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今回のテーマ
「水害から身を守る!自宅でできる防災対策を考えよう」
近年、毎年のようにニュースで耳にする「記録的な大雨」や「大型の台風」。地球温暖化の影響もあり、これまで安全だと思われていた場所でも、川の氾濫や浸水といった水害が起こる可能性が高まっています。
この自由研究は、「もしも、私たちの住む町で水害が起きたら?」を想像し、自分と大切な家族の命を守るために、自宅でできる具体的な防災対策を考え、実践するものです。「防災」と聞くと難しく感じるかもしれませんが、これは私たちの暮らしに直結した、とても大切でやりがいのあるテーマです。
自由研究の目的
この研究を通して、ただ知識を得るだけでなく、「生きる力」そのものを身につけることができます。
- 「自助」の力を育む 災害が起きたとき、消防や自衛隊などの助け(公助)がすぐに来られるとは限りません。まずは自分自身の力で命を守る「自助」が何よりも重要です。この研究は、そのための具体的な方法を学ぶ絶好の機会です。
- 科学的な予測と判断力を養う 「ハザードマップ」を読み解き、自宅の危険度を科学的に理解する力。気象情報をもとに、「いつ」「何をするべきか」を判断する力。これらは、データに基づいて論理的に行動する力を養います。
- 家族の絆を深める この研究は、一人で完結するものではありません。家族みんなで話し合い、協力して準備を進めることが不可欠です。防災という共通の目標を持つことで、家族のコミュニケーションが深まり、いざという時のチームワークも生まれます。
自由研究のゴール
- レベル1 我が家の危険度を知ろう!
- 住んでいる市区町村の「ハザードマップ」を入手し、自宅や学校がどのくらい浸水する可能性があるか、色はどんな意味か調べる。
- 安全な避難場所と、そこへ向かうための避難経路を複数、地図に書き込んでみる。
- レベル2 防災グッズを点検・準備しよう!
- 自宅にある防災グッズを全部出して、中身をチェックする。水害時に特に必要なもの(長靴、救命胴衣、携帯トイレなど)をリストアップする。
- 懐中電灯の電池は切れていないか、食料の賞味期限は大丈夫かなどを確認し、レポートにまとめる。
- レベル3 我が家だけの避難計画を作ろう!
- ハザードマップと自宅周辺の実際の様子をもとに、家族一人ひとりが「いつ」「何をするか」を時系列で決めた行動計画、「マイ・タイムライン」を作成する。
- 家にあるもので作れる「水のう」の効果を実験したり、実際に避難場所まで歩いて危険な場所がないか調べたりして、より実践的な計画を目指す。
家にあるものできる水害対策の例
特別なものを買わなくても、家にあるものですぐにできる水害対策がたくさんあります。
- 手作り「水のう」で浸水を防ぐ 丈夫なゴミ袋を二重にして、中に水を半分ほど入れるだけで、土のうの代わりになる「水のう」が完成します。玄関や窓際に並べて水の侵入を防いだり、トイレやお風呂の排水口の上に置いて下水の逆流を防いだりできます。
- アウトドアグッズが大活躍 キャンプで使うLEDランタンや寝袋、ポータブル電源、カセットコンロは、停電したときに非常に役立ちます。普段から使い慣れておくことが最高の防災訓練になります。
- ペットボトルがランタンに変身 停電時、スマートフォンのライトの上に水を入れたペットボトルを置くだけで、光が乱反射して部屋全体を明るく照らす簡易ランタンになります。
- 「ローリングストック」を始めよう 普段から使う缶詰やレトルト食品、飲料水などを少し多めに買っておき、使った分だけ買い足していく「ローリングストック」。これにより、常に一定量の食料が備蓄され、賞味期限切れも防げます。
研究を進めるうえで、以下のポイントに注目しよう!
