教育制度の特徴
ボスニア・ヘルツェゴビナの教育制度は、4段階(就学前教育・初等教育・中等教育・高等教育)で構成されています。就学前の1年間は6歳の子ども全員に義務付けられ、初等教育は6~15歳向けの3サイクル制(各3年)で9年間無料かつ義務教育です。中等教育は一般教養系(4年)と職業教育系(3~4年)に分かれ、修了後は専門職や大学進学が可能です。教育の責任は連邦制の各エンティティ(セルプスカ共和国、連邦10県、ブリチュ区)と13の教育予算に分散され、地域ごとに運営されています。
教育方法
授業は主に教師中心の黒板・板書方式ですが、近年はEU標準に則った学生参加型の実践ワークショップやグループ学習も導入されています。言語教育では、ボシュニャク語・クロアチア語・セルビア語のいずれかを母語としつつ、英語やドイツ語を第二外国語として学ぶ学校が増加中です。ICT教育では、2021年に策定された「教育ICT技術基準」により、全校への最低限の機器配備とブロードバンド接続が推奨され、遠隔授業やデジタル教材の活用を支えています。 引用元 教育プロフィールウィキペディア
一方で、教室内で異なる民族カリキュラムを並行実施する「二重校舎(Two schools under one roof)」の問題も残り、統一的な教育環境づくりが課題となっています。
引用元 ウィキペディア
教育への取り組みや支援
欧州連合(EU)と欧州評議会は2019年に「質の高い多文化共生教育ロードマップ」を策定し、包括的教育の実現に向けた政策勧告を支援しています。2023年にはUNICEFがデジタル格差解消のため500校以上へのインターネット接続改善を主導し、14,000人以上の児童がオンライン教材にアクセス可能となりました。また、UNESCOやILOも教員研修やカリキュラム開発を共同で推進し、教員のICT活用能力向上を図っています。
子供達の1日の過ごし方
多くの小中学生は朝8時頃に登校し、国歌斉唱や出欠確認から1日が始まります。45分授業が5~6コマ続き、10〜15分の休み時間が午前と午後に各2回あります。昼食は家庭持参か学校の学食を利用。午後は美術や体育、クラブ活動(サッカー、音楽、科学クラブなど)に参加し、16時前後に下校します。帰宅後は宿題をこなし、家族や隣人と過ごす時間を楽しみます。
教育と社会の関係
ボスニア・ヘルツェゴビナでは、1990年代の内戦を受けて教育に「和解と多文化共生」の要素が組み込まれています。しかし二重校舎のような民族分離教育は対立感情を助長しかねず、社会統合の障害ともなっています。一方、学校行事や合同ワークショップを通じて異なる民族間の交流を図り、次世代の社会的連帯感醸成に取り組む動きも見られます。
引用元 ウィキペディア
国が抱える教育の課題と未来
主な課題は次の通りです。①分権化による教育予算や政策の地域間格差、②都市部と農村部のICT・教材インフラ格差、③教員不足と過密学級、④民族隔離教育の解消、⑤PISAなど国際学力調査での低迷。これらに対し、EU・UN機関による支援や国内法の整備、資格枠組み(BQF)の導入、成人教育の強化が進んでおり、2030年を目標に「すべての子どもに質の高い教育」を実現し、長期的な社会発展と和解を促進する計画です。
教育と文化や価値観の関係
和解と共生の精神
学校教育に組み込まれた「和解教育」や合同ワークショップにより、異なる民族(ボシュニャク人、クロアチア人、セルビア人)が互いを理解し、対話を通じて共に未来を築く姿勢が根付きます。この経験は、家庭やコミュニティでの助け合い文化にもつながっています。
多言語・多文化リテラシー
母語(ボシュニャク語・クロアチア語・セルビア語)のほか、英語やドイツ語を学ぶカリキュラムで育まれる語学力は、国際的な視野とともに「多様性を尊重する」価値観を養います。学校行事で各民族の伝統歌や踊りを披露し合うことで、文化理解が深まります。
コミュニティ参加の習慣
「Two schools under one roof」が問題視される一方で、地域主導の合同掃除やガーデニング活動では、子どもたちが一丸となって学校や街を美しく保つ経験をします。こうした実践は、自分たちの手で社会を支えるという責任感と誇りを育みます。
伝統芸能の継承
美術や音楽の授業で、セヴダヒ(Sevdalinka)という伝統的なバラードや地元の工芸品制作を学ぶことで、民族ごとの歴史や物語を体感。子どもたちは自分のルーツを理解し、大切にする心を育てています。
レジリエンス(困難を乗り越える力)
内戦後の再建期に整備されたカリキュラムでは、歴史学習と合わせて防災教育やメンタルヘルスの授業も実施。逆境から立ち直る力を学ぶことで、困難に直面しても前向きに行動する価値観が身につきます。
まとめ
ボスニア・ヘルツェゴビナの教育は、歴史的背景を踏まえながらも、EUや国連機関と連携してICT導入やインクルーシブ教育を推進しています。分権化による課題や民族間分離の問題は依然残りますが、教育を通じた社会統合と未来への投資を重視し、質の高い学びの機会を全ての子どもに届ける取り組みが加速しています。今後も国内外の支援と市民の協力により、教育改革が継続的に深化し、多文化共生社会の構築が期待されます。
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