考えよう!
「AIロボットの故障保険」「宇宙旅行中の事故保険」「友達とケンカした時の仲直り保険」など、未来に必要となりそうな、新しい保険商品を自由に考えて、ポスターやCMにして発表してみよう! (発表してみよう)君が考えた保険は、誰をどんなリスクから守ってくれるかな?
まとめ
保険アジャスターと保険代理店。この2つの仕事は、単にお金を計算したり、商品を売ったりするだけではありません。人々の悲しみや不安に深く寄り添い、専門知識という武器を使って「大丈夫、未来はきっと良くなる」という安心を届ける、いわば社会を支えるヒーローのような存在です。 公平な目で真実を見抜く力、そして人の心に寄り添う優しさ。この両方が求められる奥深い仕事の世界を、君も探求してみてはいかがでしょうか。君の「誰かを助けたい」という気持ちが、未来の社会を支える大きな力になるかもしれません。
関連書籍
身近な仕事について考えてみよう!
- 仕事のことを通じて学んだこと、楽しかったこと、難しかったことを書いてみましょう。
- テーマについての新しい発見や、自分が感じたことをまとめます。
- 今後、さらに調べてみたいことや、他の人に教えたいことがあれば、それも書いてみましょう。