教育制度の特徴
ベラルーシの教育制度は、旧ソ連のシステムを基礎としており、国が教育全体をしっかりと管理しているのが特徴です。
- 義務教育は9年間 6歳から始まる初等教育(4年間)と、それに続く基礎中等教育(5年間)を合わせた9年間が義務教育です。ほとんどの子どもが、その後さらに2年間、一般中等教育学校や専門学校で学び、合計11年間学校に通います。
- 学費は基本的に無料 幼稚園から大学まで、国立の学校であれば授業料は基本的に無料です。国が教育を非常に重視しており、誰もが平等に学べる機会を提供しています。教科書も無償で貸し出されます。
- 2つの公用語 ベラルーシには「ベラルーシ語」と「ロシア語」の2つの公用語がありますが、学校の授業のほとんどはロシア語で行われています。
- 才能を伸ばす学校 成績が優秀な子どもは、「ギムナジウム」や「リツェイ」と呼ばれる、より専門的でレベルの高い内容を学ぶことができる学校に進むことができます。
教育方法
ベラルーシの教育方法には、どのような特徴があるのでしょうか。
- 基礎知識を重視
ソ連時代から続く伝統で、数学や物理、化学といった理数系の基礎的な知識を、繰り返ししっかりと身につけることを重視しています。これが、後にIT分野で活躍する人材を育てる土台となっています。 - 先生が主導する授業
授業は、先生が教科書の内容を解説し、生徒がそれを聞いて学ぶという講義形式が中心です。グループディスカッションや発表の機会は、日本の学校に比べると少ないかもしれません。 - 5段階の成績評価
成績は5段階で評価されます。5が最も良い成績で、1や2を取ってしまうと再試験を受けなければなりません。子どもたちは良い成績を取るために、一生懸命勉強に励みます。
教育への取り組みや支援
国は、すべての子どもたちがしっかりと学べるように、様々な支援を行っています。
- 才能教育への支援
国は、科学、芸術、スポーツなどの分野で才能を持つ子どもたちを早期に発見し、その能力を伸ばすための特別なプログラムや施設を用意しています。優秀な子どもたちは、国の代表として国際的なコンテストやオリンピックに出場することも夢ではありません。 - IT教育の推進
ベラルーシが「東欧のシリコンバレー」と呼ばれるほどIT産業が盛んな背景には、国を挙げたIT教育への取り組みがあります。学校では早い段階からプログラミングを学び、大学には世界レベルのIT学部があります。 - 愛国心の育成
歴史や文化を学び、自分の国に誇りを持つことを教える「愛国教育」にも力を入れています。これは、国の将来を担う人材を育てるという強い意志の表れです。
子供達の1日の過ごし方
- 登校と授業
新学期は9月1日に始まります。授業は月曜日から土曜日までの週6日制の学校が多く、午前中に授業が集中しています。授業時間は1コマ45分です。 - お昼ごはん
学校には食堂があり、温かい給食が提供されます。スープやメインディッシュ、パンなど、栄養バランスの取れた食事が中心です。 - 放課後の活動
授業が終わると、多くの子どもたちは「興味サークル」と呼ばれる音楽やスポーツ、アートなどのクラブ活動や、地域の音楽学校、スポーツスクールといった習い事に通います。チェスやアイスホッケーが特に人気です。宿題も毎日出るため、家に帰ってからも勉強する時間があります。
教育と社会の関係
教育は、ベラルーシという国の社会や産業と深く結びついています。
- 高い識字率
国の力強い支援のおかげで、国民の識字率(文字の読み書きができる人の割合)は99%以上と、世界でもトップクラスです。これは、国全体の知的レベルの高さを支えています。 - IT産業の発展
質の高い理数教育とIT教育が、多くの優秀なエンジニアやプログラマーを育てています。世界的に有名なゲームアプリやITサービスが、実はベラルーシで開発されていることも少なくありません。 - 計画的な人材育成
国は、将来どの産業でどれくらいの働き手が必要になるかを予測し、大学の学部や定員を調整しています。これにより、大学で学んだことを卒業後の仕事に活かしやすい仕組みになっています。
国が抱える教育の課題と未来
- 教育の画一性
国の方針が教育現場に強く反映されるため、先生や生徒が自由に意見を述べたり、多様な考え方に触れたりする機会が制限されることがあります。 - 頭脳流出
国内で高い教育を受けた優秀な若者たちが、より良い給料や自由な環境を求めて、国外の企業に就職してしまう「頭脳流出」が問題となっています。 - ベラルーシ語の危機
学校教育でロシア語が主に使われる結果、自国の言語であるベラルーシ語を日常的に話す人が減ってきており、言語や文化の継承が課題とされています。
これらの課題に対し、ベラルーシは今後、国際社会との関わりの中で、自国の強みを活かしながらどのように教育を発展させていくのかが注目されています。
教育と文化や価値観の関係
「技術への信頼」と「合理性を重んじる価値観」
ソ連時代から続く質の高い数学・物理教育と、現在のIT教育の重視は、「問題は技術や科学によって合理的に解決できる」という価値観を育んでいます。これにより、世界的なIT企業(ゲーム『World of Tanks』の開発会社など)が生まれる土壌ができました。日常生活においても、感情論より論理的な正しさを尊重する真面目な国民性に繋がっていると言われます。
「忍耐強さ」と「秩序を大切にする文化」
旧ソ連の教育モデルを受け継ぐ規律や集団行動を重んじる学校生活は、子どもたちの「忍耐強さ」を養います。決められたルールの中で努力を続けることが評価されるため、社会全体として個人の自由な表現よりも、安定した秩序や調和を大切にする文化が根付いています。これは、街が清潔に保たれ、公共の場でのマナーが良いといった側面にも表れています。
「国が支える芸術」と「身近なクラシック文化」
ベラルーシでは、国が支援する音楽学校やバレエ学校が安価で利用できるため、多くの子どもたちが幼い頃から質の高い芸術教育に触れます。このため、クラシック音楽やバレエ、オペラ鑑賞が一部の専門家だけのものではなく、国民にとって身近な娯楽・文化として定着しています。国立の劇場が常に多くの観客で賑わっているのはその象徴です。
「強い国家意識」と「伝統文化の保存」
学校で歴史や自国の文化を学ぶ「愛国教育」が重視されていることは、人々が国家に対して強い帰属意識を持つことに繋がっています。同時に、国が主導して民族衣装の刺繍(ヴィシヴァンカ)や伝統的な祭り、民謡などを保存・奨励しており、教育を通じて「ベラルーシ人としてのアイデンティティ」を大切にする文化が育まれています。
まとめ
今回は、ベラルーシの教育について探ってみました。国による手厚いサポートのもと、基礎的な学力を徹底的に身につけ、特にIT分野で世界に通用する人材を育てていることが分かりました。その一方で、教育の自由度や、自国の文化継承といった課題も抱えています。
日本の教育と比べてみると、良いところも、少し違うところも見えてきたのではないでしょうか。世界の国々の教育を知ることは、私たちが当たり前だと思っていることを見つめ直し、より良い未来を考えるきっかけになります。この自由研究が、あなたの世界への好奇心を広げる一助となれば嬉しいです。
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