働く人が笑顔になれる会社を考えよう!
ブラック企業問題とは、労働者が過度な残業やパワーハラスメント、休日なしの長時間労働などによって心身に深刻な悪影響を受ける企業のことを指します。働く人が疲弊し、笑顔を失ってしまう現状を理解し、より良い職場づくりを考えることがテーマです。
- 働くことの大切さを知る 将来、自分や家族が働くうえで「何を大切にすべきか」を考えるきっかけになります。
- 社会問題への関心を深める 日本だけでなく世界各地でも似た問題が起きており、社会全体で働き方を見直す必要があることを理解できます。
- 自分の働き方や会社のあり方を考える もし周りに辛そうに働く人がいたら、どんな手助けや改善策ができるかを想像する力が養えます。
- 権利と義務を知る 労働基準法や労働者の権利、会社側の義務を知ることで、自分が大人になったときに正しく働くための土台ができます。
自由研究のゴール
- 情報収集・理解レベル
ブラック企業とは何か、どんな問題があるのかを調べて説明できるようになる。
- 分析・比較レベル
複数の事例を比べて、なぜその企業がブラックと言われるのか原因や背景を分析できる。
- 提案・発信レベル
ブラック企業を減らし、働く人が笑顔になる会社の特徴をまとめ、自分なりの改善アイデアを提案できる。
最終的には、調査結果をポスターやレポート、プレゼンテーション資料にまとめ、クラスや家族に発表できることを目指します。
ブラック企業問題の例
事例① 過度な長時間労働
ある中小企業では、上司から「毎日23時まで仕事をしろ」と指示があり、朝6時から始業して22時過ぎまで働く社員が多かった。休日も「たまには会社に来い」と言われ、休暇がほとんど取れない状態だった。
その結果、過労で体調を崩し、何人かが欠勤や退職に追い込まれた。
事例② パワーハラスメントが横行
大手広告代理店の支社では、上司が会議中に部下を大声で叱責し、ミスをしたら机を叩いたり暴言を吐いたりする環境があった。
部下の多くが精神的に追い詰められ、自殺未遂のニュースまで報道され、社会問題化した。
事例③ サービス残業と成果主義の悪用
ある営業会社では、毎月のノルマが非常に高く、達成できなければ翌月までノルマが積み上がる。
残業代を申請すると「苦労をわかっていない」と言われ、実際には支払われないサービス残業が常態化していた。
これらの事例から、ブラック企業のパターンとして「長時間労働」「上司からの圧力」「残業代未払い」などが代表的であることがわかります。
研究を進めるうえで、以下のポイントに注目しよう!
- 問題の背景を調べる
なぜブラック企業が生まれるのか、社会構造(労働市場の逼迫、企業の利益追求)や日本の労働文化(残業礼賛、上下関係重視)が影響している点を押さえましょう。
- 労働者の権利と法律を知る
労働基準法や労働契約法について調べ、働く上での最低限のルールや権利(休日、残業時間の上限、有給取得)を理解しましょう。
- データや統計を活用する
ブラック企業の数や、過労死や自殺者数、働き方改革などに関する統計データを集め、事実を数字で示せるようにします。
- 身近な声を集める
親戚や知り合いのお父さんお母さん、地域の会社員などにインタビューして、働き方の実態や会社の雰囲気について聞きましょう。
- 良い会社・悪い会社を比較する
例えば「A社は定時退社が徹底されている」「B社は有給申請しにくい」など、具体的な企業の特徴を比較することで、理想の職場像が見えてきます。
自由研究の進め方
- テーマ設定と仮説立て
「ブラック企業の特徴は?」「どうすれば働く人が笑顔になれるのか?」など、自分の知りたい疑問を明確にします。
- 文献・資料収集
図書館やインターネットで、ブラック企業問題に関する書籍・新聞記事・ウェブサイトを探し、資料を集めます。おすすめ資料例
労働基準監督署のレポート
厚生労働省発行の「過労死白書」
労働団体やNPOの調査報告
- アンケート・インタビュー調査
