今回のテーマ
「廃墟・空き家を活用した「体験型観光施設」に対する地域住民の意見調査してみよう」
少子高齢化が進む日本各地で、使われなくなった建物や家屋、いわゆる「廃墟」や「空き家」が増え続けています。これらをただ放置するのではなく、地域を盛り上げるための「体験型観光施設」として生まれ変わらせる取り組みが注目されています。この自由研究では、こうした取り組みに対して「地域に住む人々がどう感じているのか」を実際に調査し、その声から地域活性化のヒントを探ることを目的とします。歴史ある建物の保存と、新しい観光資源としての活用という二つの視点から、地域の未来を考えます。
自由研究の目的
あなたが住む街にも、古くなった建物や空き家はありませんか?それらの建物は、そのままでは防犯や防災の面で問題を引き起こす可能性があります。しかし、アイデア次第で、その街にしかないユニークな「宝物」に変わるかもしれません。このテーマを学ぶことは、単に建物を調べるだけでなく、「地域課題の解決」と「持続可能なまちづくり」という、世界中の人々が取り組んでいる大きなテーマを深く理解することにつながります。また、実際に住民の方々の意見を聞くことで、物事を多角的に見る力や、コミュニケーション能力も養われます。
自由研究のゴール
- レベル1 地域の空き家をマップ化する
あなたの通学路や家の近くにある空き家を写真に撮り、その場所と「なぜ空き家になったのか?」を予想して地図に書き込みます。 - レベル2 住民インタビューを実施する
地域の住民(5人以上)に、「空き家が活用されることについてどう思いますか?」「どんな施設になってほしいですか?」といった質問をして意見を集めます。 - レベル3 調査結果とアイデアを発表する
住民の意見を分析し、「住民が最も望んでいる活用方法」と、その実現に向けた具体的な新しいアイデアを提言レポートやプレゼンテーションにまとめます。
廃墟や空き家を活用した成功事例
- 直島(香川県)の「家プロジェクト」 過疎化が進む島の集落で、空き家を芸術作品のインスタレーションとして改修。地域住民の生活空間の中に現代アートが溶け込み、世界中から観光客が訪れるきっかけとなりました。
- 古民家カフェ・ゲストハウス 地方の古い民家を改修し、その地域の食材を使ったカフェや宿泊施設として運営する事例。古民家の持つ独特の雰囲気や歴史が、「ここにしかない体験」として新たな価値を生み出しています。
- 廃校の利用 少子化で閉鎖された学校を、キャンプ場、美術館、またはサテライトオフィス(企業の出張拠点)などに生まれ変わらせ、地域の交流拠点として再スタートを切っています。
研究を進めるうえで、以下のポイントに注目しよう!
この研究の最も重要なポイントは、「住民の声」に焦点を当てることです。単に「空き家活用は良いことだ」で終わらせず、賛成意見と反対意見の両方を公平に聞くことが大切です。
- 賛成意見の背景 賑わいが生まれる、建物を維持管理してくれる、防犯につながる。
- 反対意見の背景 騒音やゴミの問題、プライバシーの侵害、地域の景観が損なわれる懸念。
これらの意見を調査することで、観光客だけではなく、「地域住民にとって本当に良いまちづくり」とは何かを発見できます。
自由研究の進め方
- 【計画】テーマを決める
調査対象とする空き家や廃墟の候補をいくつか選びます。 - 【情報収集】事前調査
地域の歴史や、その建物が空き家になった背景(例:持ち主の高齢化、転居など)を役所や図書館で調べてみましょう。 - 【準備】インタビューシート作成
住民の方に尋ねる質問を準備します。「この建物にどんな思い出がありますか?」「もし観光施設になったら、メリット・デメリットは何だと思いますか?」など、答えやすい質問を考えましょう。 - 【実行】住民インタビュー
必ず保護者と一緒に、地域の異なる年代の方に話を聞きます。意見を正確に記録し、匿名性を守る約束をします。 - 【分析】結果のまとめ
集めた意見を「活用に賛成」「反対」「条件付き賛成」などに分類し、「なぜそう思うのか」という理由をグラフや表で整理します。 - 【結論】提案レポート作成
調査結果と、それに基づいた「住民に喜ばれる空き家活用アイデア」を提案します。
自由研究から発見したアイデア
住民の意見を深く聞くと、「ただ人が集まる施設」よりも「地域課題を解決する施設」が求められていることが見えてくるかもしれません。
- 「夜間の防犯を兼ねた地域見守りカフェ」 カフェとして活用しつつ、営業時間は地域の見守りボランティアの拠点ともする。
- 「観光客と住民が一緒に楽しめるスキル交換ワークショップ施設」 観光客が持つ特技(例:外国語)と住民が持つ特技(例:手芸、料理)を教え合う場とする。
- 「災害時の一時避難・防災学習拠点を兼ねたアートギャラリー」 建物の耐久性を高め、地域の防災意識を高める展示を組み込む。
この自由研究に関連する仕事
- まちづくりコンサルタント 地域課題を分析し、活性化のための具体的な計画を立てる専門家。
- 建築家/リノベーションプランナー 古い建物の歴史や特徴を活かしつつ、新しい機能を持たせて再生させる仕事。
- 地域おこし協力隊員 国や自治体の支援を受け、地域に入り込んで移住促進や観光事業の企画・運営を行う仕事。
- ソーシャルワーカー 地域の課題(空き家問題も含む)に対し、住民や行政と連携して解決策を見つけ、実行する仕事。
まとめ
廃墟や空き家を再生し、地域に活力を取り戻す取り組みは、「過去と未来をつなぐ」大切な挑戦です。そして、その成功の鍵を握るのは、最新の技術でも、多額のお金でもなく、「そこに暮らす人々の思い」です。
あなたの自由研究は、地域住民の意見を丁寧に拾い上げることで、「誰もが幸せになるまちづくり」のための最も大切な視点を発見できます。この調査を通じて得られた、地域への深い愛情と洞察力は、必ずあなたの未来を豊かにしてくれるでしょう。ぜひ、勇気を出して地域の人々の声に耳を傾けてみてください。
関連書籍
身近な仕事について考えてみよう!
- 仕事のことを通じて学んだこと、楽しかったこと、難しかったことを書いてみましょう。
- テーマについての新しい発見や、自分が感じたことをまとめます。
- 今後、さらに調べてみたいことや、他の人に教えたいことがあれば、それも書いてみましょう。





