実践トレーニングday7-10カスタマージャーニーの設計
〜現状ジャーニー・理想ジャーニー・短期ジャーニー・中長期ジャーニーの4種類で顧客体験を最適化する〜
カスタマージャーニーは、顧客がブランドとの接点を通じてどのような体験をするかを視覚化するツールです。現状の顧客体験を理解し、理想の姿を描くことで、企業はより効果的なマーケティング戦略を立てることができます。本トレーニングでは、現状ジャーニー、理想ジャーニー、短期ジャーニー、中長期ジャーニーの4つを軸に、実際のワークを通じてカスタマージャーニーを設計していきます。
目的
顧客の行動パターンや心理を理解し、理想の体験を設計することで、売上やブランドロイヤルティを向上させるための具体的な戦略を立案できるようになることを目指します。
実践トレーニングの流れ
Step 1: 現状ジャーニーの分析
まず、顧客が現在どのようなプロセスを経て製品やサービスにたどり着いているかを理解します。顧客の接点(タッチポイント)を時系列で洗い出し、課題や改善点を見つけるステップです。現状のカスタマージャーニーを把握することが、改善の第一歩となります。
目的
現状の顧客行動や接触ポイントを可視化し、潜在的な問題点や強化すべき点を明確にする。
アクションステップ
- 主要な顧客セグメントを定義する
- 各タッチポイントにおける顧客の行動を時系列で記録する
- 顧客の感情、期待、疑問点を理解するための調査を実施
- 課題と成功しているタッチポイントを明確にする
課題
- ブランドXの現状カスタマージャーニーを分析し、各タッチポイントでの顧客の体験をリストアップしてください。
- タッチポイントごとに、顧客が抱える問題点を特定してください。
Step 2: 理想ジャーニーの構築
次に、企業が提供したい理想的な顧客体験を設計します。現状ジャーニーの問題点や強みを基に、顧客の期待を超える体験を想定し、顧客満足度を最大化するためのカスタマージャーニーを作成します。
目的
顧客の期待に応えるだけでなく、それを上回る体験を設計し、競争優位性を確立する。
アクションステップ
- 現状ジャーニーの問題点を改善するアイデアを出す
- 顧客満足度を高めるための新しいタッチポイントを考える
- 顧客の期待を上回る「サプライズ」要素を追加する
課題
- ブランドXの理想的なカスタマージャーニーを描き、どのように顧客に最高の体験を提供できるか考えてください。
Step 3: 短期ジャーニーのプランニング
短期ジャーニーは、近い将来に実行可能な改善策を定義するものです。短期間で効果を出せる施策や、簡単に実装できるタッチポイントの改善を具体化します。
目的
早期に改善可能なエリアを特定し、迅速な成果を上げる。
アクションステップ
- 低コストかつ効果的なタッチポイント改善策をリストアップ
- 実行可能な短期目標を設定
- 早期の成果測定指標を設定する
課題
- ブランドXにおける3ヶ月以内に実施可能な短期的改善施策を3つ提案してください。
Step 4: 中長期ジャーニーの計画
中長期ジャーニーは、ブランドのビジョンや顧客関係の強化に基づく持続的な改善を目指します。ここでは、長期的にブランドのポジションを強化し、顧客との信頼関係を築くための戦略を構築します。
目的
持続的なブランド成長と顧客ロイヤルティの向上を目指すための、長期的なマーケティング戦略を構築する。
アクションステップ
- 顧客ロイヤルティを向上させるための中長期施策を考える
- 5年後のブランドポジションと顧客関係のビジョンを明確にする
- デジタル技術やデータを活用した顧客体験の継続的改善プランを策定
課題
- ブランドXにおける5年間の中長期的なカスタマージャーニーのビジョンを描き、具体的な施策を提案してください。
Step 5: カスタマージャーニーの改善サイクルの確立
カスタマージャーニーは一度設計すれば終わりではなく、顧客ニーズや市場環境に応じて継続的に改善する必要があります。このステップでは、PDCAサイクル(Plan-Do-Check-Act)を用いて、カスタマージャーニーを定期的に見直し、改善を続けるプロセスを確立します。
目的
顧客体験を定期的に見直し、最適な状態を維持するためのフレームワークを構築し、顧客満足度の向上やロイヤルティを長期的に強化します。
アクションステップ
- カスタマージャーニーの定期的な評価基準を設定する
- 定期的に顧客フィードバックやデータを収集し、改善点を特定する
- 改善策を実行し、その効果を測定する
- 結果に基づき、新たな施策を導入してPDCAサイクルを繰り返す
課題
