自由研究529|「カフェや飲食店で席予約割引が売上に与える影響を模擬実験してみよう」

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今回のテーマ

    「カフェや飲食店で席予約割引が売上に与える影響を模擬実験してみよう」

    皆さんは、予約サイトでお店を探すとき、「夜8時以降の予約なら20%オフ」といった割引を見たことがありますか?この割引は、お店が「席が空いている時間」にお客さんを呼び込むための作戦です。

    この自由研究では、カフェやレストランのオーナーになったつもりで、「いつ」「どれくらいの割引」をすると、お店の売上(うりあげ)と利益(りえき)が一番増えるのかを、簡単なシミュレーション(模擬実験)で探究します。数字を使い、お店の経営を考えることで、「需要と供給(じゅようときょうきゅう)」という経済の基本を楽しく体験できます。

    自由研究の目的

    どうしてカフェや飲食店で席予約割引が売上に与える影響を模擬実験してみるの?

    お店の席は、飛行機の座席やホテルの部屋と同じで、使われないと「その時間の価値」が消えてしまいます。例えば、午後3時に空いていたカフェの席は、午後4時にはもう戻ってきません。

    この研究は、「時間を売る」ビジネスの難しさと面白さを知るために役立ちます。また、割引をすることで一時的に売上が増えても、お客様が「割引がないと行かない」と思ってしまうような長期的な問題にも気づくことができます。この実験を通して、皆さんは消費者としてだけでなく、お店の経営者としての目を持つことができるようになります。

    自由研究のゴール

    この研究を通じて、以下のような力を身につけることが目標です

    • レベル1
      「割引」でお客さんの数がどう変わるかを理解し、最も売上が増える割引率を見つけることです。
    • レベル2
      「割引した時間帯」の利益と、「定価(ていか)で売れた時間帯」の利益を比較し、トータルの利益が最大になる割引のタイミングを見つけることを目指します。
    • レベル3
      割引がお店のブランドイメージや客単価(きゃくたんか)に与える影響まで考察し、長期的な経営戦略を提案することです。

    「需要の変動(じゅようのへんどう)」の例

      • 事例1 アイドルタイム(空席時間)の割引
        ランチが終わった
        午後2時から5時は、お客様が少なくなりがちです。この時間に「予約するとデザートセットが半額」とすれば、空席を埋め、追加の売上を生み出せます。
      • 事例2 ピークタイムの後の割引
        夜の営業で、最も忙しい午後7時から8時を過ぎた午後9時以降に、「深夜割引」を設定することがあります。これは、ピーク時間に来られなかったお客様を誘導し、閉店まで席を有効活用するための方法です。

      このように、お店は「時間」と「価格」を組み合わせて、賢くビジネスをしています。

      研究を進めるうえで、以下のポイントに注目しよう!

      この研究を成功させるための重要なポイントは、「条件設定」「計算」です。

      1. お店の基本設定をする まずは、架空のカフェ「空庭カフェ」を設定します。席数(例:20席)、平均的な客単価(例:1,000円)、食材費などの原価率(例:30%)を決めます。
      2. お客様の行動を予測する 割引がない場合、ある時間帯に何人のお客様が来るか(例:午後3時は5人)を予測します。そして、「10%割引したら、お客さんは何人増えそうか?」という仮説(かせつ)を立てます。これがシミュレーションの鍵になります。
      3. 利益を計算する 最終的な成功は「売上」ではなく「利益」で判断します。売上から、割引額と食材の原価を引いて、残ったお金(利益)を計算しましょう。

      自由研究の進め方

      ステップ1 実験条件の設計

      1. お店の設定 「空庭カフェ」の客単価を1,000円、原価率を30%として、営業時間を決めます。
      2. 実験の時間帯設定 特に空席になりやすい「アイドルタイム(午後2時〜5時)」を実験対象にします。
      3. 基本の来店者数を予測 割引がない場合、この3時間で合計何人のお客様が来るかを、仮に10人と設定します。

      ステップ2 割引パターンの設定と仮説立て

      以下の3つの割引パターンを設定し、それぞれで「お客様が何人増えるか」を予想します。

      • パターンA(10%オフ) お客様の増加は+5人で、総お客様数は15人と予想します。
      • パターンB(20%オフ) お客様の増加は+10人で、総お客様数は20人と予想します。
      • パターンC(30%オフ) お客様の増加は+12人で、総お客様数は22人と予想します。

      ステップ3 売上と利益の計算

      各パターンで、以下の式を使って売上と利益を計算します。

      1. 総売上 = (客単価 × 割引後の率) × 総お客様数
      2. 総原価 = (客単価 × 原価率) × 総お客様数
      3. 利益 = 総売上 – 総原価

      ステップ4 結果の分析と結論

      計算結果を比較し、どの割引率が最も利益を増やしたかを考察します。

      「割引率を上げても、予想よりお客様が増えなかったのはなぜだと思いますか?」「お客様の増加数と利益の増加数のバランスが一番良いのはどのパターンでしたか?」

      自由研究から発見したアイデア

      この実験から、ただ割引をするだけではダメだと気づいたら、次に新しいアイデアを考えてみましょう。

      • 新しい割引方法の提案 「割引」の代わりに、アイドルタイム限定で「お店の看板メニューを無料で試食提供」したり、「特別メニューを開発して定価で提供」するなど、「割引以外の価値」でお客様を呼び込む方法を提案します。
      • 予約の仕組みの提案 雨の日やイベントがない日はお客様が減るので、「天気連動型の割引」や「地域イベントのチケット提示割引」など、状況に合わせて価格を変える仕組み(ダイナミック・プライシング)を考え、より賢く空席を埋める方法を提案しましょう。

      この自由研究に関連する仕事

          • 経営コンサルタント 企業やお店の売上や利益を増やすためのアドバイスをする仕事。実験のように数字を分析して、最適な戦略を提案します。
          • マーケター(マーケティング担当者) どんな商品やサービスを、誰に、いくらで提供するかを決める仕事。価格とお客様の気持ち(需要)の関係を読み解く力が重要です。
          • 飲食店オーナー・経営者 まさにこの実験の主人公です。日々の割引や価格設定を判断し、お店の未来を左右する意思決定を行います。
          • データサイエンティスト 大量のデータを分析し、未来の傾向を予測する仕事。この研究の「お客様の増加予測」も、より高度なデータ分析によって行われます。

          まとめ

          カフェの「席予約割引」という身近なテーマを探究することで、皆さんは経済の最も大切なルールの一つである「価格と需要の関係」を、遊びながら学ぶことができました。

          この自由研究で得られた「数字で考える力」と「多角的な視点」は、将来どんな職業を選んだとしても、必ず役に立つ最強の武器になります。ぜひ、架空の「空庭カフェ」を成功させ、小さな経済の天才を目指してください!

           

          関連書籍

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          • 仕事のことを通じて学んだこと、楽しかったこと、難しかったことを書いてみましょう。
          • テーマについての新しい発見や、自分が感じたことをまとめます。
          • 今後、さらに調べてみたいことや、他の人に教えたいことがあれば、それも書いてみましょう。

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