ブランド研究|半導体|Samsung Electronics co., ltd.|韓国スウォン市ブランド

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ブランド研究|半導体|Samsung Electronics co., ltd.

サムスン(Samsung Electronics)の半導体事業は、垂直統合型のビジネスモデルが特徴です。このモデルでは、設計、製造、テスト、組立、販売までの全工程を自社で一貫して行います。これにより、コスト削減や製品開発のスピード向上が可能となり、競合他社に対する優位性を確保しています。特に、メモリ分野(DRAMやNANDフラッシュ)では高いシェアを持ち、最先端のプロセス技術を導入することで、性能とコストのバランスを最適化しています。競合のTSMCやIntelは、それぞれファウンドリ特化型やハイブリッド型のモデルを採用しており、Samsungは垂直統合による柔軟性と供給能力の強化を武器に、差別化を図っています。

 

企業情報

会社名 Samsung Electronics co., ltd.
創業年 1969年
従業員数 270,372名(2022年)
本社所在地 韓国スウォン市
製造拠点 世界8箇所(韓国4, アメリカ1, 中国3)
主力商品 Galaxyスマートフォン、メモリ(DRAMやNANDフラッシュ)、Samsung、Galaxy
商品ラインナップ DX(家電、スマホ、PC)、DS(メモリ、システムLSI、ファウンドリ)、SDC(OLED)、Harman(オーディオ機器)

企業成績2023年

売上高 258.9兆韓国ウォン≒1900億ドル
営業利益 6.6兆韓国ウォン≒48億ドル
営業利益率 2.5%

マーケティング基本情報

サムスンは半導体企業売上高3位(2023年)で、市場カテゴリはIntel同様に、半導体市場(垂直統合型:IDM)になります。この市場は、国際的なデジタル化に伴い近年需要が急拡大した市場で、各国国家主導の設備投資が行われており、今後もAI、自動車需要を筆頭に持続的な成長が予測されています。垂直統合型企業によって半導体産業は成長しましたが、近年は水平分業型の技術開発スピードに後れを取っているのが現状です。

主要顧客は、スマホ、家電 、通信業界に関連した企業でApple、Best Buy、Deutsche Telekom、Qualcomm、Verizonなどで総売上の約 15%を占めています

また、主要な競合会社は、Intel、TSMC、Micron、SK Hynix、Western DigitalQualcomm等、Nanya、KIOXIA等です。

代替品として脅威となっているのは、ファブレスや技術力の高いファウンドリなどが挙げられます。

半導体:企業間取引(直販、代理店)
民生機器:オンラインショップ
家電量販店やキャリアショップ等の店頭販売

ターゲット顧客

半導体市場カテゴリにおける戦略ターゲットは、「半導体を使用する製品を製造する企業、ファブレス半導体企業」になります。カテゴリの戦略ターゲットの主要インサイトは、「他社より優位な商品を作り売上につなげたい、設計開発に注力したい。」というものです。

ターゲットのニーズは、「QCDSに優れた半導体企業の製品、安定感のある企業との取引」などが挙げられそうです。

顧客の課題の主な課題としては、「大量発注している大企業にアロケーション権を取られてしまう、開発・量産を低コストに抑えたい※アロケーション=生産が追い付かない時の顧客ごとの在庫割り当て。」というところ。

そのような課題に対して、「早く・安く・安定的な製品供給、アジア顧客の地理的利便性」を提供しています。

Samsungの優先ターゲットの一つ目は、「スマホメーカー」で、優先ターゲットの2つ目は、「家電メーカー」と定義して、優先ターゲットの詳細について考えてみます。

出典元

https://diamond.jp/articles/-/319082
https://www.jeita.or.jp/japanese/stat/wsts/index.html
https://stockmark.co.jp/coevo/semiconductor-2023
https://semicon.jfe-shoji-ele.co.jp/articles/transition-of-semicon-industry
https://www.soumu.go.jp/johotsusintokei/whitepaper/ja/r06/html/nd215400.html
https://www.semiconductor-industry.com/semiconductor_market2024spring/
https://mobyinfo.com/intelligence/us-tightens-semiconductor-export-to-china/
https://news.yahoo.co.jp/articles/445f26d178d6a1126a1e71fb07808a90966ad0a8
https://gazlog.jp/entry/samsung-gen2-3nm-low-yield/
https://xenospectrum.com/intel-18a-process-yield-less-than-10-faces-difficulty-in-mass-production/

半導体の「顧客」とは?

