INDEX
多文化共生の社会を作ろう!外国の文化と共に暮らすアイデアを企画してみよう!
私たちの周りで、外国から来た人々を見かけることが増えていませんか?コンビニやレストラン、工事現場など、様々な場所で外国人労働者の方々が活躍しています。
厚生労働省の発表によると、2023年10月末時点で日本で働く外国人労働者数は約204万人にのぼり、過去最高を更新し続けています。これは、日本の少子高齢化による働き手不足を補うため、そして、グローバル化が進む中で、多くの外国人が日本で働くことを希望しているからです。
この自由研究では、「多文化共生(たぶんかきょうせい)」をテーマにします。多文化共生とは、国籍や民族などの異なる人々が、お互いの文化的な違いを認め合い、対等な関係を築こうとしながら、地域社会の構成員として共に生きていくことです。
外国人労働者の方々と私たちが、どうすればもっと気持ちよく、楽しく一緒に暮らしていけるのか。そのためのアイデアを探していく、未来につながる自由研究です。
- 私たちの未来に直結するから 少子高齢化が進む日本では、これからも外国人労働者の受け入れは増えていくと予想されています。将来、皆さんが大人になって働くとき、同僚や上司、お客さんが外国人であることは当たり前になるかもしれません。その時に、どうすればスムーズに協力し合えるかを知っておくことは、とても大切です。
- 社会をより豊かにするから 外国の文化に触れることは、新しい発見の連続です。これまで知らなかった料理、音楽、考え方などを知ることで、私たちの視野はぐっと広がります。多様な価値観が集まる社会は、新しいアイデアやイノベーションが生まれやすく、より活気のある豊かな社会につながります。
- SDGs(持続可能な開発目標)にもつながるから このテーマは、SDGsの目標10「人や国の不平等をなくそう」や、目標11「住み続けられるまちづくりを」にも深く関わっています。誰もが尊重され、安心して暮らせる社会を作ることは、世界共通の目標なのです。
自由研究のゴール
- 基本ゴール 調べて、知る!
- 日本や自分の住む地域に、どれくらいの外国人が住んでいるのかを調べる。
- 外国人労働者が増えている理由や、国がどのような受け入れ政策をとっているのかを理解する。
- 「多文化共生」のために、どのような課題(言葉の壁、文化の違いなど)があるのかを知る。
- レベルアップゴール 考えて、提案する!
- 調べた課題を解決するために、自分たちの地域で何ができるかを考える。
- 地域に住む外国人や日本人が、もっと仲良くなるための具体的なイベントや仕組みを企画する。
- 「多文化共生アイデアブック」として、自分なりの提案をレポートや新聞にまとめる。
多文化共生のためのユニークな取り組み例
すでに日本各地で、多文化共生のためのユニークな取り組みが行われています。いくつか事例を見てみましょう。
- 群馬県大泉町 ブラジル文化と共存する町 自動車工場などで働く日系ブラジル人が多く住む町です。ポルトガル語の看板が並び、ブラジル料理のレストランやスーパーもたくさんあります。町では、ごみの出し方などの行政情報を多言語で発信したり、「多文化共生コミュニティセンター」を設置して、国籍を問わず住民が交流できる場を提供したりしています。サンバカーニバルなど、ブラジルの文化を取り入れたお祭りは、多くの観光客で賑わいます。
- 静岡県浜松市 先進的な外国人支援 浜松市も多くの外国人が住む「外国人集住都市」として知られています。特に、外国人の子どもの教育支援に力を入れており、日本語教育や学校生活への適応をサポートする仕組み「浜松モデル」を構築し、不就学の子供をなくす努力を続けています。
- 「やさしい日本語」の取り組み 難しい言葉を簡単な言葉に言い換えたり、一文を短くしたりして、外国人に分かりやすく伝える「やさしい日本語」の活用が全国で広がっています。
- 例:「土足厳禁」→「くつを ぬいで ください」
- 例:「避難してください」→「にげてください」 災害時や市役所の窓口などで、命や暮らしを守るために重要な役割を果たしています。
研究を進めるうえで、以下のポイントに注目しよう!