- ブランドXの現状ジャーニーの改善に対し、1年後にどのような評価基準を設定し、どのデータを活用すべきかを考え、具体的なサイクルを構築してください。
Step 6: デジタルツールとデータ活用によるジャーニーの最適化
デジタル時代のカスタマージャーニーでは、データやツールを活用してパーソナライズされた体験を提供することが求められます。このステップでは、CRMツールやカスタマーエンゲージメントプラットフォームなど、顧客データを活用したジャーニーの自動化や最適化について学びます。
目的
顧客ごとに最適化された体験を自動的に提供するために、デジタルツールやデータを活用し、顧客満足度を最大化する。
アクションステップ
- 顧客データを管理・分析するためのツール(例:Salesforce、HubSpot)を選定
- デジタルマーケティングツールを使って、リアルタイムで顧客とのコミュニケーションを自動化
- データに基づいた顧客セグメントを作成し、各セグメントに最適なカスタマージャーニーを設計
課題
- ブランドXが持つ顧客データを基に、パーソナライズされたメールキャンペーンを設計し、その効果を測定するための指標を設定してください。
Step 7: カスタマージャーニーとブランドストーリーの統合
カスタマージャーニーを最適化するには、ブランドのミッションやビジョンと一致させることが不可欠です。ブランドストーリーを顧客とのあらゆるタッチポイントに反映させ、顧客に一貫した体験を提供するための戦略を策定します。
目的
ブランドの価値観やストーリーを顧客体験に組み込み、ブランドに対する顧客の共感とロイヤルティを向上させる。
アクションステップ
- ブランドミッションやビジョンを再確認し、カスタマージャーニーに反映させる要素を洗い出す
- 各タッチポイントでブランドストーリーをどのように伝えるか計画する
- ブランドストーリーが顧客に与える影響を測定するための指標を設定
課題
- ブランドXのミッションやビジョンをベースにした一貫したブランドストーリーを、カスタマージャーニーの各タッチポイントにどのように反映させるか具体的に示してください。
グループワーク
テーマ①
「理想的なカスタマージャーニーとは何か?」
各チームで、特定の顧客セグメントを選定し、そのセグメントに最適なカスタマージャーニーを設計してください。
ディスカッション内容
- 顧客セグメントの定義
- そのセグメントに対して現状ジャーニーを分析
- 理想的なジャーニーを構築するためのアイデア出し
- 短期、中長期の施策をチームで発表
課題
各チームが設計したカスタマージャーニーの詳細をまとめ、プレゼンテーションを行う。
テーマ②
「デジタルツールを活用した顧客体験の最適化」
各チームで、特定のデジタルツール(CRM、AIチャットボットなど)を活用して、カスタマージャーニーをどのように改善できるか議論し、その実現可能な戦略を提案してください。
ディスカッション内容
- 選定したデジタルツールの活用方法
- 顧客体験を向上させる具体的なタッチポイントの改善
- その結果として得られる顧客満足度の向上とビジネスへのインパクト
課題
選定したデジタルツールを基に、短期・中長期で期待される成果を発表し、どのような効果測定を行うかも含めて提案。
カスタマージャーニーの実施後の評価と次のステップ
カスタマージャーニーの設計と実装が完了した後、評価プロセスに移ります。この段階では、顧客からのフィードバックや売上データ、リピート率などの重要な指標を通じて、ジャーニーがどれだけ効果的であったかを測定します。また、これに基づいて次の施策を策定し、さらなる改善と成長を図ります。
次のステップ
- カスタマージャーニーの評価: 定期的にジャーニーの効果を測定し、顧客フィードバックやデータに基づいて調整。
- デジタル技術の導入: 新しいデジタルツールやテクノロジーを導入して、顧客体験をさらに向上。
- 新たな顧客セグメントの開拓: 既存の顧客セグメントに加え、新しいターゲット層へのアプローチを開発。
まとめ
カスタマージャーニーを正しく設計することで、顧客満足度を向上させ、ブランドの価値を高めることができます。現状の課題を理解し、短期的な改善と中長期的なビジョンを描くことで、持続的な成長と顧客ロイヤルティの向上が期待できます。次のステップとして、さらにデジタルツールやデータ分析を活用し、個々の顧客にパーソナライズされた体験を提供することが重要です。
参加者特典
- 独学で学べるトピック
「顧客データ分析の基礎」「パーソナライズドマーケティングの実践」 - 質問事項
- カスタマージャーニー設計で最も重視すべきタッチポイントはどこか?