Samsungのターゲットの詳細を定義してみます。

スマホメーカー購買担当者

このターゲットを「20~50代男女、アメリカor中国人、大企業勤務、几帳面」という特徴で定義してみます。
このような特徴を持つターゲットのニーズは「安価製品、安定的な製品供給能力…」などのキーワードが挙げられます。また、インサイトとして「コストダウンの成果を出すプレッシャー、生産を途切れさせない安定供給」といったところ。

スマホメーカー設計者

優先ターゲットが上記の場合に、特徴を「20~50代男性、アメリカor中国人、大企業勤務、粘り強い性格」と定義してみます。彼らのニーズは、「微細製品、安価製品」などになります。人脈の多い彼らは付き合いで購入することもありますが、主要なインサイトは、「スマホの小型薄型化に対応できる微細部品、競合に対抗できる「安さ」、楽に設計したい」といったところです。

Samsung社内スマホ設計者

優先ターゲットを上記とした場合に、特徴を「20~50代男性、韓国人、Samsung勤務、粘り強い性格」と定義してみます。彼らのニーズは、「微細製品、安価製品、仕様をよく知り調達しやすい社内品」などになります。主要なインサイトは、「スマホの小型薄型化に対応できる微細部品、競合に対抗できる「安さ」、楽に設計したい、開発時にサンプルを早く安く入手したい」といったところです。

Samsung社内スマホ製造者

優先ターゲットを上記とした場合に、特徴を「20~50代男性、韓国人、Samsung勤務、真面目」と定義してみます。彼らのニーズは、「高品質品、社内品、早急な不具合解析」などになります。主要なインサイトは、「部品数を最小化し、製造プログラムの書き換えを最小限にしたい、部品要因による製造ミスを起こしたくない、ミスが起こった場合は早急に解決したい」といったところです。

家電メーカー購買担当者

優先ターゲットを家電メーカー購買担当者とした場合に、特徴を「20~50代男女、中国orアメリカorヨーロッパ人、大企業勤務、几帳面」と定義してみます。彼らのニーズは、「安価製品、安定的な製品供給能力」などになります。主要なインサイトは、「コストダウンの成果を出すプレッシャー、生産を途切れさせない安定供給」といったところです。

マーケティング計画基礎概要

Samsungは、「アジアを中心としアメリカ、ヨーロッパに製造販売拠点を置く」ことが商品流通計画の軸となっているようです。

消費者の購買決定要素(意思決定要素)の軸は、「品質、価格、性能、納期」であり、ブランドキーワードは「短納期、安さ、韓国トップ企業」になりそうです。顧客とは、社内外のさまざまなイベントでコミュニケーションをしています。競合差別化要素(POD)は、「世界トップシェアのスマホメーカーとしての信頼感、納期対応力、価格競争力」となりそうです。

プロモーション手法としては、

・テレビCM
・SNS広告
・世界中大都市での看板広告
・店頭販売
・韓流ドラマのスポンサーになりドラマ内に製品登場

などが挙げられるでしょう。

潜在層への認知獲得手法としては「TV広告、SNS広告、世界中大都市での看板広告、店頭販売、韓流ドラマのスポンサーになりドラマ内に製品登場」などで認知を獲得します。

スマホメーカーとしてAppleと並ぶ高い認知度、韓国トップ企業という信頼性、半導体事業の赤字などが顧客がとらえる主要なブランドエクイティとなっているようです。

定量施策 顧客/市場からの需要を高めるためにマーケティング活動を強化する
リビングプラザ等の直営店をマーケティング・チャネル政策の中心に据える
定性施策 ・プレミアム製品をベースに市場リーダーシップを拡大
・ブランド、製品、サービスを通じて顧客に差別化された価値を提供
・アフターサービス戦略によるブランド信頼強化

