世界の教育|英語とフランス語で授業?街中がスタジアム?ルイジアナ州バトンルージュの教育に見る熱狂と伝統の融合

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教育制度の特徴

アメリカの教育制度は「K-12(ケイトゥートゥエルブ)」と呼ばれ、幼稚園(Kindergarten)から高校3年生(12th Grade)までの13年間が義務教育の基本です。バトンルージュもこのシステムですが、ルイジアナ州ならではの特徴として、「Parish(パリッシュ)」という行政区分単位で学校区が管理されています(他州の「郡」にあたります)。

公立学校(パブリックスクール)のほかに、キリスト教系の私立学校に通う子供が多いのも南部地域の特徴です。また、「マグネットスクール」と呼ばれる、理数系や芸術、外国語など特定の分野に特化した公立学校があり、居住地域に関係なく、抽選や試験で入学できる制度が人気を集めています。

教育方法

バトンルージュの教育方法で最もユニークなのは、「フレンチ・イマージョン・プログラム」です。 ルイジアナ州はフランスの植民地だった歴史があるため、公立学校の中に、授業の大部分をフランス語で行う特別クラスが設けられていることがあります。英語とフランス語のバイリンガルを育てるこの教育法は、地域の伝統を守る大切な取り組みです。

また、授業スタイルは「ディスカッション(討論)」が中心です。先生の話をただ聞くのではなく、「なぜそう思うのか?」を自分の言葉で発表することが求められます。小学生のうちからChromebook(ノートパソコン)が一人一台配布され、宿題の提出や連絡もすべてデジタルで行われるのが一般的です。

教育への取り組みや支援

子供たちの才能を伸ばすために、STEM教育(科学・技術・工学・数学)やスポーツへの支援が非常に手厚いのが特徴です。 特にバトンルージュには、全米でも有名なルイジアナ州立大学(LSU)があります。大学の研究施設を見学するプログラムや、大学生が地域の子供たちに勉強を教えるボランティア活動など、大学と地域社会が連携して子供たちを支援しています。

また、経済的に恵まれない家庭の子供たちのために、学校での朝食や昼食を無料で提供する「ランチプログラム」が充実しており、栄養面から子供たちの学習を支えています。

    子供達の1日の過ごし方

      バトンルージュの子供たちの朝は早いです。始業時間は朝7時30分頃の学校が多く、黄色いスクールバスや親の車で登校します。 授業は午後2時半〜3時頃には終わります。

      放課後の過ごし方は季節によって変わりますが、スポーツが非常に盛んです。特にアメリカンフットボールやバスケットボールのシーズンになると、学校全体がお祭り騒ぎのように盛り上がります。スポーツに参加しない子供たちは、地域の図書館のプログラムに参加したり、教会(チャーチ)のコミュニティ活動に参加したりして過ごします。

            教育と社会の関係

            この地域では「教育」と「地域コミュニティ」の結びつきが非常に強いです。 特に金曜日の夜に行われる高校のアメリカンフットボールの試合は、単なる部活動の枠を超え、街中の大人が応援に駆けつける一大イベントです。学校は勉強する場所であると同時に、地域住民が集まり、交流する社交場としての役割も果たしています。

            また、多様な人種が暮らす街であるため、学校行事として「マルチカルチャー・デイ(多文化の日)」が設けられ、互いの国の料理やダンスを紹介し合い、多様性を尊重する心を社会全体で育んでいます。

            国が抱える教育の課題と未来

                魅力的な一面がある一方で、課題もあります。 一つは「教育格差」です。裕福な家庭が多く通う私立学校や一部のマグネットスクールと、予算不足に悩む地域の公立学校との間で、学力や設備の差が広がっていることが問題視されています。

                もう一つは「自然災害への対応」です。ハリケーンの通り道になることが多いバトンルージュでは、災害で学校が長期休校になることがあります。そのため、どんな時でも学びを止めないよう、オンライン授業の環境整備や、災害に強い学校づくりが未来に向けて進められています。

                教育と文化や価値観の関係

                「自分のルーツを愛する心」とフレンチ・イマージョン

                学校でフランス語や地域の歴史(クレオールやケイジャン文化)を学ぶ「フレンチ・イマージョン」や地域学習。これにより、人々は「自分たちは他のアメリカ人とは少し違う」という誇り(アイデンティティ)を強く持っています。 これが、地元の食材を使った料理(ガンボやジャンバラヤ)への愛着や、伝統的な音楽フェスティバルを盛大に祝う「郷土愛」に直結しています。「古き良きものを恥じずに守り抜く」という保守的かつ温かい価値観は、学校教育での歴史尊重から育まれています。

                「議論と寛容」が生む、多様な文化の融合(ガンボ・メンタリティ)

                人種が多様なクラスルームでのディスカッション中心の授業や、多文化を祝う学校行事。異なる意見を持つ相手とも対話し、共存する姿勢が養われます。これはルイジアナ州の文化そのものが「ガンボ(ごった煮料理)」と表現されるように、フランス、スペイン、アフリカ、カリブなど多様な文化が混ざり合って新しいものを生み出すことを「良し」とする寛容な社会性につながっています。 街中で見られるオープンで人懐っこいコミュニケーション(知らない人ともすぐ話す)は、教室での活発な対話の延長線上にあります。

                「チームへの忠誠心」とスポーツ教育

                高校や大学(LSU)のスポーツチームを地域全体で熱狂的に応援する環境。学校がコミュニティの中心であること。これが、南部特有の「コミュニティへの強い帰属意識」と「サザン・ホスピタリティ(南部のおもてなし)」を形成しています。 「同じチーム(地域)の一員なら、家族のように助け合う」という価値観が根付いており、例えばハリケーンなどの災害時には、行政の指示を待つ前に、近隣住民同士がボートを出して助け合う「民間レスキュー(ケイジャン・ネイビー)」のような自発的な助け合いの精神につながっています。

                まとめ

                アメリカ・バトンルージュの教育を見てみると、フランス文化の影響を受けた独自のプログラムや、地域全体で子供を育てる温かさがあることがわかります。しかし同時に、格差や災害といった難しい問題にも直面しています。

                「もし自分がバトンルージュの学校に通っていたら、どんな放課後を過ごしているだろう?」 「日本の学校の良いところと、アメリカの学校の良いところを組み合わせたら、どんな学校ができるだろう?」

                遠い国の教室を想像することは、今の自分たちの学校生活を見つめ直す良いきっかけになります。ぜひ、他の国の学校についても調べてみてください。

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