自由研究557|海洋プラスチック汚染のマイクロプラスチックを、近海の砂や水から採取・数える実験

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今回のテーマ

    「海洋プラスチック汚染のマイクロプラスチックを、近海の砂や水から採取・数える実験をしてみよう」

    この自由研究は、世界的な環境問題である海洋プラスチック汚染の中でも特に深刻なマイクロプラスチック(5mm以下の小さなプラスチック片)に焦点を当てます。身近な海岸の砂や海水を採取し、特定の物理的・化学的手法を用いてプラスチック以外の物質を分離・除去することで、中に含まれるマイクロプラスチックを抽出し、その数や種類を分析する実験研究です。これにより、私たちの住む地域の海洋汚染の現状を科学的に明らかにします。

    自由研究の目的

    どうして海洋プラスチック汚染のマイクロプラスチックを、近海の砂や水から採取・数える実験をしてみるの?

      海洋プラスチック汚染は、海の生物の生態系を脅かすだけでなく、食物連鎖を通じて私たちの健康にも影響を及ぼす可能性があります。特にマイクロプラスチックは小さすぎて目に見えにくいため、その深刻さが伝わりにくいのが現状です。

      • 環境意識の向上 自分の目で採取・観察することで、この問題が遠い話ではなく、身近な環境で実際に起きていることを実感できます。
      • 科学的な思考力 複雑な環境試料(砂や水)から特定の物質(プラスチック)だけを分離・抽出する科学的な手順論理的な思考プロセスを実践的に学ぶことができます。
      • 社会とのつながり 採取したデータは、地域の環境保全活動や、プラスチックごみ削減のための具体的な行動を考えるきっかけになります。

      自由研究のゴール

      この研究を通じて、以下のような力を身につけることが目標です

      • レベル1 海岸の砂を採取し、塩水浮遊選別法を用いてマイクロプラスチックと思われる粒子を分離・抽出し、顕微鏡で観察する。
      • レベル2 複数の採取地点(例:砂浜、河口、岩場)で実験を行い、抽出された粒子の数や種類を比較・分析し、地域ごとの汚染状況の違いを考察する。
      • レベル3 分離した粒子が本当にプラスチックであるかを、熱や溶剤などの簡単な手法で検証(確認実験)し、その汚染源や削減アイデアを提案する。

      海洋プラスチック汚染の研究事例

              • 砂浜のマイクロプラスチック調査 海岸線の砂1kgあたりのマイクロプラスチックの平均個数を割り出し、観光客が多い場所とそうでない場所で比較する研究が世界各地で行われています。その結果、目視では綺麗に見える砂浜からも、大量のマイクロプラスチックが発見される事例が多く報告されています。
              • 深海生物への影響調査 深海に生息する生物の体内からマイクロプラスチックが発見される事例も増えており、汚染が海洋の最深部まで到達していることが明らかになっています。
              • 飲料水からの検出 海洋だけでなく、水道水や市販のミネラルウォーターからもマイクロプラスチックが検出されたという研究事例があり、人体への影響も含めた広範な調査が進められています。

              研究を進めるうえで、以下のポイントに注目しよう!

                1. 正確な分離手法の採用 マイクロプラスチックは砂や泥、有機物(藻や貝殻など)と混ざっています。プラスチックは密度が低いため、濃い塩水(飽和食塩水など)を作ると水に浮かせることができます(浮遊選別法)。この分離手法を適切に行うことが、実験成功の鍵です。
                2. サンプリングの統一 採取場所、採取量、採取深さを統一し、比較可能性を高めることが科学的な分析には重要です。
                3. 安全管理の徹底 実験には、濃い塩水や場合によっては加熱器具、刺激性のある溶剤(発展レベルの場合)を使う可能性があります。保護メガネや手袋を着用し、大人の指導のもと安全に十分配慮して行いましょう。

                自由研究の進め方

                1. 試料の採取(サンプリング)
                  砂浜の表面から一定量(例:500gまたは1kg)の砂を採取し、採取場所・日時を正確に記録します。
                2. 前処理(乾燥・ふるい分け)
                  採取した砂を乾燥させ、粗いゴミや大きな砂粒を取り除くためにふるいにかけます(5mm以下にする)。
                3. 分離(浮遊選別)
                  • 水に溶ける限界まで塩を溶かし、飽和食塩水を作ります。
                  • 前処理した砂を飽和食塩水に入れ、よくかき混ぜて静置します。
                  • プラスチック片は浮き、砂や石は沈みます。浮いたものを網やスポイトで慎重に回収します。
                4. 観察と計数
                  回収した浮遊物を乾燥させ、顕微鏡(または高倍率のルーペ)で観察しながらマイクロプラスチックと思われる粒子を数え、種類(破片、繊維、発泡スチロールなど)を分類します。
                5. 結果のまとめと考察
                  採取地点ごとの個数を比較し、なぜその場所で多く見つかったのか、その汚染源は何かを考察します。

                自由研究から発見したアイデア

                • 「マイクロプラスチック・マップ」の作成 地域の海岸汚染状況を分かりやすく示すウェブマップを作成し、汚染度の高い場所を警告することで、住民や観光客の注意喚起を行う。
                • 「繊維プラスチック」削減のための洗濯アイデア 実験で多く見つかった繊維状のマイクロプラスチック(衣類由来が多い)を削減するため、特定の洗濯ネットの使用や洗濯方法の改善を促す啓発活動を提案する。
                • 地域企業との連携 採取したプラスチック片の種類から、地域の産業や生活習慣との関連を考察し、特定のプラスチック製品の代替品開発リサイクルシステムの導入を地域企業に提案する。

                この自由研究に関連する仕事

                • 環境研究者・科学者 海洋汚染や生態系への影響を調査・研究し、解決策を開発する仕事。
                • 環境コンサルタント 企業や自治体に対し、環境規制の遵守や持続可能な事業運営のための戦略を提案する仕事。
                • 環境教育者・ジャーナリスト 科学的な事実に基づき、環境問題の深刻さを分かりやすく社会に伝え、人々の行動変容を促す仕事。
                • 環境保全団体(NPO/NGO)スタッフ 地域や国際社会で、具体的な環境保全活動や政策提言を行う仕事。

                まとめ

                海洋プラスチック汚染は、地球規模の課題ですが、その実態を明らかにする第一歩は、身近な環境を科学的に調べることです。本研究は、海岸の砂という小さなサンプルから、私たちが直面している大きな環境問題の手がかりを見つけ出します。採取、分離、観察、分析という一連の科学的プロセスを通じて、あなたは環境研究者としての視点とスキルを身につけることができるでしょう。ぜひこの夏、身近な海から「見えない脅威」の真実を掘り起こし、未来の地球を守るための新しいアイデアを発見してください。

                 

                       

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