プロダクトについて

半導体製造装置として、ASML、Applied Materials、SEMES、JET、WonicIPS、KCtechなどが挙げられます。

主力製品はメモリですが、商品・サービスの主な機能は、5nm量産、3nm開発、主力製品:メモリ、システムLSIなど。

※Samsungの強みであるメモリとは、スマホやパソコンなどに使われるデータを保存する部品のことです。特に「DRAM」と「NANDフラッシュ」という2種類が重要です。DRAMは動作中のデータを一時的に保存する高速なメモリ、NANDフラッシュはデータを長期間保存するメモリです。Samsungはこれらを大量生産する技術力があり、世界トップのシェアを誇っています。高性能で省エネの製品を作ることで、デジタル機器の進化を支えています。

最新半導体製品の能力指標 多い方が高機能。能力指標についての詳細は下記参照。
・https://note.com/gotoutarou/n/ne41423a19886(CPU)
・https://8vivid.net/cpu-5-specs/(CPU)
・https://pcsyosinsya.com/MEMORY.htm(メモリ)
・https://dosparaplus.com/library/details/001027.html(GPU)
最新24年Q2量産開始のDRAM(メモリ) LPDDR5X「K3KLALA0DM-MUCU」
・密度:128GB
・データ転送速度:8533Mbps
・希望小売価格:-

Samsungが見据えている未来

公式にはIntelのMissionとして「人材と技術をもとに、最高の製品とサービスを創り出し、人類社会に貢献する。」、Visionは「人材第一、最高志向、変化先導、正直経営、相生追求」
Samsungの5大経営原則は、

1. 法と倫理を遵守する
2. 健全な組織文化を維持する
3. 顧客・株主・社員を尊重する
4. 環境·安全·健康を重視する
5. グローバル企業の社員として社会的責任を果たす

地域別の戦略と戦術について

地域別売上高構成比分析

韓国の売上高構成比が18%、アメリカ36%、ヨーロッパ19%、中国11%、その他アジア・アフリカ17%(2023.12.31時点)であり、スマホやPCの主要な製造拠点が集まるアジアが最大市場である。アメリカではハイエンドサーバーやAI関連の用途に対する需要が増加しており、ヨーロッパの需給は比較的少ないものの、自動車産業向けの需要が増加傾向である。

アジア市場

戦略 アジア市場でのリーダーシップのさらなる強化を目指す。
戦術 韓国を中心としファブが拡大中で、韓国・平沢では約3兆2500億円投資し、新工場を増設した。2030年まで韓国・器興(キフン)に次世代半導体R&D団地に約2.3兆円を投資予定。

北米(カナダ・アメリカ)市場

戦略 地政学的リスクを避けるため現在アジアに偏っている最先端半導体の生産をアメリカに分散させることや、米国のサプライチェーンにおける半導体の供給源を確保すること、米国の技術的独立を強化することを目指す。
戦術 400億ドル規模の投資となるテキサス州でのファブを建設中。(うち64億ドルはCHIPS法に基づく資金提供)同工場で2026年までに最先端の2nmチップの製造を開始する予定。

ヨーロッパ市場

戦略 持続可能な技術と環境負荷低減を実現するサプライチェーンを重視している。
戦術 現地のパートナーや政府と連携して、環境に配慮した生産を推進している。特に、廃水リサイクルやカーボンニュートラルを実現するための取り組みが進められている。

TAM (Total Addressable Market)

