自由研究530|地元のある商品をブランド化した場合の価格許容度調査をしよう

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今回のテーマ

    「地元のある商品(例:地元野菜、工芸品など)をブランド化した場合の価格許容度調査をしてみよう」

    この自由研究のテーマは、あなたの地元にある特定の商品(地元野菜、伝統工芸品、地酒など)を選び、それをブランド化したと仮定した際に、消費者が「いくらまでなら買いたい」と考えているか、つまり価格許容度を調査・分析することです。

    地元商品の価値を高め、新しい市場を切り開くためには、商品の魅力だけでなく、「適切な価格設定」が非常に重要になります。この研究を通じて、市場の視点から地元商品を見つめ直し、ブランドと価格の関係を深く学びましょう。

    自由研究の目的

    どうして地元のある商品をブランド化した場合の価格許容度調査をしてみるの?

    私たちは普段、商品を買うとき、価格を見て「高い」「安い」「妥当」と判断しています。特に地元の特産品や工芸品は、手間や希少性がある分、一般的な商品よりも高価になりがちです。

    もし価格が高すぎれば、誰も買ってくれません。逆に安すぎれば、「安物」と見なされ、商品の品質や価値が正しく伝わらないだけでなく、生産者さんの利益が減ってしまいます。

    この研究では、ただ価格を尋ねるだけでなく、「もしその商品に魅力的なストーリーや特別感(ブランド)が加わったら、消費者はいくらまでならお金を出してくれるのか?」を探ります。これは、価格設定が商品の未来を決めるという、ビジネスの核心を学ぶことにつながる、非常に実践的なテーマです。

    自由研究のゴール

    この研究を通じて、以下のような力を身につけることが目標です

    地元商品を選定し、ブランド化のアイデアを盛り込んだうえで、最適な価格帯(適正価格)を明確にすること

    レベルアップのヒント

    1. 通常ゴール 家族や友達など、少数の身近な人にアンケートを取り、集計結果をグラフにする。
    2. レベルアップ・ゴール
      • PSM分析(価格感度メーター)などの専門的な価格調査手法を学び、調査票に組み込む。
      • 地元の人以外にもアンケートを実施し、「地元民」と「観光客・市外の人」で価格許容度に差があるかを分析する。
      • 地元の生産者や販売店に調査結果を見せて、意見をもらい、現実的な提案に繋げる。

    地元特産品Aみかんを研究対象にした例

    地元で採れる「Aみかん」を研究対象にすると仮定しましょう。現状、市場の標準価格が1kgあたり500円だとします。

    これをブランド化し、「山頂の石垣で育った奇跡のAみかん」として、限定感や栽培の難しさをアピールするとどうなるでしょうか。特別パッケージに入れ、生産者の顔写真とストーリーを添えることで、購入者は単なるみかんではなく「特別な体験」を買っていると感じるかもしれません。

    このとき、価格許容度調査では「通常のAみかんはいくらまでなら買えますか?」に加えて、「山頂の石垣で育った奇跡のAみかんはいくらまでなら買えますか?」と質問します。

    このように、ブランドストーリーを加える前後で、消費者の「買ってもいい」と思う価格(許容度)がどう変化するかを調べ、価格上昇の可能性を探るのが、この研究の鍵となります。

        研究を進めるうえで、以下のポイントに注目しよう!

        調査手法は「PSM分析」を参考に!

        専門的なマーケティング調査で使われるPSM分析(Price Sensitivity Meter:価格感度メーター)の考え方を取り入れましょう。これは、次の4つの価格を尋ねることで、消費者の心の中にある適正な価格帯を探る手法です。

        1. 高すぎて買えない価格(上限価格)
        2. 高いと感じ始める価格
        3. 安いと感じ始める価格
        4. 安すぎて品質が不安になる価格(下限価格)

