教育制度の特徴
アメリカ合衆国ミシシッピ州の州都ジャクソンにおける教育制度は、アメリカ全体のシステムである「K-12(ケースルートゥエルブ)」が基本となっています。これは、幼稚園(Kindergarten)の1年間と、小学校から高校までの12年間、合計13年間の教育期間を指します。
日本との大きな違いは、新学期の始まりです。日本では4月ですが、ジャクソンでは8月上旬から中旬に新学年がスタートし、5月下旬には長い夏休みに入ります。義務教育は公立学校であれば授業料は無料ですが、ジャクソンには歴史的な背景もあり、私立学校(プライベートスクール)も数多く存在します。公立学校は住んでいるエリア(学区)によって通う学校が決まりますが、特別な才能を伸ばすための「マグネットスクール」と呼ばれる、理数系や芸術に特化した公立学校も人気があります。
教育方法
ジャクソンの学校での教育方法は、「個人の意見」と「実践」を非常に重視します。日本の授業のように先生の話を静かに聞くスタイルとは異なり、生徒が手を挙げて発言したり、クラスメイトとディスカッションしたりする時間が多く設けられています。
また、ICT教育(情報通信技術を使った教育)が浸透しており、小学生の段階から一人一台のクロームブック(ノートパソコン)やタブレットが貸与されるのが一般的です。宿題の提出や先生との連絡もオンラインで行われます。 低学年では「Show and Tell(ショウ・アンド・テル)」という、自分の好きなものやお気に入りの宝物を学校に持ってきて、クラスのみんなの前で発表する授業があり、幼い頃から人前でプレゼンテーションをする力を養っています。
教育への取り組みや支援
ジャクソンはアメリカ国内でも経済的な格差がある地域を含むため、学校での生活支援プログラムが充実しています。その代表的なものが「スクールランチ(給食)」の制度です。家庭の収入状況に応じて、朝食と昼食が無料、または減額で提供されるプログラムがあり、子供たちの栄養状態を学校が支えています。
また、学習に遅れがある子供や、特別な支援が必要な子供に対しては、個別の教育プラン(IEP)が作成され、専門のスタッフがサポートに入ります。さらに、放課後には地域のコミュニティセンターや教会などが協力して、宿題を見たりスポーツを教えたりするアフタースクールプログラムも盛んに行われており、地域全体で子供を育てる文化が根付いています。
子供達の1日の過ごし方
ジャクソンの子供たちの朝は早いです。学校の始業時間は朝7時30分から8時頃が多く、黄色いスクールバスや親の車で登校します。 授業の合間のランチタイムは、カフェテリア(食堂)でバイキング形式のように好きなものを選んで食べます。メニューはピザ、ハンバーガー、チキンナゲットなどが定番です。
学校が終わるのは午後3時頃です。その後、多くの子供たちは「習い事」や「部活動」に熱中します。特にアメリカ南部であるジャクソンではアメリカンフットボールが大人気で、高校の試合には町中の人が応援に来るほどの熱気があります。その他、バスケットボールやマーチングバンドも人気です。 帰宅後は、家族と夕食を取り、オンラインで宿題を済ませてから、YouTubeを見たりゲームをしたりしてリラックスします。就寝時間は日本よりもやや早く、夜9時から10時頃にはベッドに入る子供が多いです。
教育と社会の関係
アメリカ社会において、学校は単に勉強する場所であるだけでなく、「小さな社会」としての機能を持っています。ジャクソンはアフリカ系アメリカ人の人口比率が高い都市であり、学校教育の中でも公民権運動の歴史や、黒人の偉人について学ぶ機会が大切にされています。自分たちのルーツや文化に誇りを持つ教育が行われているのです。
また、スポーツと教育の結びつきが非常に強いのも特徴です。スポーツで優秀な成績を収めることは、大学への奨学金を得るための重要なルートの一つとなっており、貧困から抜け出して成功をつかむための手段として、学校の部活動が社会的に大きな意味を持っています。
国が抱える教育の課題と未来
ジャクソン、そしてアメリカ全体の教育課題として挙げられるのが「教育格差」です。公立学校の運営費の多くは、その地域の固定資産税(住民税)でまかなわれています。そのため、裕福な地域とそうでない地域で、学校の設備や提供される教育の質に差が生まれてしまうという問題があります。
また、学校の安全性(セキュリティ)も大きな課題です。部外者が簡単に入れないような厳重なロックシステムや、避難訓練の徹底など、子供たちの命を守るための対策が常に強化されています。 未来に向けては、STEM教育(科学・技術・工学・数学)に力が入れられており、どのような環境に生まれた子供でも、プログラミングや最新技術を学び、将来の仕事につなげられるような機会を増やそうという動きが活発になっています。
教育と文化や価値観の関係
「ストーリーテリング(語り)」文化へのつながり
低学年からの「Show and Tell(発表)」や、日常的なディスカッションで「自分の言葉で話す」訓練が徹底されています。ミシシッピ州は数多くの有名な作家やミュージシャン(ブルースやゴスペル)を輩出しており、「物語を語る力」が非常に尊重される土地柄です。学校で培われた表現力は、日曜日の教会のスピーチや、日常会話でユーモアを交えて話す「南部のストーリーテリング文化」を支えています。
公民権運動の歴史と「正義・誇り」の継承
ジャクソンは公民権運動の激戦地であった歴史(メドガー・エバースの活動拠点など)を持つため、学校教育でも地域の歴史や黒人の偉人について深く学びます。過去の苦難とそれを乗り越えた歴史を学ぶことで、「自分のルーツに誇りを持つ」「不当なことには声を上げる(アドボカシー)」という精神が育まれています。これは現在のジャクソン市民の強い連帯感や、地域コミュニティを守ろうとする意識の高さにつながっています。
「サザン・ホスピタリティ(南部のおもてなし)」とボランティア精神
学校や教会を通じたコミュニティサービス(奉仕活動)が推奨されており、高校卒業の要件にボランティア活動が含まれることもあります。ミシシッピ州は「ホスピタリティ・ステート(おもてなしの州)」というニックネームを持っています。教育を通じて「困っている人を助けるのは当たり前」という価値観が刷り込まれており、見知らぬ人にも親切にする、ドアを開けてあげる、挨拶を欠かさないといった温かい人間関係が街の文化として根付いています。
フライデー・ナイト・ライツ(金曜夜の熱狂)と地域の一体感
学校教育におけるアメリカンフットボールやマーチングバンドの比重が非常に大きく、街全体が高校の試合をイベントとして扱います。金曜日の夜にスタジアムに集まることは、単なるスポーツ観戦を超えた社交の場です。教育現場である学校が地域のハブ(中心)となり、世代を超えて一つのチームを応援することで、「何があっても仲間を見捨てない」という強い地域愛(地元愛)が形成されています。
まとめ
アメリカ・ジャクソンの教育を見てみると、日本とは違う「個性の伸ばし方」や「地域との関わり方」が見えてきます。 「みんなと同じ」ことができるようになることを目指す日本に対し、ジャクソンでは「自分だけの意見を持つこと」や「自分の得意なこと(スポーツや芸術など)で輝くこと」が何よりも称賛されます。
しかし、どちらが良い・悪いではありません。日本の給食の美味しさや、掃除の時間にみんなで教室をきれいにする習慣は、アメリカの先生たちから見ると「素晴らしい文化」だと驚かれることもあります。 この自由研究を通して、遠いジャクソンの学校生活を想像しながら、「日本の学校の良いところ」と「アメリカの学校の面白そうなところ」を比べてみると、当たり前の毎日の中に新しい発見があるかもしれません。
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