CASE7-4 顧客インサイト

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顧客インサイトとは?

インサイトとは、「生活者が今まで気づいていなかった事実。」、あるいは「今まで無自覚(無意識)に感じていたが、改めて言われることで発見する事実。」のことです。生活者の本質的ニーズや本能的な欲求に基づく心理で、生活者の無自覚で無意識的な行動や購買を支配しているのがインサイトです。企業やブランドは顧客のインサイトを発掘し、RTB(Reason To Believe)を定義して気づきを訴求することが、生活者が顧客に変化するアクションそのものとなります。生活者が言葉にできない心理、本当に求めているものや本当に求めている価値を言葉にすることで表現される「共通認識」が生活者とのコミュニケーションを加速し、ブランド・エクイティに貢献します。

顧客インサイトの発掘方法

生活者の言葉にできない心理を含めて生活者を理解することで、生活者が本当に求めているもの、本当に求めている価値が何か見えてきます。ブランドの質的成長や自社ブランドに対する好意度を高めるためには生活者のニーズが何かを把握することが出発点です。生活者のニーズからインサイトが特定できれば自社ブランドが提供すべきベネフィットや製品機能がより明確になります。

1. 連想語式質問法(自由連想法)

顧客インサイトを発掘するために、あるブランド名や特定の市場カテゴリを聞いてどんな言葉を思い浮かべるかを生活者に問います。生活者がブランドや市場カテゴリからどのようなイメージを連想しうるか、またその連想範囲を明確にする作業です。例えば、「リフレネクスト横浜」と聞いて思い浮かぶ言葉や「リフォーム」と聞いて思い浮かぶ言葉を答えてもらうことで、生活者がどのようなイメージや感情を持っているかを把握できます。

  • 質問例:「リフレネクスト横浜というブランド名を聞いて、どんな言葉を思い浮かべますか?」
  • 回答例:「安心感」「信頼」「革新」「モダン」

2. 投影技法

顧客インサイトを発掘するために、生活者に不完全な問題を提示してそれを完成してもらったり、それだけでは意味がわからない曖昧な問題を提示して意味の通る内容を完成してもらうアプローチで生活者の潜在的な意識や価値観が明らかになります。InstagramやXなどでも利用することができ、SNSでの活用ではユーザーエンゲージメントを高める効果もあります。

  • 質問例:「新しい住まいを探しているときに、どのような体験が理想的ですか?」
  • 回答例:「プロフェッショナルなアドバイスがあり、私のライフスタイルに合った提案をしてくれる。」

3. 視覚化

顧客インサイトを発掘するために、生活者に自分自身の考えや感じたことを雑誌の写真や絵を切り貼りしたコラージュなどで表現してもらいます。なかなか原始的な方法ですが、生活者がブランドや類似製品や市場カテゴリをポジティブに捉えているかネガティブに捉えているかなどの把握や、生活者の潜在的なニーズや価値観を視覚的に理解することができ、本当に求めているニーズ発掘のヒントとして活用されます。

  • 活動例:「新しい住まいを探す際に重要だと思う要素を写真で表現してください。」
  • 回答例:「広々としたリビングルーム」「自然光が差し込む大きな窓」「家族が集まれるダイニング」

4. ブランドの擬人化

ブランドを人に例えるとどんなタイプの人間だと思うかを問うものです。この方法では、生活者を通じてブランドのパーソナリティやイメージを明確にできるメリットもあります。

  • 質問例:「リフレネクスト横浜を人に例えると、どんな人だと思いますか?」
  • 回答例:「信頼できる友人」「親身になってくれるアドバイザー」「トレンドに敏感なエキスパート」

5. ラダリング

生活者に対して「なぜ?」の質問を段階的に具体性を高めながら進めていくと、行動や認識の動機が詳しくわかり、曖昧で深いところにある生活者の真の目的がわかる場合があります。「なぜ?」の質問を繰り返すことで、生活者の行動や認識の深層にある動機を掘り下げます。この方法により、生活者の真の目的やニーズを明らかにすることができます。

  • 質問例:「なぜリノベーションを希望しますか?」
  • 回答例:「より快適な生活空間を求めているから。」
  • さらに質問例:「なぜ快適な生活空間が必要ですか?」
  • 回答例:「家族全員がリラックスできる環境が欲しいから。」

オイシックスの例

顧客インサイト発掘で製品サービスの差別化に成功した有名な例としてオイシックス・ラ・大地株式会社のミールキットがあります。

ミールキットを販売するオイシックスは、そのミールキットの販売数量をV字的に伸ばしました。オイシックスのミールキットは20分程度で2品から3品を作ることができるものですが、他社と比較しても決して「時短」に特化しているわけではありません。しかし、比較対象の他社よりも販売数量を伸ばすことに成功しました。それはなぜでしょうか?

企業が「顧客のメリット」と感じるものと顧客が「無意識的に欲しているもの」は違う

当初、オイシックスは他社と同様に「時短」に特化したミールキットの開発を行っていました。競合を含めて「時短」に特化した開発の背景としてはユーザー調査などで、「できるだけ簡単に手軽に作りたい」「時間をかけたくない」「手軽に美味しい料理を作りたい」といった9割以上のユーザーアンケートによるものでした。対象のターゲット消費者は「料理以外の家事にも時間を使う必要がある」主婦層などで、企業は「時間をかけずに料理を作れる」ことをベネフィットとしたミールキットの開発に集中する意思決定から製品開発を行っていました。一方で、マーケティングスペシャリストを擁していたオイシックスは、「ユーザーの矛盾」「無意識の欲求」にフォーカスして、ユーザーの「インサイト」にフォーカスします。

「ユーザーは本当に時間をかけずに料理をつくれるミールキットを望んでいるのだろうか?」「時間をかけたくないのであれば冷凍食品やスーパーの惣菜などを買えばいいのではないか?」そんなふうにインサイト発掘を進めます。これは、ユーザーの発言には「常に矛盾がはらんでいる」ことを自覚すべきであるという、教訓を教えてくれる良い事例です。「時間をかけたくない」のであれば冷凍食品で満足しているはずだ。オイシックスるは、「なぜ冷凍食品では満足感を得られないのだろうか?」などという質問を内部で繰り返し実施することで生活者のインサイトを特定しました。

UnsplashMilad Fakurianが撮影した写真

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