今回のテーマ
「エコな自販機をデザインしよう!エネルギーを無駄にしない方法を考える」
私たちの身の回りには、いつでも冷たい飲み物や温かい飲み物を買える自動販売機(自販機)がたくさんあります。とても便利ですが、24時間365日、電気を使い続けていることを知っていますか?この研究では、一台のお店ともいえる自販機がどれくらいのエネルギーを使っているのか、そして、そのエネルギーの無駄をなくすための工夫にはどんなものがあるのかを探求します。最終的には、君だけのオリジナル「エコな自販機」をデザインすることを目指す、未来につながる自由研究です。
自由研究の目的
自販機一台が一年間に排出するCO₂(二酸化炭素)は、杉の木が約20本分吸収する量に相当するとも言われています。日本中には数百万台もの自販機があるため、全体で考えると、地球温暖化に与える影響は小さくありません。 このテーマを学ぶことは、単に自販機の仕組みを知るだけではありません。私たちが毎日使う便利なものが、地球環境とどう繋がっているのかを理解し、エネルギーを大切に使うことの重要性を学ぶ絶好の機会です。そして、問題を「知る」だけでなく、どうすれば解決できるのかを考える「未来を作る力」を養うことにつながります。
自由研究のゴール
- レベル1 発見者になろう! 身の回りの自販機を観察し、どんな場所にあり、どんな特徴があるのかを発見する。
- レベル2 探求者になろう! 現在のエコな自販機には、どんな省エネ技術が使われているのかを調べる。
- レベル3 発明家になろう! 学んだ知識を活かして、今よりもっとすごい「未来のエコ自販機」のアイデアを考え、デザインする!
最終ゴールは、君が未来のプロダクトデザイナーやエンジニアになったつもりで、地球にやさしい、まったく新しい自販機を提案することです。
エネルギーを無駄にしないための技術事例
実は、今の自販機には、エネルギーを無駄にしないためのすごい技術がたくさん詰まっています。代表的なものを2つ紹介します。
- ヒートポンプ式自販機
これは、飲み物を冷やす時に出る「熱」を再利用する技術です。捨てていた熱を使って、温かい飲み物を温めるのです。一台の自販機の中で、エネルギーをリサイクルしているなんて驚きですよね。エアコンなどにも使われている賢い技術です。 - ピークカット(ピークシフト)自販機
多くの人が電気を使う昼間の時間帯(ピークタイム)に、冷却運転をストップする機能です。電気の消費が少ない夜の間に、商品をキンキンに冷やしておき、昼間はその冷たさを保つ魔法瓶のような構造になっています。これにより、社会全体の電力の負担を減らすことに貢献しています。
その他にも、照明をLEDにしたり、人がいない時は表示を消したりと、様々な工夫がされています。
研究を進めるうえで、以下のポイントに注目しよう!
この自由研究を成功させるためのポイントは「観察」と「想像」です。 まずは、家の周りや通学路にある自販機をじっくり観察してみましょう。「この自販機は日に当たっているな」「こっちは室内にあるから、電気の使い方が違うかも?」といった、ちょっとした気づきが重要です。 次に、集めた情報から「もっとこうしたらエコになるのに」というアイデアを自由に想像してみましょう。常識にとらわれない、君だけのユニークな発想が、この研究を面白くする鍵です。
自由研究の進め方
ステップ1 まちの自販機を調査しよう!
- 家の周りには何台の自販機があるか数えてみよう。
- 「自販機マップ」を作ってみよう。屋外か屋内か、日当たりの良い場所か日陰か、などを記録しよう。
- 自販機の見た目(新しそう、古そう)や、貼ってあるステッカー(省エネに関するものはないかな?)をチェックしよう。
ステップ2 エコ技術をリサーチしよう!
- 図書館やインターネットで、「ヒートポンプ」「ピークシフト」「省エネ自販機」などのキーワードで調べてみよう。
- 飲み物メーカーのウェブサイトには、環境への取り組みが紹介されていることが多いので、見てみよう。
ステップ3 問題点と改善案を考えよう!
- 調査とリサーチからわかったことを元に、「自販機のエネルギーの無駄はどこにあるか?」を考えてみよう。(例:誰もいない夜中もずっと明かりがついている、など)
- その問題点を解決するためのアイデアを出してみよう。
ステップ4 未来のエコ自販機をデザインしよう!
- ステップ3で考えたアイデアを元に、君だけの「エコ自販機」を絵や図でデザインしてみよう。
- どんな機能があるのか、なぜそれがエコにつながるのかを説明する文章も添えよう。
ステップ5 研究をまとめよう!
- 調査したこと、学んだこと、そして君がデザインしたエコ自販機について、模造紙やレポートにまとめよう。発表する時には、なぜこのデザインにしたのかを熱く語ろう!
自由研究から発見したアイデア
- 「お天気連動」自販機
翌日の天気予報と連動し、晴れて暑い日には冷却をパワーアップ、涼しい日には少し抑えるなど、無駄なく運転する。 - 「雨水ひんやり」自販機
自販機の屋根に降った雨水を集め、その気化熱(水が蒸発する時に周りの熱を奪う現象)を利用して、機械の周りを涼しくする。 - 「発電床」自販機
人が自販機の前に立つと、その重みで発電する「圧電素子」を床に設置。その小さなエネルギーを照明などに使う。 - 「ソーラーパネル帽子」自販機
日当たりの良い場所にある自販機の屋根に、帽子のようにソーラーパネルを乗せて、昼間の電気の一部を自給自足する。
この自由研究に関連する仕事
- プロダクトデザイナー
製品の見た目の美しさや使いやすさをデザインする仕事。エコな機能が、人々に一目で伝わるようなカッコいい自販機をデザインします。 - 機械設計エンジニア
製品が動くための内部の仕組みを設計する専門家。どうすればもっと効率的に、少ないエネルギーで飲み物を冷やしたり温めたりできるかを考え、図面を引きます。 - エネルギー管理士
工場やビルなどの施設全体で、エネルギーが無駄なく使われているかをチェックし、改善策を提案する仕事。社会全体の省エネをリードする専門家です。 - 環境コンサルタント
企業に対して、環境にやさしい活動をするためのアドバイスをする仕事。自販機だけでなく、様々な製品やサービスが地球に与える影響を考えます。
まとめ
普段何気なく使っている自動販売機も、少し視点を変えるだけで、エネルギー問題や最新技術、そして未来のデザインについて考えることができる、素晴らしい研究テーマになります。 「当たり前」を疑い、もっと良くするためのアイデアを考える。その探求心が、君を未来の発明家にする第一歩です。この夏、君だけの最高にクールでエコな自販機をデザインして、世界をあっと言わせてみませんか?
関連書籍
身近な仕事について考えてみよう!
- 仕事のことを通じて学んだこと、楽しかったこと、難しかったことを書いてみましょう。
- テーマについての新しい発見や、自分が感じたことをまとめます。
- 今後、さらに調べてみたいことや、他の人に教えたいことがあれば、それも書いてみましょう。