- デジタル時代におけるカスタマージャーニー設計の変化とは?
- 「AIとデータ分析を活用したパーソナライズドマーケティング」
- 顧客データをどのように収集・活用するか、AIがどのようにマーケティングに革命をもたらしているかについて深く学びましょう。
- 「CRMツールの使い方とカスタマージャーニーへの応用」
- SalesforceやHubSpotなどのツールを使って顧客データを効率的に管理し、顧客体験の向上に役立てる方法を学びます。
- 「行動経済学を活用したカスタマージャーニーの設計」
行動経済学の原則を使い、顧客の意思決定を理解し、購入を促す効果的なジャーニーを設計するための知識を身につけましょう。 - 「顧客体験(CX)の継続的改善のためのフレームワーク」
CXを継続的に改善するためのPDCAサイクルや、データに基づく評価方法を学びます。
質問事項
- デジタルツールを活用した顧客体験の最適化にはどのようなステップが必要か?
- カスタマージャーニーの短期施策と中長期施策のバランスをどのように取るべきか?
ゴールとレベルアップ項目
- レベル1: カスタマージャーニーの基本を理解し、各タッチポイントを特定できる
- レベル2: 現状ジャーニーを分析し、改善点を見つけられる
- レベル3: 理想的なカスタマージャーニーをデザインし、実施可能な改善策を立案できる
- レベル4: デジタルツールを活用した顧客体験の最適化を実行できる
- レベル5: カスタマージャーニーとブランドストーリーを統合し、長期的な成長戦略を構築できる
カスタマージャーニー設計のドリル
1. 顧客インサイトの定義
顧客インサイトは、顧客の表面的なニーズではなく、彼らの________に隠れた深い動機や欲求を理解することです。
2. ターゲット顧客の特定 顧客セグメントに関する属性基本情報
- 年齢: [ ]
- 性別: [ ]
- 居住エリア: [ ]
- 職業: [ ]
- 就業エリア: [ ]
- 解決したい課題: [ ]
3. 顧客の課題とニーズ、インサイトの特定
- 課題: [ ]
- ニーズ: [ ]
- インサイト: [ ]
4. 顧客の行動パターンと動機の分析
- 自社ブランド選択の動機: [ ]
- 自社ブランド購買動機: [ ]
- 購買行動の特徴: [ ]
- 顧客の価値観: [ ]
5. 競合の定義
- 主要競合の強み: [ ]
- 競合の弱み: [ ]
6. 競合のポジションと戦略の理解 競合のポジションは________であり、その戦略は________に基づいています。
7. 自社の強みからコンセプトを定義
- 自社の強み: [ ]
- 強みからの価値提案: [ ]
- 差別化ポイント: [ ]
8. カスタマージャーニーの段階におけるタッチポイントの特定
- 認知フェーズでのタッチポイント: [ ]
- 検討フェーズでのタッチポイント: [ ]
- 購買フェーズでのタッチポイント: [ ]
- 購買後のタッチポイント: [ ]
9. 顧客満足度を向上させる短期施策 短期施策として________を導入し、3ヶ月以内に顧客満足度を________%向上させることを目指します。
10. 中長期的なカスタマージャーニーの目標 中長期的には、顧客ロイヤルティを________%まで引き上げ、ブランドのポジションを________に向上させます。
答え合わせ
1. 潜在的な感情
2. (ターゲット顧客に応じて個別に回答)
3. (課題、ニーズ、インサイトに応じて個別に回答)
4. (ブランドと顧客行動に応じて回答)
5. (主要競合に応じて回答)
6. 特定の市場、差別化
7. (自社の強みに応じて回答)
8. (カスタマージャーニーの各フェーズに応じて回答)
9. (短期施策に応じて回答)
10. 80%、市場リーダー
グループワークで使用する追加の穴埋め問題
11. 顧客セグメントごとのジャーニー設計
特定の顧客セグメント(例:20代女性)のカスタマージャーニーを設計する際、彼女たちの主要なタッチポイントは________であり、彼女たちが抱える主要な課題は________です。
特定の顧客セグメント(例:20代女性)のカスタマージャーニーを設計する際、彼女たちの主要なタッチポイントは SNS(InstagramやTikTok) であり、彼女たちが抱える主要な課題は 購入前の製品レビューや口コミ情報の不足 です。
12. ブランドストーリーの統合 ブランドXのブランドストーリーは________で、顧客に伝えたい価値は________です。
ブランドXのブランドストーリーは 「環境に優しい持続可能なファッションを提供する」 で、顧客に伝えたい価値は 「エシカルでスタイリッシュな生活を実現する」 です。
13. カスタマージャーニーにおけるKPI(重要業績評価指標)
