今回のテーマ
「駅・駅前広場・公園で人の流れ(時間帯別/曜日別)を数えて、地域の活性化策を考えてみよう」
この自由研究は、あなたが住んでいる町や学校の近くにある「駅」や「広場」、「公園」などで、いつ、どんな人が、どれくらい通っているのかを実際に数えて調査するものです。 これを専門用語で「交通量調査(こうつうりょうちょうさ)」や「人流調査(じんりゅうちょうさ)」と呼びます。人の流れを数字で見えるようにすることで、その場所が持つ「性格」や「特徴」を浮き彫りにし、もっと町を元気にするためのアイデアを考えるプロジェクトです。
自由研究の目的
普段何気なく歩いている道も、視点を変えて観察するとたくさんの発見があります。この研究を通して学ぶ理由は主に3つあります。
一つ目は「社会の仕組みを知るため」です。朝は会社に行く人が多い、昼は買い物客が多い、といった人の動きには、社会のリズムが反映されています。 二つ目は「データの扱い方を学ぶため」です。数えた数字をグラフにしたり、地図に書き込んだりすることで、算数や数学の実践的な力が身につきます。 三つ目は「地域への愛着を持つため」です。「自分の町をどうすればもっと良くできるか?」を自分自身で考えることで、町づくりに参加する楽しさを知ることができます。
自由研究のゴール
- レベル1(観察) 決まった時間(例:15分間)に何人の人が通ったかを正確に数え、記録することができる。
- レベル2(比較) 「平日と日曜日」「朝と夕方」など、条件を変えて比較し、違いをグラフにまとめることができる。
- レベル3(提案) 調査結果から「なぜそうなっているのか」を分析し、「こうすればもっと便利になる!」「こんなお店があれば人気が出る!」というオリジナルの活性化策を提案する。
具体的な調査事例
- 事例① 駅ナカのコンビニの品揃え 朝のラッシュ時は、急いでいる会社員が多いので「おにぎり」や「サンドイッチ」を一番目立つ場所にたくさん並べます。逆に夜は、疲れて帰る人のために「スイーツ」や「お酒」を目立たせます。これは時間帯ごとの人の流れを知っているからできる工夫です。
- 事例② 公園のベンチの向き お年寄りが多く集まる時間帯がある公園では、会話が弾むようにベンチを向かい合わせにしたり、逆に一人で休憩したい人が多いオフィス街の広場では、ベンチを離して設置したりします。これも「誰が利用しているか」の調査に基づいています。
研究を進めるうえで、以下のポイントに注目しよう!
- 仮説を立てよう 調査に行く前に「日曜日の昼間なら、きっと家族連れが多いはずだ」「平日の朝は、駅に向かう人が多いはずだ」と予想を立てましょう。予想通りだったか、予想外だったかを知ることが研究の面白さです。
- 属性(ぞくせい)に注目しよう ただ「人」を数えるだけでなく、どんな人かを分類しましょう。
- 大人か、子供か、お年寄りか?
- 男性か、女性か?
- 何をしているか?(歩いている、走っている、犬の散歩、スマホを見ている)
- 荷物は多いか、手ぶらか? これらを細かく見ることで、提案の内容がぐっと深くなります。
自由研究の進め方
- 場所と時間を決める
比較しやすい場所を選びます。(例:駅の東口と西口、または公園の入り口など)。調査する時間は「朝8時」「昼12時」「夕方17時」など、特徴が出そうな時間を選びます。 - 道具を準備する
- カウンター(スマホのアプリでもOK)
- 時計
- ノートと筆記用具(あらかじめ表を作っておくと便利です)
- 飲み物と帽子(熱中症対策)
- 調査開始!
通行の邪魔にならない安全な場所に立ち、10分〜15分間、通り過ぎる人を数えます。「男性・女性」「大人・子供」など、正の字(正)を書いて記録していきましょう。
- 平日と休日で比べる 同じ場所、同じ時間帯で、曜日を変えてもう一度調査します。これが一番面白い発見につながります。
- まとめる
結果を棒グラフや円グラフにします。地図の上に、人の流れを矢印の太さで表現するのもわかりやすい方法です。
自由研究から発見したアイデア
- 「空き時間活用」の提案
「平日の昼間は公園に人が少ない」→「お年寄り向けの青空健康体操教室を開いてはどうか?」 - 「キッチンカー」の提案
「夕方の駅前広場は、塾帰りの腹ペコな学生が多い」→「手軽に食べられるホットドッグやクレープのキッチンカーを呼べば売れるはず!」 - 「安全マップ」の提案
「夜のこの道は、人通りが少なくて暗い」→「街灯を増やしたり、明るい看板のお店を誘致したりして、安心して歩けるようにすべき。」
この自由研究に関連する仕事
- 都市計画家(アーバン・プランナー) 道路や公園、住宅地などをどう配置すれば、人々が快適に暮らせるかを計画する街づくりのリーダーです。
- マーケティング・リサーチャー 「どこにお店を出せば売れるか?」を考えるために、人の流れやデータを分析する分析のプロです。
- 店舗開発担当(てんぽかいはつたんとう) コンビニやレストランのチェーン店などで、新しいお店を出す場所を探し、契約する仕事です。
- 建築家(けんちくか) 建物を作るだけでなく、その建物を使う人がどう動くか(動線)を設計します。
まとめ
「人の流れ」を数えることは、街の健康診断をするようなものです。 普段は見過ごしてしまう景色の中に、街を元気にするヒントがたくさん隠されています。この自由研究を通して、あなたは単なる「街の住人」から、街の未来を考える「プロデューサー」への第一歩を踏み出すことになります。 さあ、カウンターとノートを持って、街へ出かけてみましょう。きっと、昨日までとは違う街の姿が見えてくるはずです。
関連書籍
身近な仕事について考えてみよう!
- 仕事のことを通じて学んだこと、楽しかったこと、難しかったことを書いてみましょう。
- テーマについての新しい発見や、自分が感じたことをまとめます。
- 今後、さらに調べてみたいことや、他の人に教えたいことがあれば、それも書いてみましょう。





