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今回のテーマ
「自宅近くの川・水路の水温・水位・生き物の量を季節ごとに記録し、環境変化を探ってみよう」
家の近くにある川や水路は、毎日同じように見えて、実は日々変化しています。この自由研究は、決まった場所で「水温」「水位(水の深さ)」「生き物の種類と数」を春・夏・秋・冬の季節ごとに記録し続けるプロジェクトです。1日だけの観察では分からない、季節による変化や、天気と川の様子の関係性を探る「継続観察型」の研究です。長い期間をかけて自然のリズムを感じ取る、スケールの大きな自由研究になります。
自由研究の目的
この研究を通じて、身近な自然環境(エコシステム)の仕組みを肌で感じることができます。「なぜ夏になるとこの魚が増えるのか?」「雨が降った後、水位が戻るのにどれくらい時間がかかるのか?」といった疑問を解き明かすことで、データを見て考える力(分析力)が身につきます。 また、近年問題になっている「異常気象」や「環境問題」を、遠い国の話ではなく、自分の町の出来事として捉えることができるようになります。自然の変化に敏感になることは、防災意識を高めることにもつながります。
自由研究のゴール
- 基本のゴール 季節ごとの「川の観察カレンダー」を完成させること。春・夏・秋・冬の写真とデータを並べて、ひと目で変化がわかるようにまとめます。
- レベルアップのゴール 「予想と結果」をまとめること。「気温が◯度以上になると、この昆虫が現れる」「雨が◯ミリ降ると、水位は◯センチ上がる」といった法則(ルール)を自分なりに見つけ出し、未来の川の様子を予想してみましょう。ここまでできれば、立派な科学者です!
ある小学生が1年間用水路を観察した結果事例
- 春 水温15度。田植えの準備で水量が増え、カエルの卵やオタマジャクシがたくさん見つかった。
- 夏 水温28度。水草が生い茂り、ザリガニや小魚が隠れている。夕立の後は急に水位が上がり、水が濁る時間が長かった。
- 秋 水温18度。水量が減り、底が見えるようになった。ヤゴ(トンボの幼虫)を発見。落ち葉が溜まり始めた。
- 冬 水温5度。生き物の姿はほとんど見えないが、石の下でじっとしている水生昆虫を発見した。水は一番澄んでいた。
研究を進めるうえで、以下のポイントに注目しよう!
- 「安全第一」が最優先 水辺の調査は危険も伴います。必ず大人の人と一緒に行くこと。また、雨の日や増水している時は絶対に近づかないことが鉄則です。
- 「同じ条件」で測る 毎回違う場所や違う時間帯で測ると、比較が難しくなります。「橋の真ん中」「朝の10時」など、できるだけ条件を統一しましょう。
- 「数値」と「感覚」の両方を記録 水温や水位といった「数字」だけでなく、「水が臭う」「色が茶色っぽい」といった、五感で感じたことも大切なデータになります。
自由研究の進め方
- 場所を決める 安全に降りられる場所や、上から観察しやすい橋などを選びます。
- 道具を準備する ノート、筆記用具、カメラ、水温計、長い棒(水位を測るため)、タモ網(生き物調査用)、バケツ、ライフジャケット(あれば安心)を用意します。
- 記録する(水温・水位) 棒に目盛りを書いておき、水位を測ります。水温計で水を測ります。
- 記録する(生き物) 網でガサガサをして、どんな生き物がいるか調べます。観察したらすぐに川に返しましょう。
- 写真を撮る 川全体の様子、捕まえた生き物、その日の空の様子を撮影します。
- まとめる 天気や気温のニュースデータと合わせて、ノートに記録します。これを季節ごとに繰り返します。
自由研究から発見したアイデア
- 「川のゴミマップ」作り 季節によって流れてくるゴミの種類は変わるかな?(夏はバーベキューのゴミ、秋は農業のゴミなど)
- 「生き物図鑑」作り その川で見つけた生き物だけでオリジナルの図鑑を作る。
- 「防災ハザードマップ」との比較 市役所が出しているハザードマップと、実際の水位の変化を見比べて、危険な場所を自分で確認してみる。
この自由研究に関連する仕事
- 環境コンサルタント 自然環境を守りながら工事や開発をするための調査をする仕事。
- 河川工学者(土木エンジニア) 洪水を防ぐ堤防を作ったり、川の流れを計算したりする仕事。
- 生物学者(エコロジスト) 川や湖の生態系を研究し、絶滅危惧種を守る仕事。
- 気象予報士 雨量や天気の変化を予測し、人々に伝える仕事。
まとめ
身近な川や水路は、地域の環境を映し出す鏡のような存在です。1年を通して変化を追いかけることで、いつも遊んでいる場所が、ドラマチックな自然の舞台であることに気づくはずです。 まずは安全に気をつけて、最初の「春」や「夏」の記録からスタートしてみてください。君だけの発見が、未来の環境を守るヒントになるかもしれません!
関連書籍
身近な仕事について考えてみよう!
- 仕事のことを通じて学んだこと、楽しかったこと、難しかったことを書いてみましょう。
- テーマについての新しい発見や、自分が感じたことをまとめます。
- 今後、さらに調べてみたいことや、他の人に教えたいことがあれば、それも書いてみましょう。