        この4つの質問に対する回答をグラフにすることで、「理想的な価格帯」を見つけ出すことができます。

        ブランドコンセプトを明確に

        調査の前に、「もし、あなたの選んだ地元商品が、こんな特別な商品(ブランド)になったら?」という架空の設定を、写真や短い説明文でわかりやすく作っておくことが大切です。これが、調査の説得力につながります。

        自由研究の進め方

        ステップ1 テーマ商品の選定と情報収集

        まず、あなたの地元の特産品を一つ選びます。(例:地元産のお茶、特定の工芸品など)実際にスーパーや道の駅で売られている現状の価格を調査し、生産者やお店の人にインタビューをして「どうすればもっと価値が伝わるか?」という現状の課題や魅力を聞き出しましょう。

        ステップ2 架空の「ブランドコンセプト」を作成

        課題や魅力を元に、商品がさらに魅力的に見えるような「架空のブランド名」「キャッチコピー」「特別な価値」を設定します。(例:「〇〇職人が伝統技法で染め上げた、未来に残したい逸品」)。これをA4用紙1枚程度にまとめ、アンケート調査時に提示できるように準備します。

        ステップ3 価格許容度アンケートの実施

        PSM分析の4つの質問と、対象者の属性(年代、地元民か市外の人かなど)を尋ねる質問を盛り込んだアンケートを作成します。家族、学校の友人、地域のイベントなどで、30人以上を目標に協力をお願いしましょう。紙でも、Googleフォームなどの無料ツールを使ってもOKです。

        ステップ4 データ集計と分析

        集めた回答をまとめ、4つの質問の回答を集計します。PSM分析のグラフを作成し、「理想価格」「適正価格帯」を導き出します。そして、ブランド化前の現状価格と、ブランド化を想定した調査結果の適正価格を比較し、価格上昇の可能性があるかを考察します。

        自由研究から発見したアイデア

        • 適正価格に基づく新価格の提案 「調査の結果、ブランド化によって〇〇円~〇〇円の価格帯なら、品質を疑われることなく、より多くの人に受け入れられることがわかりました。この価格で特別ラインの商品を販売してみてはいかがでしょうか。」
        • ターゲット層に合わせた価格設定 「若い世代は〇〇円までを許容していますが、観光客はそれより高い価格でも購入意向があるため、地元向けと観光客向けの2つの価格帯・パッケージを提案します。」
        • ブランドストーリーの活かし方 「適正価格を維持しつつ、消費者が安すぎると品質を疑わないよう、アンケートで魅力を感じた「〇〇(ストーリー)」をパッケージに大きく記載し、付加価値を伝える工夫が必要です。」

        この自由研究に関連する仕事

            • マーケター(市場調査員) 消費者の行動や心理を分析し、最適な戦略を立てる仕事です。PSM分析などの専門知識が活かせます。
            • 商品企画・開発 調査結果から「売れる商品」の価格、パッケージ、キャッチコピーなどを決定する仕事です。
            • 地域おこし協力隊・行政 地元特産品のブランド化、販路開拓、地域経済の活性化計画の立案に関わる仕事です。
            • 起業家・フリーランス 自分の商品やサービスの適切な値付けを行い、事業の利益を最大化する能力として活かせます。

            まとめ

            この「地元商品のブランド化と価格許容度調査」は、身近な地元商品を通じてマーケティングと経済の基本を学ぶ、非常に実践的な研究テーマです。

            単に商品の価格を調べるだけでなく、「ブランドという価値」が人の購買意欲と許容価格にどう影響するかを、データに基づいて分析できます。あなたの研究が、地元商品の新しい価値を発見し、生産者さんの未来を支える貴重な提案につながるかもしれません。

            ぜひ、身近な商品をビジネスの視点から見つめ直し、売れる価格の秘密を解き明かしてください!

             

            関連書籍

            身近な仕事について考えてみよう!

            • 仕事のことを通じて学んだこと、楽しかったこと、難しかったことを書いてみましょう。
            • テーマについての新しい発見や、自分が感じたことをまとめます。
            • 今後、さらに調べてみたいことや、他の人に教えたいことがあれば、それも書いてみましょう。

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