- カスタマージャーニーの成功を評価するために、以下のKPIを設定します。
- 顧客満足度(CSAT): [ ]
- NPS(ネットプロモータースコア): [ ]
- リピート購入率: [ ]
- 購入までの時間(リードタイム): [ ]
14. カスタマージャーニーと顧客の感情
- 顧客が認知フェーズで感じる典型的な感情は________であり、購買フェーズでは________の感情を持つことが多い。
15. 短期ジャーニー改善施策の設定
- 顧客の購買フェーズを短縮するために、次の短期施策を実施します:
- 購買ページのUI/UXを改善し、直感的に操作できるようにする。
- [ ]
- [ ]
16. 理想的な顧客体験を設計する際の優先順位
- 理想のカスタマージャーニーでは、顧客が________と感じることが最も重要であり、それに基づいてタッチポイントの設計を行います。
17. カスタマージャーニーとパーソナライゼーション
- 顧客データを活用して、購買後の体験を________にパーソナライズし、リピート購入を促進します。
18. 競合との比較によるジャーニーの差別化
- 競合ブランドが________のタッチポイントを強化しているのに対し、自社ブランドは________で差別化を図ります。
19. 中長期的なカスタマージャーニーの評価
- 5年後には、顧客満足度を________%向上させ、NPS(ネットプロモータースコア)を________まで引き上げることを目標とします。
20. カスタマージャーニーのモニタリング方法
- 顧客行動の追跡を行うために、次のモニタリング手法を導入します:
- ウェブ解析ツール(Google Analyticsなど)でトラフィックを監視
- [ ]
- [ ]
答え合わせ(続き)
13.
- 85%
- +40
- 30%
- 2週間
14.
- 興味・期待、安心・信頼
15. 2. 商品レビューを強化し、顧客の信頼を向上させる。
3. チャットボットを導入し、購入前の質問に迅速に対応する。
16.
- スムーズでストレスのない体験
17.
- 購入履歴に基づいたパーソナライズ
18.
- オンライン広告、アフターサービス
19.
- 90%、+50
20. 2. 顧客フィードバックアンケートを定期的に実施
3. ヒートマップ解析ツールでウェブサイトのユーザー行動を分析
グループワーク用追加課題
21. 理想のカスタマージャーニーの設計と実行
- あなたのチームは、顧客が初めてブランドを認知するところからリピート購入するまでの理想的なカスタマージャーニーを設計します。次の点に焦点を当ててください:
- 認知フェーズでどのように顧客にアプローチするか?(例:デジタル広告、SNS)
- 購買フェーズで顧客の不安をどう解消するか?
- リピート購入を促進する施策は何か?
- 認知フェーズでどのように顧客にアプローチするか?
- デジタル広告:InstagramやFacebookでのターゲティング広告、TikTokでのインフルエンサーを使ったプロモーション。
- 購買フェーズで顧客の不安をどう解消するか?
- リアルタイムチャットサポートを提供し、顧客の疑問や不安を即座に解消。商品レビューや購入者の体験談をウェブサイトに掲載。
- リピート購入を促進する施策は何か?
- ロイヤルティプログラムの導入。購入ごとにポイントが貯まり、次回以降の割引や特典を提供する。さらに、パーソナライズされたメールで再購入を促す。
22. 顧客満足度向上のための中長期施策
- 中長期的に顧客満足度を向上させるために、次のステップを計画します:
- 顧客データに基づいたパーソナライゼーションを実施
- [ ]
- [ ]
最終的に、顧客ロイヤルティの向上と売上増加を目指します。
- 顧客データに基づいたパーソナライゼーションを実施
- CRMシステムを活用し、購入履歴やブラウジング履歴に基づいて、個々の顧客に最適な商品をおすすめする。定期的なアンケートで顧客フィードバックを収集し、改善を行う。
- アフターサービスの強化
- 購入後のカスタマーサポートを充実させ、返品や交換が簡単にできるようにする。商品保証期間を延長し、顧客が安心して購入できる環境を整備。
- サステナビリティ施策の透明性を強化
- ブランドの環境への取り組みや、製品がどのようにエシカルに作られているかを透明に伝える。定期的なニュースレターやブログで進捗を共有し、顧客とのエンゲージメントを高める。
足りないデータの整理
上記全て入力ができなかった場合は、下記のような理由が挙げられます。データ取得環境をまずは整えましょう。
□データを保有できていない
□データが取得できていない
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