自由研究543|スマホアプリの通知(頻度・文言)で利用率がどう変わるか実験

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今回のテーマ

    「スマホアプリの通知(頻度・文言)で利用率がどう変わるか実験してみよう」

    この研究テーマは、普段私たちが何気なく受け取っているスマホアプリの「通知」が、私たちの行動(アプリの利用)にどれだけ影響を与えるかを、科学的な実験を通して解明することです。通知の「回数(頻度)」や「メッセージの内容(文言)」を自分で変えてみて、アプリを使う回数や時間に変化があるかを調査します。これは、心理学とIT(情報技術)が交わる「行動経済学」や「ユーザーエクスペリエンス(UX)デザイン」の考え方を体験できる、とても身近で現代的なテーマです。

    自由研究の目的

    どうしてスマホアプリの通知(頻度・文言)で利用率がどう変わるか実験してみるの?

    私たちは毎日、膨大な情報に囲まれて生きています。スマホの通知は、その情報の一つであり、アプリを作る会社が、私たちにもっとアプリを使ってほしいと思って送っているメッセージです。

    しかし、通知が多すぎると「うるさいな」と感じてアプリ自体を開かなくなったり、逆に通知が絶妙なタイミングで来ると「ちょっと見てみようかな」とアプリを開いてしまうことがあります。

    この研究を通して、人間がどんな通知に反応し、どんな通知を無視するのかという、人の心の動きの法則を発見することができます。また、自分で実験を設計し、客観的にデータを分析する「科学的なものの見方」を身につけることができるため、将来、どんな分野に進むにしても必ず役立つ論理的な思考力が養われます。

    自由研究のゴール

    この研究を通じて、以下のような力を身につけることが目標です

    • レベル1 変化を記録し、グラフで比較する
      通知の頻度を「多い」「少ない」の2パターンに変え、どちらがアプリを開く回数が多いかを記録し、グラフでわかりやすく示します。
    • レベル2 文言の効果を分析する
      通知の文言を「事務的な内容(例:〇〇の更新があります)」と「行動を促す内容(例:今すぐチェック!新しい情報を見逃していますよ!)」の2パターンで比較し、文言の違いが利用率にどう影響するかを考察します。
    • レベル3 行動経済学の理論と結びつける
      自分の実験結果を、行動経済学で有名な「ナッジ(そっと後押しする)」の理論などと結びつけて考察します。例えば、「この通知は、人間が損を避けたいという心理(損失回避性)を利用しているのではないか?」といった高度な分析に挑戦します。

    ゲームアプリの限定イベント通知の効果例

          ゲームアプリでは、「残り時間〇〇分!」といった期間限定イベントの通知をよく使います。この通知は、ユーザーの「今すぐやらないと損をする!」という気持ちを刺激します。

          ある調査によると、通知が来てから5分以内にアプリを開いたユーザーは、通知が来てから30分後に開いたユーザーよりも、アプリ内での課金(お金を使うこと)をする確率が高かったという事例があります。これは、通知が単なる情報の伝達ではなく、行動や感情をコントロールする力を持っていることの証拠です。

          研究を進めるうえで、以下のポイントに注目しよう!

          1. コントロール(条件を揃える) 実験を始める前に、比較したい条件(通知の頻度や文言)以外はすべて同じにするよう努めることが大切です。例えば、実験するアプリは一つに絞り、実験する時間帯も毎日同じにします。
          2. 客観的なデータ 「アプリを開いた回数」や「アプリを使った時間」など、誰が見ても同じになる客観的な数字(データ)で効果を測ります。「なんとなくよく使うようになった」といった主観的な感想は避けましょう。
          3. 倫理的な配慮 家族や友人に協力してもらう場合は、必ず事前に実験内容と目的を説明し、同意を得てから実験を行いましょう。

          自由研究の進め方

          ステップ1 アプリと実験条件の設定

          •  毎日使っていて、設定で通知の頻度や文言を調整しやすいアプリ(ニュースアプリ、学習アプリなど)を選びます。
          • 比較する条件(仮説)を決める!
            • 例(頻度) Aパターン「1日1回の通知」 vs Bパターン「1日5回の通知」
            • 例(言)  Cパターン「新しい記事が届きました」 vs Dパターン「今日の重要ニュースを見逃しています!」
          • 「私は〇〇アプリの通知を、〇〇の文言に変えたら、利用率が〇〇%上がる(下がる)と予想します。なぜなら…」という仮説を立ててみましょう。

          ステップ2 実験とデータの記録

          • 実験する期間を決め、前半(例:7日間)でAパターンを試し、後半(例:7日間)でBパターンを試します。
          • 記録する項目 毎日、以下のデータを記録します。
            1. その日の通知の回数
            2. アプリを開いた回数
            3. アプリを使った合計時間(スマホの利用時間機能などを活用)

          ステップ3 データの分析とまとめ

          • 記録したデータをグラフにします(棒グラフや折れ線グラフ)。
          • AパターンとBパターンの結果を比較し、予想(仮説)が当たっていたか、外れていたかをまとめます。
            「なぜこの結果になったのだろう?」「通知はどんな心理を刺激したのだろう?」と、自分の行動や考えを振り返って、原因を考察してみましょう。

          自由研究から発見したアイデア

          通知の「温度」を調整する機能

          あなたの実験で、通知が多すぎると逆に使わなくなることがわかったとします。この発見から、こんな新しいアプリ機能を提案できます。
          「通知を完全にオフにするのではなく、ユーザーの気分や状況に合わせて通知の『熱意(温度)』を自動で調整する機能」を開発してみてはどうでしょうか?

          • 「HOT(熱い)」通知 ユーザーが暇そうな時間帯や、重要度の高い情報のみ、強い文言で通知。(利用率アップを狙う)
          • 「COOL(冷たい)」通知 ユーザーが忙しい時や、重要度の低い情報は、通知音なしの控えめな通知にする。(ストレスを減らす)

          このアイデアは、ユーザーの満足度を高めながら、アプリの利用率も維持できる、「ユーザーフレンドリーな通知システム」としてIT企業に提案できるかもしれません。

          この自由研究に関連する仕事

          • UX/UIデザイナー(ユーザーエクスペリエンス・ユーザーインターフェース) アプリやウェブサイトの使いやすさ(ユーザー体験)を設計する仕事です。この研究のように、「どうすればユーザーは心地よく、かつ目的を達成できるか」を常に考えます。
          • マーケティングリサーチャー(市場調査員) どのような商品やメッセージが人々の心に響き、行動につながるのかを調査・分析する仕事です。通知の文言を考えることは、広告のキャッチコピーを考えることと共通しています。
          • データサイエンティスト 大量のデータを分析し、そこから人々の行動パターンやビジネスの法則を発見する専門家です。あなたの実験データ分析の経験は、この仕事の基礎となります。

          まとめ

                スマホの通知は、私たちが日々触れている「小さな科学の実験場」です。

                通知がもたらす効果を自分で実験し、データを分析することで、アプリを開発する側の意図や、それに対する私たちの心の動きという「人間の真実」を見つけ出すことができます。

                この自由研究は、IT時代における私たちの行動や心理を深く理解する第一歩です。あなたも今日から、身近なアプリの通知をコントロールし、新しい行動の法則を発見してみませんか?

                 

                関連書籍

                身近な仕事について考えてみよう!

                • 仕事のことを通じて学んだこと、楽しかったこと、難しかったことを書いてみましょう。
                • テーマについての新しい発見や、自分が感じたことをまとめます。
                • 今後、さらに調べてみたいことや、他の人に教えたいことがあれば、それも書いてみましょう。

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