- 「もし自分だったら?」と考えてみる もし自分が言葉の通じない外国で暮らすことになったら、何に困るでしょうか?どんなサポートがあったら嬉しいでしょうか?常に当事者の視点で考えることが、良いアイデアを生むヒントになります。
- いろいろな情報源を活用する インターネットや本で調べるだけでなく、市役所や町の国際交流協会などが出しているパンフレットや広報誌も見てみましょう。もしチャンスがあれば、地域に住む外国人にインタビューしたり、国際交流イベントに参加したりするのも、素晴らしい体験になります。
- 良い面と課題の両方を見る 外国人労働者が増えることのメリット(労働力確保、文化の多様化など)だけでなく、課題(文化摩擦、言葉の壁による誤解など)にも目を向けることが大切です。両方の側面を公平に見ることで、より深くテーマを理解できます。
自由研究の進め方
【ステップ1】調べる(情報収集)
マクロな視点
- 日本の外国人労働者数は、この10年でどう変わったか?(厚生労働省の統計グラフを調べる)
- どの国から来た人が多いのか?
- 国はどのような法律や制度(在留資格など)で受け入れを行っているか?
ミクロな視点
- 自分の住む市区町村には、何人の外国人が住んでいるか?(自治体のウェブサイトで調べる)
- 地域の国際交流協会などは、どのような活動をしているか?(日本語教室、交流イベントなど)
- 近所のスーパーやお店で、外国語の表示を見かけるか探してみよう。
【ステップ2】考える(分析・考察)
- なぜ、自分の地域には外国人が多い(または少ない)のだろうか?
- 言葉や文化、宗教の違いによって、どのような問題が起きそうか具体的に想像してみる。(例:ごみの分別ルールが分からない、騒音の感覚が違う、アレルギーや宗教上の理由で食べられないものがある)
- ステップ1で調べた地域の取り組みは、これらの問題を解決するのに役立っているだろうか?もっとできることはないだろうか?
【ステップ3】まとめる(提案)
- 調べたこと、考えたことを新聞や模造紙、レポートにまとめる。グラフや写真、イラストを入れると分かりやすくなります。
- 研究の最後に、「7. 新しいアイデアの提案」として、自分だけの「多文化共生プラン」を発表しよう!
自由研究から発見したアイデア
研究を踏まえて、君だけのオリジナルなアイデアを提案してみましょう。以下はヒントです。
- 『ワールド給食・弁当デー』の提案 学校の給食や家庭のお弁当で、月に一度、特定の国の料理を取り入れる日を作る。その国の文化や挨拶なども一緒に紹介し、食を通じて異文化理解を深める。
- 『やさしい日本語マップ』の作成 地域の地図に、「やさしい日本語」で公共施設(病院、駅、図書館など)の使い方や、災害時の避難場所を書き加えたマップを作る。QRコードを付けて、多言語の音声案内に飛ぶようにするのも面白い!
- 『特技交換プロジェクト』の企画 地域に住む外国人に、母国の料理やダンス、言葉を教えてもらう。お返しに、私たちは日本の遊び(折り紙、けん玉など)や習字を教える。お互いの「先生」になることで、対等な関係を築く。
- 『多文化防災訓練』の実施 地域の防災訓練に、外国人も参加しやすい工夫を取り入れる。ピクトグラム(絵文字)を使った案内や、「やさしい日本語」での呼びかけ、多言語での情報伝達訓練を行う。
この自由研究に関連する仕事
- 日本語教師 外国人に日本語や日本文化を教える専門家。
- 通訳・翻訳家 言葉の壁をなくし、コミュニケーションの橋渡しをする。
- 国際交流員(CIR) 自治体などで、地域の国際交流活動の企画・運営を行う。
- ソーシャルワーカー 福祉の視点から、生活に困っている外国人の相談にのり、支援する。
- NPO/NGO職員 民間の立場で、外国人支援や多文化共生の推進活動を行う。
- 企業の海外事業担当・人事担当者 海外の企業と取引をしたり、社内で働く外国籍社員をサポートしたりする。
自由研究のまとめ
この自由研究を通して、外国人労働者の受け入れが、単に働き手が足りないからという理由だけでなく、私たちの社会をより多様で、活気あるものに変える大きなチャンスであることが分かったと思います。
もちろん、言葉や文化の違いから生まれる課題もあります。しかし、それらを乗り越える鍵は、「相手を知ろうとすること」そして「もし自分だったら?」と想像力を働かせることにあります。
関連書籍
身近な仕事について考えてみよう!
- 仕事のことを通じて学んだこと、楽しかったこと、難しかったことを書いてみましょう。
- テーマについての新しい発見や、自分が感じたことをまとめます。
- 今後、さらに調べてみたいことや、他の人に教えたいことがあれば、それも書いてみましょう。