- 最新のハザードマップを使う ハザードマップは数年ごとに更新されます。必ず市区町村の役場やウェブサイトで、最新のものを手に入れましょう。
- 家族会議を開く この研究の成果は、家族みんなで共有してこそ意味があります。ハザードマップを見ながら危険な場所を確認したり、避難のタイミングを話し合ったりする「家族防災会議」を定期的に開きましょう。
- 安全第一で調査する 自宅の周りの危険箇所を調査するときは、絶対に一人で行動せず、必ず保護者と一緒に行いましょう。雨の日や川が増水しているときは、絶対に近づかないでください。
- 信頼できる情報をチェックする 災害情報は、気象庁の「キキクル」や、自治体が発信する防災メール、公式ウェブサイトなど、信頼できる情報源から得るように心がけましょう。
自由研究の進め方
Step 1 知る(情報収集)
- ハザードマップで自宅の浸水リスク(何メートル浸水するか)や、土砂災害のリスクを調べる。
- 「避難指示」などの避難情報の種類と、それぞれの意味を調べる。
Step 2 見る(点検・調査)
- 自宅の周りを歩き、側溝や用水路、マンホールなど、水があふれそうな場所を確認し、地図にメモする。
- 家の中の防災グッズをリスト化し、足りないものや古いものをチェックする。
Step 3 考える(計画)
調査結果をもとに、「大雨警報が出たら」「避難指示が出たら」など、状況に応じた家族の行動計画(マイ・タイムライン)を話し合って作成する。ペットがいる場合は、ペットの避難方法も考えておく。
Step 4 試す・まとめる(実践・発表)
- 実際に防災リュックを背負って避難場所まで歩いてみる。
- 研究の動機、調査結果、点検リスト、我が家のマイ・タイムライン、感想などを模造紙やレポートにまとめる。写真やイラストを入れると、より分かりやすくなります。
自由研究から発見したアイデア
- ご近所助け合いマップ 自分の家だけでなく、近所に住むお年寄りや体の不自由な人など、助けが必要な人の家を地図に書き込み、災害時に誰が安否確認に行くか、どうやって一緒に避難するかを考えた「地域連携マップ」を作る。
- 防災ローリングストック管理アプリ 備蓄している食品の写真を撮って賞味期限を入力すると、期限が近づくと知らせてくれるスマホアプリ。普段の買い物リストとも連携できたら便利かも!
- 電気がなくても楽しめる「防災ゲーム」 停電しても家族で楽しめるボードゲームやカードゲームを考案する。防災知識がクイズになっていたり、協力してミッションをクリアする内容だったりすると、遊びながら防災を学べる。
この自由研究に関連する仕事
- 防災士 地域や企業で防災に関する知識を広め、訓練の計画や指導を行う専門家です。
- 公務員(防災担当) 市区町村の職員として、地域の防災計画の策定、ハザードマップの作成、住民への啓発などを行います。
- 気象予報士 日々の天候を予測し、大雨や台風の情報を正確かつ分かりやすく人々に伝え、早めの避難を呼びかけます。
- 都市計画コンサルタント 災害に強いまちづくりを考え、堤防の建設や、雨水を一時的に貯める公園(調整池)の設計などを行います。
- 防災用品メーカーの社員 より性能が良く、誰にでも使いやすい防災グッズを企画・開発する仕事です。
まとめ
水害対策の自由研究は、ただ調べるだけでなく、自分と家族の命を守るための「具体的な行動」に直接つながる、非常に重要な学びです。大切なのは、研究でわかったことや作った計画を、家族みんなが共有し、「自分ごと」として捉えること。
災害はいつ起こるかわかりません。この自由研究をきっかけに、「防災」が特別なことではなく、歯磨きのような「毎日の習慣」になることを目指しましょう。君の行動が、家族の未来を守る第一歩になります。
関連書籍
身近な仕事について考えてみよう!
- 仕事のことを通じて学んだこと、楽しかったこと、難しかったことを書いてみましょう。
- テーマについての新しい発見や、自分が感じたことをまとめます。
- 今後、さらに調べてみたいことや、他の人に教えたいことがあれば、それも書いてみましょう。