身近な大人や地域の働く人に、働き方や労働時間、有給取得状況についてアンケートやインタビューを実施します。
質問例
「1日の平均労働時間は何時間ですか?」
「残業はどのくらいしていますか?」
「会社で嫌な思いをしたことはありますか?」
- 事例分析と比較
収集したデータやインタビュー結果をもとに、ブラック企業に該当するポイントとホワイト企業のポイントを洗い出して比較。
図やグラフを使って、どのような条件が「働きやすさ」に影響しているのか可視化してみましょう。
- まとめと提案・発信
調査結果をもとに、「働く人が笑顔になる会社」の条件をまとめ、自分なりのアイデアを提案します。
最後にレポートやポスター、プレゼン資料を作り、学校や家族、友達に発表しましょう。
自由研究から発見したアイデア
- 「サンクスポイント制度」の導入
上司や同僚から「ありがとう」「よくやったね」と思ったことをカードで送り合う仕組みを作り、感謝の気持ちを見える化する。
社員同士のコミュニケーションが活性化し、仕事へのモチベーション向上につながる。
- 「フレックスタイム×コアタイムなし」の実験
会社全体で必須のコアタイム(例えば10:00~15:00)をなくし、社員一人ひとりが成果を出せる時間帯を自由に選べる仕組みを試す。
学校の部活動や家庭の事情を考慮しやすくなり、ワークライフバランスが改善される。
- 定期的な「メンタルヘルスチェック・スパ」
月に一度、会社内にリラックスルームを設置し、ストレス度チェックシートや簡単なリフレッシュヨガ、マッサージチェアを導入。
心理カウンセラーや産業医と連携し、必要な社員にはすぐ専門相談を受けられる体制を整える。
- 「子ども職場見学デー」の実施
社員の子どもを招いて一緒に働く様子を見学させるイベントを開催。
子どもが親の職場を知ることで、仕事への理解や関心が生まれ、将来のキャリア意識向上にもつながる。
この自由研究に関連する仕事
- 労働基準監督官
労働基準法に基づき、企業の労働環境や残業時間の適正を監督・指導し、労働者を守ります。
- 社会保険労務士(社労士)
企業の就業規則作成や労働契約、社会保険手続きの代行を行い、労使トラブルを未然に防ぎます。
- 人事・総務担当者
社員の採用から労務管理、福利厚生、研修制度の企画運営など、働きやすい職場づくりに向けた仕組みづくりを行います。
- 労働組合スタッフ
働く人の権利を守るため、労働条件改善の交渉や相談窓口業務を担い、労働者が声を上げやすい環境づくりを支援します。
- 産業カウンセラー・臨床心理士
職場のストレスや人間関係の悩みに対してカウンセリングを行い、社員のメンタルヘルスをサポートします。
- 経営コンサルタント(働き方改革専門)
企業の働き方改革を支援し、ブラック企業脱却に向けた組織風土改革や制度設計を提案・実行します。
自由研究のまとめ
ブラック企業問題を調べることは、仕事の本質や働く人の権利、会社の在り方について深く考えるきっかけになります。まずは文献やインタビューを通じて、なぜ過労やパワハラが起きるのか、その背景にある社会構造や企業文化を分析しましょう。次に、良い会社と悪い会社を比較し、「働きやすい環境とは何か?」を数値やエピソードで可視化します。そして最後に、自分なりのアイデアを提案し、発表することで、クラスや家族とも働き方を考える対話が生まれます。この自由研究を通じて、将来の社会に貢献できる視点を得るとともに、「働く人が笑顔になれる会社」をみんなで考えるきっかけを作ってみましょう。
参考リンク
- 厚生労働省「児童虐待の現状について」
- 全国児童相談所長会「児童相談所の仕組み」
- 児童虐待防止全国ネットワーク「子どもの虐待防止に向けて」
関連書籍
身近な仕事について考えてみよう!
- 仕事のことを通じて学んだこと、楽しかったこと、難しかったことを書いてみましょう。
- テーマについての新しい発見や、自分が感じたことをまとめます。
- 今後、さらに調べてみたいことや、他の人に教えたいことがあれば、それも書いてみましょう。