世界の半導体市場(2023年出荷額):5,448億ドル

競合比較

市場と市場への適応について

国際的なデジタル化、特にAIやIoT、5G等の技術革新がけん引し半導体業界の市場規模は近年増加を続けている。2023年は2019年以来4年ぶりのマイナス成長となったものの、2024年以降再び成長が見込まれている。Intel、Samsung、TSMC等の大手企業が技術革新と生産能力拡大に注力しており、各社が最小プロセスノードの製造を競う。各国国家主導での設備投資が行われており、大手企業は地政学的リスクを分散させるために全世界に工場を建設している。一方、ファブレス企業は設計開発、販売に注力することで垂直統合型企業より市場の変化に素早く対応できるメリットがある。また、2024年12月、アメリカによる中国向けの半導体輸出規制が強化され、対抗措置とみられる中国によるアメリカへのレアメタルの輸出禁止措置が発表された。トランプ次期大統領の追加関税発言もあり、今後米中貿易摩擦が激化する可能性がある。

差別化戦略

IntelはCPU市場の約8割の高シェアを維持しているもののコスパの良いAMD品に少しずつシェアを奪われている。また、サーバー向け演算処理装置にはCPUよりデータ処理が高速なGPUやFPGAに代替されており、売上高は減少傾向にある。2021年に立ち上げたファウンドリ事業に注力しており、最先端プロセス“以外”の半導体製造で安定的な収益を狙う。AI時代を支える超高度なプロセッサを作り上げるには、新旧さまざまなプロセスノードで製造されたチップを、1つのパッケージとして集約し、まとめ上げる技術が必要となり、垂直統合型企業の強みを活かせると見立てている。ただ、2024年時点では巨額の赤字を出している。Samsungはメモリ(DRAM、NANDフラッシュメモリ)メーカーとして売上首位を保っており好調である一方、ファウンドリ事業で巨額赤字が続いている。いずれの会社も最小プロセスノード製造の歩留まりの悪さで不信感を持たれており、顧客を逃がし続けている。ファブレス企業に対しては開発スピードで後れを取り、ファウンドリ企業に対しては歩留まりで後れを取っている状況。

ブランドの信頼と歴史

Intel、Samsungともに1960年代からある企業であり、長年の歴史と知名度を持つ。Intelは特にPC向けCPUの印象が強い。SamsungはGalaxyスマホや家電の知名度が高く、半導体事業は比較的認知度が低い。

立地戦略

Intelはアメリカを中心に、Samsungはアジアを中心に全世界に製造・販売拠点を持つ。地政学的リスクを考慮しアメリカ、ヨーロッパ、アジアの3極に製造拠点を分散できている。

出典元: https://news.samsung.com/jp/fast-factshttps://www.samsung.com/global/ir/financial-information/financial-valuation-snapshot/https://semicon.jfe-shoji-ele.co.jp/articles/strategyofsemiconhttps://catalog.lib.kyushu-u.ac.jp/opac_download_md/7170255/21_p001.pdfhttps://positen.jp/26https://www.google.com/url?sa=t&source=web&rct=j&opi=89978449&url=https://senshu-u.repo.nii.ac.jp/record/3351/files/3051_0444_02.pdf&ved=2ahUKEwi3jbmP-smIAxVHia8BHfvQOH4QFnoECBQQAQ&usg=AOvVaw0k_PpihMGdDyv0TGRLEZ9ghttps://images.samsung.com/is/content/samsung/assets/global/ir/docs/2023_con_quarter04_all.pdfhttps://semiconductor.samsung.com/news-events/news/emphasizing-the-critical-role-that-technology-and-collaboration-plays-to-building-a-sustainable-supply-chain/https://eetimes.itmedia.co.jp/ee/articles/2405/16/news081.htmlhttps://www.chosunonline.com/site/data/html_dir/2024/09/28/2024092880007.htmlhttps://xtech.nikkei.com/atcl/nxt/column/18/01231/00105/https://reinforz.co.jp/bizmedia/7962/

調査方法

インターネット調査

その他出典元

Salesforce 会社概要
Wikipedia(セールスフォース)
Salesforceに関する12の豆知識
株式会社セールスフォース・ジャパン 第24期決算
Salesforce’s New Marketing Campaign
HubSpot 会社概要
Wikipedia(HubSpot)
PR TIMES (HubSpot Japan株式会社)
バフェット・コード(HubSpot)
HubSpotとSalesforceの違いとは?
サイボウズ株式会社(企業概要)
バフェット・コード(サイボウズ)
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