薬を作り出す!製薬業界の研究者と品質管理とは?
製薬業界の仕事は、病気やけがを治すための新しい「薬」を生み出す仕事です。研究者は、薬の候補となる新しい物質を見つけたり、その効果や安全性を調べたりします。品質管理は、作られた薬が安全で、いつも同じ効果を発揮できるように、厳しくチェックする「薬の番人」です。人々の命と健康を守る、とても大切な役割を担っています。
この仕事の一番の魅力は、自分の仕事が世界中の人々の病気を治し、笑顔を増やすことにつながることです。一つの薬が完成するまでには10年以上かかることもあり、たくさんの失敗を乗り越えなければなりません。しかし、その分、新しい薬が生まれた時の喜びはとても大きいです。また、まだ誰も知らないことを探求する面白さもあります。「どうして病気になるんだろう?」「どうすれば治せるんだろう?」という好奇心が、新しい発見につながります。世界中の研究者と協力することもあり、グローバルに活躍できるのも魅力の一つです。
製薬業界の研究者と品質管理の仕事とは?
製薬の仕事は、大きく「研究」と「品質管理」に分かれます。
研究者の仕事
薬ができるまでには、長い道のりがあります。
- 基礎研究 まず、病気の原因を突き止め、その原因に効きそうな「薬の候補」を探します。世界中の論文を読んだり、様々な化合物を試したり、まさに科学の知識と探求心が試される段階です。
- 非臨床試験 薬の候補が見つかったら、動物や細胞を使って、本当に効果があるのか、そして体に害はないのか(安全性)を詳しく調べます。
- 臨床試験(治験) 動物での安全性が確認されたら、次に健康な人や患者さんの協力を得て、人に対する効果と安全性を確かめます。この試験を「治験」と呼び、何段階にも分けて慎重に行われます。
品質管理の仕事
研究者が作った薬を、工場でたくさんの人々のために作ります。その薬が、一つひとつ安全で、同じ品質であることを保証するのが品質管理の仕事です。
- 原料のチェック 薬の材料となる成分が、正しいものか、不純物が混ざっていないかを厳しく検査します。
- 製造工程のチェック 工場で薬が作られている間も、決められたルール通りに作業が進んでいるか、機械は正常に動いているかなどを監視します。
- 完成品のチェック 出来上がった薬が、見た目、成分、溶け方など、全ての基準をクリアしているか、最終的なテストを行います。
この厳しいチェックを乗り越えた薬だけが、私たちの元に届けられるのです。
製薬業界の研究者と品質管理の魅力!
- 世界中の人々を救える! 自分が開発に関わった薬で、これまで治らなかった病気が治るようになったり、世界中の人々の健康を守ったりできる、とてもやりがいのある仕事です。例えば、新しい感染症のワクチンが開発されれば、多くの人の命を救うことができます。
- 科学の謎に挑戦できる! 「なぜ?」を突き詰めるのが好きな人にはたまらない仕事です。まだ誰も解き明かしていない生命の謎に、最先端の技術と知識で挑戦できます。日々の実験や研究が、未来の医療を大きく変えるかもしれません。
- 高いお給料と安定性! 製薬会社は、専門的な知識が必要とされるため、平均的な年収が高い傾向にあります。大手製薬会社の平均年収は1000万円を超えることもあります。人々の生活に不可欠な「薬」を扱うため、社会の状況に左右されにくく、安定して長く働きやすいのも魅力です。
- チームで大きな目標を達成できる! 薬の開発は、一人ではできません。研究者、品質管理担当者、お医者さん、そして患者さんなど、多くの人々と協力して一つの目標に向かいます。困難な壁にぶつかった時も、チームで支え合い、乗り越えた時の達成感は格別です。
- 世界を舞台に活躍できる! 病気に国境はありません。そのため、世界中の研究者と情報を交換したり、海外の拠点に転勤したりするチャンスも多くあります。語学力を活かして、グローバルな舞台で活躍したい人にもぴったりの仕事です。
製薬業界の研究者と品質管理になるには?
- 科学への興味を深めよう! まずは、理科や生物、化学の授業を楽しみましょう!「なぜ?」「どうして?」という疑問を持つことが、科学者への第一歩です。自由研究で、身近なものの性質を調べてみるのも良い経験になります。
- 大学で専門分野を学ぼう! 製薬の研究者になるには、大学の「薬学部」や「理学部」「農学部」などで、化学や生物学、生命科学といった専門知識を学ぶのが一般的です。あなたは将来、どんな病気を治せる薬を作ってみたいですか?
