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今回のテーマ
「家の屋根・壁の温度分布を測って夏の熱の入り方を解析してみよう」
夏、外が暑くなると家の中も熱くなります。これは、太陽の光が家の外側に当たり、その熱が壁や屋根を通って部屋の中に伝わってくるからです。
この研究では、「放射温度計(非接触温度計)」という、物に触れずに温度を測れる道具を使って、家のあちこちの温度を調べます。「どの場所が一番熱いのか?」「色や素材によって温度はどう違うのか?」を地図のように記録し、家がどのように熱を取り込んでいるのかを「見える化」して解析します。
自由研究の目的
私たちが暮らす地球では、いま「地球温暖化」が大きな問題になっています。夏にエアコンをたくさん使うと、その分電気を作るためのエネルギーが必要になり、二酸化炭素が増えてしまいます。
「家のどこから熱が入ってくるのか」を知ることは、少ないエネルギーで快適に過ごすためのヒントを見つけることにつながります。科学的な視点で家を観察することで、物理学(熱力学)の基礎を学べるだけでなく、環境に優しい未来の暮らし方を考える力が身につきます。
自由研究のゴール
- 初級 家の場所ごとの温度差を見つける。
- 中級 「なぜそこが熱いのか」という理由(素材・向き・日当たり)を分析する。
- 上級(レベルアップ!) 解析結果をもとに、家を涼しくするための「オリジナル断熱プラン」を提案し、実際にその効果を実験で確かめる。
具体的な発見事例
次のような場所を比較してみると面白い発見があります。
- 「白っぽい壁」と「黒っぽい屋根」 色の違いでどれくらい表面温度が変わるでしょうか?(黒い部分は 60℃を超えることもあります!)
- 「直射日光が当たる壁」と「すだれを垂らした壁」 日よけの効果を数字で証明してみましょう。
- 「窓ガラス」と「アルミホイルを貼った窓」 熱を跳ね返す素材の力を観察します。
- 時間帯を固定する 太陽の高さによって温度は変わります。朝・昼・夕方の3回、同じ場所を測って比較しましょう。
- 「外側」と「内側」をセットで測る 外壁が 50℃のとき、部屋の中の壁は何度になっているでしょうか?その差が「断熱性能」のヒントになります。
- 天候を記録する 晴れの日だけでなく、曇りの日のデータもあると分析が深まります。
自由研究の進め方
- 予想を立てる 家の図面(かんたんな手書きでOK)を書き、「ここが一番熱くなりそう!」という場所に予想温度を書き込みます。
- 道具の準備 放射温度計、記録用のノート、ペン、カメラを用意します。
- 計測スタート 1日3回、決めたポイント(屋根、東の壁、西の壁、窓、玄関など)の温度を測ります。
- グラフ化 測った数字をグラフにしたり、家の図面に色を塗って「サーモグラフィ風」の温度マップを作ったりします。
- 考察 「西日が当たる壁が、夜になっても熱いのはなぜだろう?」といった疑問をまとめ、自分なりの答えを考えます。
自由研究から発見したアイデア
- 「打ち水ロボット」のアイデア 特定の温度を超えた壁にだけ、自動で水をまいて冷やすシステムはどうでしょうか?
- 「動く日よけ」 太陽の動きに合わせて、自動で角度が変わるハイテクな「すだれ」のデザイン。
- 「植物の力」 壁一面をツタで覆う「グリーンカーテン」がある場所とない場所で、どれだけ温度が変わるか追加実験してみるのも素晴らしいアイデアです。
この自由研究に関連する仕事
- 建築家・設計士 夏涼しく冬暖かい、魔法のような家をデザインする仕事。
- 環境コンサルタント 街全体の熱(ヒートアイランド現象)を減らすアドバイスをする仕事。
- 材料開発エンジニア 太陽の熱を完璧に跳ね返す、新しい塗料や壁材を作る仕事。
- エネルギー診断員 家のエネルギー漏れを見つけ、光熱費を安くするアドバイスをするプロ。
まとめ
家の温度分布を測ることは、いわば「家が感じている熱」を翻訳する作業です。
普段は何気なく過ごしている家も、温度計を通してみると、太陽と戦ったり、熱をじっと耐えたりしている生き物のように見えてくるかもしれません。この夏、あなただけの「熱の地図」を作って、未来の快適な暮らしを発明する第一歩を踏み出してみませんか?
関連書籍
身近な仕事について考えてみよう!
- 仕事のことを通じて学んだこと、楽しかったこと、難しかったことを書いてみましょう。
- テーマについての新しい発見や、自分が感じたことをまとめます。
- 今後、さらに調べてみたいことや、他の人に教えたいことがあれば、それも書いてみましょう。





