自由研究545|地域内の Wi-Fi 環境調査「カフェ・公共施設・住宅で電波強度をマッピングしてみよう」

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今回のテーマ

    「カフェ・公共施設・住宅で電波強度をマッピングしてみよう」

    この自由研究は、私たちの身の回りにあるWi-Fi(無線LAN)の電波を実際に測定し、その「強さ(電波強度)」や「速さ(通信速度)」を記録して地図上に示す「Wi-Fiマッピング」に挑戦するものです。カフェや公園、学校、自宅など、さまざまな場所で電波の状態を比較し、「快適なインターネット環境の条件」を科学的に探求します。

    自由研究の目的

    どうしてカフェ・公共施設・住宅で電波強度をマッピングしてみるの?

    現代社会では、スマートフォンやタブレット、ノートパソコンなど、インターネットにつながる機器が欠かせません。Wi-Fiはその接続を可能にする「空気中の道路」のようなものです。

    • 生活の質(QOL)向上 どこで仕事や勉強、動画視聴が快適にできるかを知ることは、私たちの生活の質を向上させます。
    • 災害時の活用 災害時に無料の公共Wi-Fiがどこまで届くかを知っておくことは、情報収集や安否確認に役立つ知識となります。
    • 通信の仕組みの理解 目に見えない電波が、壁や家具、距離によってどのように変化するかを観察することで、電波という科学的な現象と、情報通信技術(ICT)の基本を深く理解できます。

    自由研究のゴール

    この研究を通じて、以下のような力を身につけることが目標です

    • レベル1 自分の家の中や近所のカフェなど5箇所以上の場所でWi-Fiの電波強度(単位:dBm)と速度を測定し、記録をまとめる。
    • レベル2 地域の地図上に、測定した電波強度を色分けして「Wi-Fi環境マップ」を作成し、「建物や壁の影響」を考察する。
    • レベル3 測定結果から「この地域のWi-Fiの弱いところを改善するにはどうしたらいいか」という具体的な提案をレポートにまとめる。

    中学生が自分の住む地域のWi-Fi環境を調査した事例

          • カフェでの発見 隣の席との間にある高いパーテーション(仕切り)の近くでは、電波強度が急に弱くなることが判明しました。これは、電波がパーテーションに遮られているためだと考察しました。
          • 公共施設での発見 市役所の待合室では高速なWi-Fiが使えましたが、建物の外にある駐輪場まで行くと、まだ電波は届いていましたが、通信速度は非常に遅くなりました。これは、電波が届く「距離」と、実際に快適に使える「速度」は別であるという重要な事実を発見しました。
          • 自宅での発見 自分の部屋の隅々まで電波が届くように、Wi-Fiルーターの置き場所を窓際から部屋の中心に変えたところ、家全体の電波強度が改善しました。この結果から、電波は中心から放射状に広がるという性質を証明しました。

          研究を進めるうえで、以下のポイントに注目しよう!

          1. 統一された測定方法 測定に使うスマートフォンやアプリ、測定する時間帯、機器からの距離など、条件をすべて同じにすることが、正確な比較のために最も大切です。
          2. 電波強度(dBm)に注目 Wi-Fiの電波の強さは「dBm(デシベルミリワット)」という単位で表されます。この数値は、0に近いほど強い(例:$-40\text{ dBm}$は$-80\text{ dBm}$より強い)ことを覚えておきましょう。
          3. 図と色分けで視覚化 調査結果を地図の上にプロットし、電波強度に応じて「赤(強い)」「黄(普通)」「青(弱い)」のように色分けすることで、一目で地域の状況がわかる「ヒートマップ」を作成しましょう。

          自由研究の進め方

          1. 仮説を立てる
            あなたは、どこが一番Wi-Fiが強くて、どこが一番弱いと思いますか?
            「図書館は強いが、公園の隅は弱い」など、まずは予想を立ててみましょう。
          2. 測定ツールを選ぶ
            スマートフォン用の「Wi-Fi電波強度測定アプリ」や「通信速度テストサイト(Speed Test)」を準備します。
          3. 調査場所を決めて記録用紙を作る
            自宅の各部屋、学校、公園、カフェ、公共施設など、5〜10箇所の調査場所を選びます。記録用紙には、「場所」「測定距離」「電波強度(dBm)」「通信速度(Mbps)」「周りの障害物」の欄を設けましょう。
          4. 測定と記録
            各場所で、決めた時間と位置で測定し、丁寧に記録します。障害物(壁、窓、金属など)の有無を詳しくメモすることが、考察に役立ちます。
          5. 結果の整理と考察
            集めたデータをグラフ化し、特に予想と違った場所について深く考えます。
            なぜ、この場所は電波が弱かった(または強かった)のでしょう?
            「鉄筋コンクリートの壁のせい」「他の電波の干渉があったせい」など、原因を突き止めましょう。

          自由研究から発見したアイデア

          • 「地域安全マップ」との連携
            Wi-Fiが弱く、いざという時にスマートフォンが使いにくい場所を地図上で見つけ出し、地域の安全マップと連携させて「緊急時の連絡ポイント」を提案する。
          • 公共施設への提案
            市役所や図書館に対し、建物の構造を考慮した「Wi-Fiルーターの最適配置図」を提案する。例えば、「この部屋は電波が弱いので、ここに中継器を置くべき」といった具体的な改善策を提言する。
          • 「Wi-Fi充電スポット」のアイデア
            弱い電波を電力に変換して、スマートフォンを充電する新しい技術(ワイヤレス給電)を応用し、公園のベンチなどで無線充電できるアイデアを考える。

          この自由研究に関連する仕事

          • ネットワークエンジニア 会社や都市のWi-Fi環境や通信網を設計・構築する専門家です。電波の届き方や安定性をシミュレーションし、最適な通信環境を作り出します。
          • ITコンサルタント 企業に対し、「どの通信システムを使えば仕事が効率化するか」をアドバイスする仕事です。今回の研究のように、現状の通信環境を分析・評価する能力が求められます。
          • 空間情報科学者(GIS専門家) 地図情報(GIS)とデータを組み合わせて分析する専門家です。今回のWi-Fiマッピングのように、特定のデータを地図上に重ねて分析し、都市計画や環境問題を解決します。

          まとめ

          Wi-Fiの電波は目に見えませんが、今回の研究を通じて、その強さや動きが物理法則と建物の構造に大きく影響されていることがわかったはずです。

          この「地域内の Wi-Fi 環境調査」は、私たちにとって身近な技術を科学的に分析する力を養うだけでなく、情報化社会に生きる市民として、「より良い通信環境」を自ら考え、提案する力を育みます。デジタル時代における「快適さ」と「安全」を追求する、素晴らしい探求の旅を続けてください!

                 

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