- 大学院で研究を極めよう! 大学を卒業した後、さらに専門的な研究を行うために「大学院」に進む人がほとんどです。大学院では、一人の研究者として、自分のテーマを持って研究に没頭します。この経験が、製薬会社での仕事に直結します。
- 英語力を身につけよう! 最新の研究論文の多くは英語で書かれています。また、世界中の研究者とコミュニケーションをとるためにも、英語は必須のスキルです。今から少しずつ英語に親しんでおくと、将来きっと役立ちます。
- 製薬会社に就職! 大学院で専門性と研究経験を積んだら、いよいよ製薬会社への就職活動です。自分の研究内容や、将来どんな薬を作りたいかという情熱を伝えましょう。品質管理の仕事も、薬学や化学の知識を活かせる人気の職種です。
この分野で有名なプロフェッショナル
本庶 佑 博士
2018年にノーベル生理学・医学賞を受賞した、日本の医学者です。本庶博士は、私たちの体の中にある免疫細胞の表面にある「PD-1」という分子を発見しました。この発見により、「がん細胞が、免疫細胞からの攻撃をどうやって逃れているのか」という長年の謎が解き明かされたのです。この研究成果を基に開発されたのが、がん治療薬「オプジーボ」です。この薬は、がん細胞が免疫にかけていたブレーキを外し、私たち自身が本来持っている免疫の力でがんと戦うという、全く新しい発想の治療薬でした。本庶博士の基礎研究が、世界中のがん患者さんに新しい希望を与えたのです。
マーケィングの観点から見ると?
世界では今、人口が増え続け、高齢化も進んでいます。それに伴い、健康に長く生きたいという人々の願いはますます強くなり、薬の重要性はさらに高まっていくでしょう。今後は、AI(人工知能)を使って、薬の開発期間を大幅に短縮したり、これまで見つけられなかった薬の候補を発見したりできるようになると期待されています。また、iPS細胞などを使った「再生医療」の技術が進めば、これまで治療が難しかった病気や、失われた体の機能を取り戻すことも夢ではなくなるかもしれません。
このように、製薬の仕事は、最先端のテクノロジーを取り入れながら、世界中の人々の「もっと健康に、もっと長く生きたい」という根源的な願いに応え続ける、未来にわたって非常に重要で、発展し続ける仕事なのです。
自由研究の例
テーマ かぜ薬は、どうして熱を下げたり、せきを止めたりできるの?
- 疑問を立てよう!
- お家にあるかぜ薬の箱には、どんな成分が書かれているかな?
- それぞれの成分には、どんな働きがあるんだろう?
- 薬は、どうやって体の中に入って、効き目を発揮するんだろう?
- 錠剤やカプセル、粉薬など、色々な形があるのはなぜだろう?
- 調べてみよう!
- 図書館へGO! 子供向けの医学や薬の本、科学の図鑑を使って調べてみよう。
- インターネットで検索 製薬会社のウェブサイトには、子供向けに薬の仕組みを解説したページがあることも。お父さんやお母さんと一緒に見てみよう。(例:「くすりのひみつ」「製薬会社 キッズ」などで検索)
- 薬剤師さんに聞いてみよう 薬局の薬剤師さんは、薬のプロフェッショナル!質問すれば、優しく教えてくれるかもしれません。(事前にアポイントを取ると丁寧です)
- まとめてみよう!
- 調べたことを、絵や図を使って新聞やポスターにまとめてみよう。
- かぜ薬の箱を貼り付けて、成分と働きを書き出すのも分かりやすいね。
- 「私の考えた未来の薬」を想像して、絵に描いてみるのも面白いかもしれません。
まとめ
製薬業界の研究者と品質管理の仕事は、私たちの健康な毎日を支え、未来の医療を切り拓く、非常に創造的でやりがいに満ちた仕事です。一つの薬が生まれるまでには、長い年月と多くの人々の知恵と努力が結集されています。この記事を読んで、もしあなたが「病気で苦しむ人を助けたい」「科学の力で新しい未来を作りたい」と少しでも感じてくれたなら、ぜひこの仕事を目指してみてください。あなたの探求心が、未来の誰かの命を救う、大きな力になるかもしれません。
関連書籍
身近な仕事について考えてみよう!
- 仕事のことを通じて学んだこと、楽しかったこと、難しかったことを書いてみましょう。
- テーマについての新しい発見や、自分が感じたことをまとめます。
- 今後、さらに調べてみたいことや、他の人に教えたいことがあれば、それも書いてみましょう。